日本で働きながら国際的な仕事はできる?仕事内容と勤務地の確かめ方

日本で働きながら世界に関わる仕事。地球とパソコンの線画

【大学間交換留学の教科書編集部】

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国際的な仕事に興味はあっても、暮らすのは日本がいいと考えると、両立できるのか気になりますよね。
日本で働きながら国際的な仕事をすることはできます。
海外との関わり方と暮らす場所は、分けて考えていいと思っています。

日本を拠点にした関わり方には、たとえば次の4つがあります。
・日本の商品を海外へ届ける、またはその取引を支える
・海外の企業が日本で事業を始めるのを支える
・世界向けの製品を日本側の開発から支える
・日本向けのサービスを多国籍のチームで作る

ただし、日本勤務の実例があることと、将来も海外転勤がないことは別です。

1. 働く場所と仕事の相手

海外のお店で日本のお菓子を見つけたとします。
その棚に並ぶまでには、日本で作る人、販売条件を相談する人、輸送を手配する人、現地の店へ紹介する人が関わっています。全員がその国に住んでいるわけではありません。
働く場所が日本でも、仕事の相手や届け先が海外なら、国境を越える事業に関われるということです。反対に、お客さんは日本にいても、一緒に開発する同僚がさまざまな国から集まっている場合もあります。

このサイトでは国境を越える事業・課題・顧客・チームに継続して関わる働き方も、グローバルキャリアに含めています。
英語をたまに使うことや、会社に海外拠点があることだけで決めずに、自分の担当業務を見るのがおすすめです。
ほかの分野も含めた全体像は国際的な仕事を16分野で見渡す記事にまとめています。
個人的には、「海外へ行くか、日本に残るか」の二択だけで考えるのは、少しもったいないと思います。

2. 日本の商品を海外へ届ける仕事

日本のメーカーが海外へ売りたいと思っても、買ってくれる相手がすぐ見つかるとは限りません。
「どんな商品が求められているのか」「商品の特徴をどう伝えるか」「数量や価格の条件が合うか」を、相手と確かめる必要があります。

この流れに関わる立場は大きく3つです。
・メーカーの海外営業:自社の商品を売る立場で、買い手や販売代理店と相談する
・商社:メーカーから仕入れて海外に販売するなど、取引を担う
・支援機関:日本貿易振興機構(ジェトロ)のように、商談や情報提供で企業が取引を始められるよう支える
契約や業務の分担は企業・案件によって違い、メーカーが直接輸出する場合もあります。ジェトロは日本企業の貿易や投資などを支える公的機関で、商品を作るメーカーそのものではありません。

ジェトロのJAPAN MALL事業では、海外のネット販売(EC)に関わる買い手(バイヤー)と連携し、日本企業との商談を支援しています。成約後の販売促進も事業の一部です。
ジェトロの職員紹介には福井で勤務していた時期に、欧州へ売り込みたい繊維メーカーや、海外展開を考える食品企業を支援した例があります。職員の過去の経験で、現在の配属先や採用枠を示すものではありませんが、地方で働くことと国際的な仕事が両立する具体例です。

2020年当時のJAPAN MALL担当者の紹介では、日本企業と海外の買い手との調整に加えて、予算管理や販売促進策の検討が語られています。
外国語で会話するだけでなく、関係者の希望を確かめ、商談や販売施策を実際に進める仕事です。過去の事業紹介なので、現在の参加方法は上の現行の案内を優先してください。

同じ「海外に売り込む」でも、自社商品の売上に責任を持つ仕事と、複数企業の取引を支える仕事では立場が違います。
商品を深く理解して提案したいのか、地域や産業の企業を広く支えたいのかで、探す職場も変わります。
調べるときの入口は海外営業、貿易実務、海外事業支援といった職種名です。営業、貿易手続き、支援を1人ですべて担当するとは限りません。

3. 海外企業が日本で事業を始めるのを支える

国際的な仕事には日本から海外へ向かうものだけでなく、海外から日本へ向かうものもあります。
海外の企業が日本に拠点を作るには、日本の市場、制度、協力先を知る必要があるからです。
その例がジェトロの対日投資支援です。ここでの「対日投資」は外国企業などが日本で事業拠点を設けるといった投資を指し、株を買う話だけではありません。

