【大学間交換留学の教科書編集部】
交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。
この記事のTierは同じ種類の数字の中で位置をつかむための目安です。
実際の平均給与、給与表から置いた参考値、転職市場のレンジは、同じ数字ではありません。
職業の格や、入りやすさ、仕事の価値の順位でもありません。
読むときに押さえることは次の3つです。
・比べてよいのは、同じデータ区分の中と、同じ組織の国内勤務・在外勤務
・国際機関のNet salaryと日本企業の額面年収は、そのまま比べられない
・住居や年金などの待遇はTierに足していない
1. Tierの基準とデータの区分
a. Tierの基準
Tierは次の6段階です。
- SS:2,500万円以上(国際機関・金融などでも上位の水準)
- S:1,500万〜2,499万円(かなり高い)
- A:1,000万〜1,499万円(高い)
- B:800万〜999万円(日本の平均と比べると高め)
- C:600万〜799万円(中堅水準)
- D:600万円未満(現金給与だけでは高くない)
外貨は1米ドル=約153.5円、1スイスフラン=約189.6円で換算しています(2026年9月10日時点の概算)。
為替で円換算額は大きく動くので、ドルやフランの元の数字も一緒に見てください。
b. 数字の4つの区分
この記事では数字の出どころを次の4つに分けています。
- 実績平均:組織が公表した実際の平均年間給与。同じ組織の国内・在外や、年度の比較に向く
- 職業統計:公的統計に基づく職種全体の年収。特定企業や上位ポジションの給与とは一致しない
- 給与表・募集要項:Grade、Step、勤務地、募集ポストなど特定条件の給与。組織全体の平均ではない
- 市場レンジ:転職・採用市場で提示される給与の幅。実際の平均ではなく、経験年数や企業で差がある
c. そのままでは比べられないもの
国際機関のNet salaryと日本企業の額面年収は、税制、年金、保険、職員拠出、勤務地手当の仕組みが違います。
円換算額だけを手取り年収として比べることはできません。
同じ組織でも、職位・勤務地・専門性で数百万円、場合によっては1,000万円以上変わります。
個人的には、Tierを見る前に「これはどの区分の数字か」を確かめる癖をつけるのがおすすめです。
2. Tier別の一覧
Tierごとに、組織・職種と数字の区分を並べました。
同じTierでも区分が違えば、厳密な順位としては読めません。
市場レンジは範囲の中央をTierの目安にしていますが、実際の平均年収ではありません。
a. SS
IFC/世界銀行グループ Senior Professional(GG)
約2,930万円(実績平均)
FY2025、World Bank Group staffのGrade別平均給与
IMF A13
約3,150万円(給与表)
給与レンジの中央値
GCF Grade C
約2,870万円(給与表)
2026年給与表のMidpoint
国連共通制度 P5(ニューヨーク例)
約2,780万円(給与表)
Net base+Post Adjustmentの試算
CERN Staff Grade 7
約2,500万円〜(給与表)
最低Net entry salaryの年換算
b. S
IFC/世界銀行グループ Professional(GF)
約2,100万円(実績平均)
FY2025、World Bank Group staffのGrade別平均給与
JBIC 在外職員
2,020.8万円(実績平均)
2025年度、JBICが公表する職種別支給状況の平均年間給与
JETRO 在外職員
1,821.0万円(実績平均)
2025年度、JETROの公表値
JICA 在外職員
1,572.0万円(実績平均)
2025年度、JICAの公表値
パイロット
1,631.8万円(職業統計)
厚生労働省 job tagの全国年収
IMF A11(Ph.D. entry-level Economist等)
約2,370万円(給与表)
給与レンジの中央値
CERN Staff Grade 6
約2,100万円〜(給与表)
最低Net entry salaryの年換算
国連共通制度 P3(ニューヨーク例)
約1,920万円(給与表)
Net base+Post Adjustmentの試算
民間金融:PE Associate
1,200万〜2,000万円(市場レンジ)
直近の求人例
法律:金融機関 Legal Counsel
1,500万〜2,200万円(市場レンジ)
経験4〜7年
医薬:Medical Affairs Manager
1,300万〜1,900万円(市場レンジ)
2026年の市場レンジ
M&A・FAS Consultant
1,200万〜1,800万円(市場レンジ)
経験6〜10年
外資系ホテル General Manager
1,500万〜2,500万円(市場レンジ)
2026年の市場レンジ
c. A
JICA 国際協力専門員
約1,101万〜1,315万円(募集要項)
2026年度募集の年収例
Management Consulting
