交換留学の倍率は何倍?大学別の公表データで学内選考と人気留学先を比較

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【大学間交換留学の教科書編集部】

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交換留学の倍率は、全国共通の数字はありません。
大学の公表例では、学内選考全体で約1.5〜1.7倍台、協定校別では1倍以下から10倍程度まで幅があります。

見る数字は学内選考全体の倍率と、希望する派遣先への集中度の2つです。
・慶應義塾大学:2026年度秋募集で出願376人、学内選考通過217人の約1.73倍(全体)
・東京大学:2026–27年期、プリンストン大学(学部)は第一志望17人に通年換算2枠で8.5倍(派遣先ごと)
・法政大学:派遣留学制度で約1.5倍(大学の目安)
・京都大学:協定校別におよそ1~5倍
・APU:協定校別に1倍以下~10倍程度

制度・年度・計算方法がそれぞれ違うので、まとめて「全国平均」を出すことはできません。
この記事では、大学ごとの公表データを、何を数えた数字なのかに気をつけながら読んでいきます。

1. 倍率の2種類

同じ「倍率」でも、次の2つは別物です。
・学内選考全体:所属大学の募集全体で、何人が応募して何人が通ったか
・派遣先ごと:希望する協定校に、募集枠の何倍の志望者が集まったか

読む順番はまず全体、次に自分の志望先です。
全体の数字で学内選考の厳しさをつかみ、志望先の数字で「どこに応募が集まるか」を見ると、見通しがかなり具体的になるんです。
個人的には、学内選考を経験した立場から、倍率は「出すかどうか」を決める数字ではなく「志望先をどう並べるか」を考えるための数字だと思っています。

2. 学内選考全体の公表例

a. 慶應義塾大学

慶應義塾大学の派遣交換留学生募集要項には、2026年度秋募集の出願者376人、学内選考通過者217人が載っています。
376÷217=約1.73倍で、通過したのは応募者の約58%です。
同じ募集回の応募者と通過者を比べているので、学内選考全体のイメージがつかめます。
ただし、資料の注記によると、追加選考での合格者は含まれていません。

慶應義塾大学の2026年度秋募集。出願376人、当初学内選考通過217人で約1.73倍
図1:慶應義塾大学の2026年度秋募集。出願者376人と当初学内選考通過者217人を比較。

この1.73倍には人気の派遣先も応募が少なかった派遣先も入っています。
「どの協定校でも約58%の確率で通る」という意味ではないので、志望先ごとの数字は3で見ます。

b. 東京大学

東京大学の全学交換留学(USTEP)案内によると、2026–27年期の秋募集では、希望した大学の枠に入れず不採択になった学生が応募者全体の約20%(約80人)でした。
大学は、不採択者の多くが北米・欧州の協定校2校だけを希望していたとも説明しています。

これは第一志望に入れなかった人数ではなく希望先のどこにも入れなかった人数です。
個別の大学の合格確率には置き換えられません。第二志望以下の選び方が結果を左右した例として読むのが自然です。

c. 法政大学

法政大学の派遣留学制度のFAQは、言語圏や年度で変わるとしたうえで、合格倍率を「約1.5倍程度」と案内しています。
対象年度は書かれていません。語学スコアが出願条件なので、受験できる学生がそもそも限られる、という説明もあります。
あくまで法政大学の派遣留学制度の目安です。所属大学が違えば、出願資格も選考方法も変わってくるので気をつけてください。

3. 派遣先ごとの公表例

人気校には第一志望が集まりがちです。
同じ大学から応募しても、協定校によって募集人数と志望者数は違います。
同じ海外大学でも、どの日本の大学から出願するかで枠も競争相手も変わるので、大学名だけで倍率は決まりません。

東京大学2026-27年期秋募集の第一志望者÷通年換算枠。プリンストン大学学部8.5倍、UCL4.1倍、ETH2.8倍、トロント大学1.7倍、シンガポール国立大学1.4倍
図2:東京大学の2026–27年期秋募集。第一志望者数を通年換算枠で割った値。学内選考通過率ではありません。

a. 東京大学

東京大学の2026–27年期の協定校別資料では、第一志望者数÷通年換算枠は次のとおりです。
・プリンストン大学(学部):17人/2人で8.5倍
・UCL:29人/7人で約4.1倍
・トロント大学:10人/6人で約1.7倍