2021年の対日投資イベントの担当者紹介では、海外勤務から帰国した職員が、日本の投資環境を海外へ紹介するオンラインイベントを担当しています。
企画だけでなく運営業務を委託する手続きや、システムを作る委託先の管理も仕事に含まれていました。これは終了したイベントの職務例です。
海外の参加者に伝わる案内を用意しても、申し込みや視聴の仕組みが動かなければ参加してもらえません。国際的な仕事に、事業運営やIT、広報の知識が必要になるのはこのためです。

「英語で日本を紹介する」と聞くと観光案内を想像したくなりますが、事業や制度を説明する仕事もあります。
日本語の資料を正確に読み、専門家に確認すべき点を区別できることも欠かせません。日本をよく知っていることが、そのまま強みになる仕事です。

4. 世界向けのゲームを日本側の開発から支える

海外でも遊ばれるゲームを作るには、言語や地域に合わせた調整(ローカライズ)も必要です。
翻訳はその一部ですが、翻訳が終われば発売できるわけではありません。開発途中で仕様が変われば、関連する文章や確認作業も変わります。
日本と海外の担当者が、何が変わり、どの作業が残っているかを共有できないと、同時に仕事を進めにくくなります。

任天堂の「世界同時発売を支える」という職員紹介に登場するのは、そうした開発スタッフが使う社内Webサービスを作る技術者です。
チームや用途ごとに分かれていた作業管理をまとめ、国内外のスタッフが連携しやすくする開発が紹介されています。
個人的には、世界中の人が遊ぶゲームを支える仕事が、開発者の使う道具づくりにもあると知ると、国際的な仕事の見え方がかなり変わると思います。

情報系の授業なら、プログラミングだけでなく、データベースやWebアプリケーション、使いやすさの設計にも関心を広げられます。
コードを書くのが好きなのか、地域ごとの表現を考えたいのか、複数チームの日程を調整したいのかで、同じコンテンツ企業でも見る職種は変わります。
ここで紹介したのは過去の開発事例で、特定の職種が現在募集中という意味ではありません。勤務都市や転勤の範囲、応募条件は個別の募集要項で確認してください。

5. 日本向けサービスを作る多国籍チーム

見落としやすいのが、日本の利用者に向けたサービスを、背景の違う同僚と一緒に作る仕事です。
海外の顧客を担当することと、多国籍のチームで働くことは、別の関わり方です。

メルカリの学生・新卒向け公式案内には日本語と英語を業務に使い、必要な水準は職種や仕事内容によって異なると書かれています。
同じページの過去のインターン紹介にはメルペイのアプリ機能を開発し、さまざまな国籍の社員やデザイナーらと英語でやり取りした例もあります。
担当しているのは「英語を話すこと」ではなく、アプリの機能を作ることです。不具合を直すなら、どんな操作で問題が起きたかを確かめ、変更したコードを同僚に見てもらい、別の問題が起きていないかを確認します。その相談相手が多国籍なら、言葉や前提の違いも仕事に関わってきます。

外国籍の社員が何人いるかより、配属されるチームで誰と何を決めるのかを見るのがおすすめです。外国籍の同僚がいるだけで、すべての業務が国際的になるわけではありません。
こうした環境は外資系企業だけのものでもありません。会社の資本の国籍と、職場の言語・顧客・チームの構成は別の話です。詳しくは国際的な仕事がしたいなら外資系?で説明しています。

6. 「日本で働ける」と「海外転勤がない」の違い

日本での暮らしを条件にするなら、ここは必ず分けて考えてください。
日本勤務の実例や今の勤務地は、将来の勤務地を保証しません。

2026年10月29日に確認したジェトロの新卒募集要項では、勤務地は国内または海外の事務所で、新入職員は原則東京の本部勤務とされています。
国内で国際的な事業に携われる組織ですが、国内勤務限定の採用ではありません。なお、掲載されている2027年度新卒採用の受付は終了していて、2028年度の募集要項は案内待ちです。
メルカリの新卒案内も、本社所在地は東京としつつ、勤務地はポジションによるとしています。組織全体の案内だけで判断せず、応募する職種の募集票を読む必要があります。