1,000万〜1,600万円(市場レンジ)
経験6〜10年
IT Project Manager
700万〜1,800万円(市場レンジ)
2026年の市場レンジ
エネルギー・製造 Project/Program Manager
1,000万〜1,500万円(市場レンジ)
2026年の市場レンジ
物流 Logistics Manager
900万〜1,500万円(市場レンジ)
2026年の市場レンジ
グローバル Sales/Marketing Manager
900万〜1,500万円前後(市場レンジ)
2026年の市場レンジ
d. B
JBIC 常勤職員
909.8万円(実績平均)
2025年度、JBICの公表値
JETRO 常勤職員
870.8万円(実績平均)
2025年度、JETROの公表値
JICA 常勤職員
921.0万円(実績平均)
2025年度、JICAの公表値
e. C
新聞・報道記者
673.2万円(職業統計)
厚生労働省 job tagの全国年収
農業技術者
611.9万円(職業統計)
厚生労働省 job tagの全国年収
通訳・翻訳
500万〜1,000万円(市場レンジ)
グローバル企業の市場レンジ
f. D〜C
国境なき医師団(MSF)海外派遣
約278万〜687万円(給与表)
月額給与を12か月で換算
g. D
客室乗務員
572.5万円(職業統計)
厚生労働省 job tagの全国年収
日本語教師
502.6万円(職業統計)
厚生労働省 job tagの全国年収
h. Tier対象外
比べられる数字を置けない組織・仕事は、無理にTierへ入れていません。
古い口コミや推定値で埋めるより、対象外にしたほうが比較の精度を保てるからです。
BIS
理由:比較できる一律の給与レンジを公開していない
確認したい項目:税制、年金、expatriation benefits
ICRC
理由:職種・契約形態・勤務地で条件の差が大きい
確認したい項目:13か月目給与、年金、保険、Mobile Staff手当
NEXI
理由:現在の組織と直接比べられる最新の職員平均を置きにくい
確認したい項目:現行制度の公式資料
外務省
理由:俸給と在勤手当が職位・赴任地で変わる
確認したい項目:職位、赴任地、在勤手当
大学・国際研究職
理由:国、雇用形態、任期、研究費で条件の差が大きい
確認したい項目:給与、契約、研究費、年金、住居支援
3. 国際機関・公的機関・NGOの給与の決まり方
同じ「国際機関」でも、給与の決まり方は組織ごとに違います。
ここでは一覧の数字の背景を組織ごとに説明します。
a. IFC・世界銀行グループ:Grade別の給与とBenefits
IFCの2025年Annual Reportには、World Bank Group staffの実際の平均給与と平均BenefitsがGrade別に載っています。
GE(Analyst)
平均給与$104,213、平均Benefits $55,495
円換算:給与 約1,600万円+Benefits 約852万円
GF(Professional)
平均給与$136,818、平均Benefits $72,858
円換算:給与 約2,100万円+Benefits 約1,118万円
GG(Senior Professional)
平均給与$190,915、平均Benefits $101,665
円換算:給与 約2,930万円+Benefits 約1,560万円
GH(Manager / Lead Professional)
平均給与$266,216、平均Benefits $141,765
円換算:給与 約4,086万円+Benefits 約2,176万円
Benefitsはそのまま現金でもらえるわけではありません。
それでも「国際開発の仕事だから民間金融より低いだろう」と考えると、かなり実態からずれます。
一方で、IFCの投資職はプロジェクト・ファイナンス、M&A、PE、インフラ投資、信用分析、環境社会リスクなどの専門性が求められ、多くのポストは新卒で直接入る仕事ではありません。
高い給与は採用の難しさと必要な職歴の裏返しでもあります。
b. 国連共通制度:勤務地で変わる数字
国連、ITU、WIPO、WHOなどの専門職は、国連共通制度の給与表を見るのが早いです。
2026年1月のICSC給与表では、ProfessionalカテゴリーのNet base salaryの初期Stepは、P2で$56,046、P3で$71,335、P4で$86,027です。
ここに、勤務地の生活費の差を調整するPost Adjustmentが加わります。
2026年10月時点のニューヨークのMultiplierは75.6でした。
単純な例として、P3 Step IならNet base+Post Adjustmentは年約$125,000、円換算で約1,920万円です。P4なら約2,320万円になります。
サイトによって国連の年収がバラバラに見えるのは、Grade、Step、Duty Station、Post Adjustmentを混ぜていることが一因です。
数字を見たら、どの勤務地・どのStepの話かを確かめてください。
c. IMF・GCF・CERN:給与表の中央値と最低額
IMFの2026年給与表では、Ph.D. entry-level Economistなどが例示されるA11が$123,420〜$185,130です。中間値を円に換算すると約2,370万円です。
A13のレンジは$164,010〜$246,020で、中間値は約3,150万円になります。
気候ファイナンスを担うGCFは、2026年から新しい給与体系になっています。
公開給与表のMidpointは、Grade Eで$118,000、Dで$143,000、Cで$187,000です。円換算すると約1,810万円、2,190万円、2,870万円です。
どの職種がどのGradeに入るかは、求人ごとに確認が必要です。
「国際機関は薄給」というイメージで見ると、数字を見誤ります。
CERNのStaff Memberは、2026年の最低Net entry salaryがGrade 2で月CHF4,983、Grade 6でCHF9,236、Grade 7でCHF10,991です。
Grade 6を年換算すると約2,100万円です。
ただしCERN Staffには国籍要件があります。給与を見る前に、自分が応募できる制度かを確認してください。
d. JICA・JETRO・JBIC:国内勤務と在外勤務を分けて見る
3機関は国内勤務と在外勤務を分けた平均年間給与を公表しています。
同じ組織の中で勤務区分を比べられるので、今回のデータの中では比べやすい部分です。
2025年度の数字をグラフにしました。
在外勤務では、基本給のほかに、勤務地に応じた手当や住居の制度が給与総額に影響します。
「JICAの平均年収」のように組織名で1つの数字を置くより、勤務区分まで分けて見るほうが実態に近くなります。
JICAには在勤基本手当、住居手当、配偶者手当、子女教育手当などの制度があります。
専門職ルートでは、2026年度の国際協力専門員募集で、年収例としてB格約1,101万円、A格約1,195万円、S格約1,315万円が示されています。
e. MSF・ICRC:現金給与だけでは比べられない
国境なき医師団(MSF)日本の海外派遣スタッフの給与は、責任レベルと経験に応じて月額23万1,851円〜57万2,066円(gross)です。
単純に12か月で換算すると約278万〜687万円で、現金給与だけならD〜C Tierです。
一方で、活動国での宿泊費、現地までの往復交通費、ワクチン・健康診断、ビザなどの費用はMSFが負担し、医療搬送を含む保険もあります。
年間25日の年次休暇もあります。
これは「待遇がいいから実質は高年収」という話ではありません。
人道支援は高い現金報酬を目的に選ぶ仕事ではないと思います。
ただ、年収の1列だけで比べると、働くために組織が負担している費用が見えなくなります。
ICRCは一般職員の一律の年収表を公開していません。
給与は国際NGO・国際機関・民間企業とベンチマークされていて、13か月目給与、手厚い年金制度、保険、Mobile Staff向けの各種手当があります。
年金は、年金対象給与に対して雇用主17%、職員8.5%の拠出と案内されています。
4. 民間企業の給与と専門性
民間企業では、英語を使うこと自体には大きな上乗せがつきません。
2の一覧で金額が高いのは、投資判断、法務、医薬、M&A、IT、プロジェクト管理のような希少な専門性を、国境を越えて使える人です。
通訳・翻訳の2026年市場レンジは500万〜1,000万円程度で、厚労省job tagの通訳者の全国年収は583.3万円です。
英語ができるだけで、自動的に高収入になるわけではありません。
同じ職種名でも、どの市場の数字かで大きく変わります。
たとえば、job tagではホテル・旅館支配人の全国年収は362.4万円です。
一方、2026年の外資系・国際採用市場では、Hotel General Managerが1,500万〜2,500万円とされています。
どちらかが間違っているわけではありません。
前者は日本全国の職業統計、後者は専門人材の転職市場の数字です。
大規模ホテルのP&Lを負い、多国籍チームを管理し、ブランド本部と交渉するGMと、統計上の「ホテル・旅館支配人」は同じ仕事ではありません。
職種名だけでなく「どの市場で、どんな責任を持つポジションか」まで見てください。
5. 給与以外の待遇
この記事のTierは、原則として現金給与や給与表上の金額がもとです。
福利厚生を推定額にして年収に足すことはしていません。IFCのBenefitsも別項目として扱っています。
海外勤務の待遇は、住居、年金、医療保険、教育費、移転費用などを含むTotal Compensationで見ないと比べられません。
組織ごとに確認したいものは次のとおりです。
- IFC/世界銀行グループ:Grade別に平均Benefitsを公表。GFで平均$72,858、GGで$101,665と大きい
- 国連共通制度:Post Adjustment、勤務地関連手当、年金・医療など。Duty Stationで差が出る
- GCF:Worldwide medical insurance、休暇、退職給付、扶養関連。韓国内ではStaff salaryが免税