募集要項や説明会で確かめることは次の5つです。
□ 日本に住み続けられるか:最初の勤務地だけでなく、勤務地の変更範囲と海外転勤の扱い
□ 海外出張はあるか:担当業務での頻度・期間(転勤しないこととは別に確認)
□ 実際に海外と関われるか:若手が担当する顧客・拠点・チームと、その相手との日常業務
□ 英語をどの程度使うか:メール、会議、資料、顧客説明のどこで使い、応募時に何を求めるか
□ 生活のリズムが合うか:時差のある会議の時間帯、出社と在宅勤務の条件

「海外勤務は希望者だけですか」と聞くだけでは、自分の条件と合うかわからないことがあります。
「この職種で採用された場合、勤務地はどの範囲で変更されますか」「国内にいる若手は、どんな海外案件を担当しますか」と分けて聞くと伝わりやすいです。
社員に直接聞ける機会があれば、交換留学生がOB・OG訪問で聞くべき質問も参考になります。

日本勤務を希望する理由は家族やパートナーとの生活、地域に関わりたい気持ちなど、人それぞれでかまいません。
個人的には、そうした条件を意欲が足りない証拠のように扱う必要はないと思っています。そのうえで、会社のイメージより具体的な勤務条件を確かめておくと安心です。

7. 大学の授業や交換留学で小さく試してみる

「国際的な何かをしなければ」と大きく構えるより、気になった業務を小さく試すのがおすすめです。
次は大学生向けの学び方の例で、企業の応募条件ではありません。

a. 商品を海外へ届ける仕事

商品を海外へ届けることに興味があるなら、マーケティングや地域研究の授業で、身近な商品が別の国でどう売られているかを調べてみてください。
価格だけでなく、容量、売り場、使い方、説明の仕方を比べると、同じ商品でも同じようには売れないことが見えてきます。
交換留学中なら、授業で学ぶ消費者行動や流通の知識を、実際の店の観察と照らし合わせることもできます。ただ、数軒見ただけで国全体の好みを決めつけず、自分が確認した範囲を書いておくと安心です。

b. 技術で一緒に作る仕事

技術で一緒に作る仕事に興味があるなら、共同の開発課題でコードを分担して書くだけでなく、変更した理由や残っている問題を短く記録してみてください。
時差や授業時間の違いで全員が集まれなくても、別の人が作業を引き継げる説明になっているかを試せます。
英語での共同課題があればよい練習になりますが、留学が必須というわけではありません。国内の授業や学生プロジェクトでも、相手が読んでわかる説明を書く経験は積めます。

c. 日本の企業や地域を支える仕事

日本の企業や地域を支えることに興味があるなら、住んでいる地域の産業を1つ選び、どんな商品や技術があり、どの国と取引しているかを公式資料から調べてみてください。
外国語で紹介するとしたら、何を先に説明しないと伝わらないかを考えるのも練習になります。

どれも「留学しました」という事実を増やすためではなく、その仕事を面白いと感じるかを確かめるためです。
交換留学先でどの授業を取るかは交換留学の授業はどう選ぶ?で、学内選考の志望理由に何を書くかは交換留学の学内選考では何を見られる?で説明しています。
授業と職業の関係は専攻別の記事にまとめています。

まとめ

  • 日本で働いていても、仕事の相手・届け先・チームが海外なら国際的な仕事になる
  • 商品を届ける、海外企業を支える、世界向けの開発を支える、多国籍のチームで作るなど、関わり方は1つではない
  • 日本勤務の実例と「海外転勤がない」は別なので、職種ごとの募集要項で勤務地の変更範囲を確かめる

今日やることは気になる仕事を1つ選び、公式の職務紹介と募集要項を並べて、「日本にいる担当者は誰と何を進めるのか」「その職種の勤務地はどこまで変わるのか」を書き出すことです。

ほかの分野は国際的な仕事を16分野で見渡す記事から、仕事ごとの役割はグローバルキャリア特集から読めます。
留学後の就職先を業界から比べるなら次の記事、就活の進め方は交換留学と就活の完全ガイドが参考になります。


参考にしたサイト:ジェトロ JAPAN MALL / ジェトロ 職員紹介(福井勤務の経験) / ジェトロ 越境ECの事業担当 / ジェトロ 対日投資 / ジェトロ 対日投資イベント担当 / ジェトロ 新卒募集要項 / 任天堂 世界同時発売を支える / メルカリ 学生・新卒向け案内

確認日:2026年10月29日。職員・開発事例は資料に記載された当時の内容です。採用条件や勤務地は、応募時の最新の募集要項で確認してください。