- JICA:在勤基本手当、住居、配偶者、子女教育など。在外勤務で給与総額が大きく変わる
- CERN:30日の有給休暇+年末などの約2週間のannual closure、医療保険、年金、家族手当、relocation package(移転支援)
- MSF:活動国の宿泊、往復交通、ワクチン・健康診断、ビザ、医療搬送を含む保険
- ICRC:13か月目給与、雇用主17%の年金拠出、保険、Mobile Staff向けの各種支援
海外勤務では、住居費、子どもの教育費、医療保険、帰国の航空券、移転費用が家計に大きく響きます。
個人的には、額面年収が100万円高いかどうかより、こちらのほうが生活水準を左右すると思っています。
6. 大学生がいまできること
一覧には、新卒で応募できる職種と、大学院修了や数年の実務経験を前提とするポジションが混ざっています。
IFCのGF、IMFのA11、国連P3、GCFの専門職、民間PEのAssociateなどは、卒業してすぐに誰でも入れるポジションではありません。
一方、JICAやJETRO、民間企業、航空、IT、メーカーなどには、新卒で入って経験を積める職種があります。
個人的には、「SS Tierの組織にどう入るか」より、5〜10年後にその市場へ移れる専門性を、最初の仕事で積めるかで考えるほうが実用的だと思います。
たとえば開発金融なら、銀行のプロジェクトファイナンス、投資銀行、インフラ投資、Big4 FAS、政策金融、開発コンサルで経験を積んでから、IFCや世界銀行グループを狙うルートがあります。
国際機関を最初の就職先だけでなくキャリアの途中で移る市場として見ると、選べる道が増えます。
いまの段階でできることは次の4つです。
a. 全体像を見て気になる分野を2〜3個にしぼる
このサイトでいうグローバルキャリアは「国境を越える事業・課題・顧客・チームに継続的に関わる、または専門性や技能を別の国・地域で生かす職業生活」です。
国連職員だけでなく外交官、開発金融、商社、投資、エンジニア、物流、医薬、通訳、研究、ホテル、農業技術まで含みます。
まずはグローバルキャリアを16分野で見渡す記事で、気になる分野を選んでください。
分野ごとの記事はグローバルキャリアの記事一覧から探せます。
b. 年収と一緒に4つの項目を比べる
□ 入口:新卒採用があるのか、大学院や実務経験が必要なのか
□ 専門性:金融、政策、法務、IT、医療、工学など、何を身につければ市場価値が上がるか
□ 勤務地:日本本社、海外駐在、現地採用、国際機関のDuty Stationのどれか
□ Total Compensation:給与、賞与、住宅、年金、医療、教育、移転費を合わせるとどうなるか
この4つを並べると、「英語を使える仕事がしたい」という曖昧な状態から、具体的な比較に進めます。
c. 国際機関の若手向けの入口を知っておく
国際機関にはJPO、国連YPP、世界銀行YPPといった若手向けの採用制度があります。
それぞれの違いと、大学生のうちからできる準備はJPO・国連YPP・世界銀行YPPの違いで説明しています。
d. 新卒の就職先と交換留学の準備を考える
新卒で入れる業界から考えるなら、交換留学を生かせる新卒の就職先が参考になります。
これから交換留学を目指す人は、まず学内選考の準備からです。
何を見られるかは交換留学の学内選考の仕組みにまとめています。
まとめ
- Tierは同じデータ区分の中で位置をつかむ目安で、区分をまたいだ順位ではない
- 国際機関・公的機関の給与はGrade、勤務地、国内か在外かで大きく変わる
- 民間で高いのは、英語そのものより国境を越えて使える専門性
今日やることは気になる組織を1つ選んで、その数字が4つの区分のどれに当たるかを確かめることです。
参考にしたサイト:IFC Annual Report 2025 – Investing in our people / IMF Annual Report 2026 Web Tables / ICSC 2026 Salary Scale / ICSC Post Adjustment / Green Climate Fund B.42/15 / GCF What we offer / JICA 役職員の報酬・給与 / JETRO 令和7年度 役職員の報酬・給与 / JBIC 令和7年度 報酬・給与 / JICA PARTNER 国際協力専門員募集 / CERN Pay, Benefits and Support / 国境なき医師団 待遇と諸制度 / ICRC Compensation and benefits / Robert Walters Salary Survey 2026 Japan / 厚生労働省 job tag / Wise 為替レート(2026年9月10日確認)
集計基準:2026年9月23日時点(IMF給与表とニューヨークのPost Adjustmentは2026年10月29日に確認)。外貨換算は2026年9月10日時点の概算を使用しています。給与表・手当・募集条件は年度や勤務地で変わるので、最新の数字は各機関の公式資料で確認してください。
「お気に入り」追加済みの記事