これは第一志望の集まり具合です。
東京大学は半期留学の希望者も通年希望として単純化して計算していて、志望は最大6校まで出せます。
そのため、8.5倍を「プリンストン志望者が留学そのものに受かる確率は2/17」とは読めません。

b. 慶應義塾大学

慶應義塾大学の同じ2026年度秋募集では、シンガポール国立大学が第一志望17人/募集2人、ボッコーニ大学が第一志望8人/募集1人でした。
大学全体では約1.73倍でも、人気の協定校には第一志望が集まっていることがわかります。
ただ、第二志望以下からその協定校に通る人もいるので、第一志望者÷募集人数を「実際の合格倍率」と呼ぶのは正確ではありません。

c. 中央大学

中央大学の2026年度秋派遣募集要項(前年度参考データ)には、協定校別の数字も載っています。
ジュネーヴ大学は募集2人に応募10件で、大学が示す倍率は5.0倍です。
ただしこれは、1人が複数校を希望した場合も各校で数える延べ応募数です。東京大学の「第一志望者数÷枠」とは定義が違うので、同じランキングに並べることはできません。

d. 京都大学・APU

京都大学のFAQは、募集回や協定校によって倍率はおよそ1~5倍と説明しています。
APUの交換留学FAQは、低いところは1倍以下、高いところは10倍程度になることもあると案内しています。
どちらもその大学の派遣先ごとの幅です。

北米・欧州や英語圏に応募が集まりやすい傾向はありますが、前年の数字は翌年の倍率ではありません。
京都大学も、前年に応募が多かった大学に翌年は応募者がいないこともあると書いています。
個人的には、人気校を第一志望にするなら、第二志望以下に「本当に行きたい、応募が集まりにくい大学」を入れておくのがおすすめです。東京大学の約20%の例を見ると、ここで結果が分かれやすいからです。

4. 募集要項の4種類の数字

募集要項に似た数字が並んでいたら、次の4つのどれなのかを確かめると読み違えません。
協定上の交換枠:協定で想定される人数・学期数。当年度にその人数を募集するとは限りません。
当年度の募集人数:その募集回で応募できる枠。半期と通年をどう換算しているかを見てください。
応募者数:実人数、第一志望者数、延べ志望件数のどれか。資料ごとに単位が違います。
学内選考通過者数:所属大学から派遣候補者に選ばれた人数。受入先の最終許可や実際の派遣人数とは別です。

「募集2人・応募1件」と載っていても、その協定校に推薦が出るとは限りません。
中央大学の前年度データには、ミュンスター大学が募集2人・延べ応募1件・推薦0人という例があります。
その学生がほかの協定校に推薦されたのか、出願条件が関わったのかは、表からはわかりません。募集枠・延べ応募・推薦人数は別の数字として読んでください。

派遣人数や協定校数だけから応募倍率を出すこともできません。
派遣人数には内定後の辞退や受入許可までの過程が入り、協定校数からは応募者数がわからないからです。
この記事でも、応募者数を公表していない大学の数字は補っていません。

5. 自分の大学の倍率の調べ方

□ 今年の募集要項で、応募資格と募集人数を確認する
□ 「前年度参考データ」「応募状況」「留学のてびき」「FAQ」を探す
□ 同じ募集回の数字だけで計算する
□ 見つからなければ、留学担当の窓口に聞く

同じ協定校でも、学部や時期で募集の有無が変わります。
人数の列が第一志望者・延べ応募者・選考通過者のどれなのかも見てください。
計算するときは、学内全体なら実応募者数÷当初の学内選考通過者数、特定の協定校なら第一志望者÷当年度募集人数のように、定義も一緒にメモしておくと後で混乱しません。

窓口に聞くときは、「昨年度の全学選考の応募者数と通過者数」と「希望する協定校の過去の募集人数・第一志望者数」を分けて聞くと、答えてもらえる範囲がわかりやすくなるかなと思います。
実は、倍率を公表しない大学もあります。立教大学のFAQは倍率を公開していないと明記しています。
その場合は数字を作らず、募集枠や応募条件など、確かめられる情報から準備を進めてください。

6. 志望先の選び方

志望先は倍率より「何を学べるか」で選ぶのが基本です。
倍率を見る前に、その大学で何を学びたいか、交換留学生が希望分野の授業を取れるかを確かめてください。
そのうえで語学・GPAの要件、渡航時期、費用、募集枠を比べて、現実的に行ける候補を複数持っておくと選びやすいです。
候補を広げたいときは、留学先検索で所属大学から選べる協定校を確認できます。

倍率が低いという理由だけで選ぶと、留学計画や面接で「その大学で学ぶ理由」を説明しにくくなってしまいます。
枠が余っていても、語学要件やGPA、留学計画で通らないこともあるんです。
個人的には、倍率で選んだ大学より、授業を調べて選んだ大学のほうが、志望理由書も面接もずっと話しやすくなると思います。
学内選考で何を見られるかは、次の記事にまとめました。

すでに結果が出て、希望先のどこにも届かなかった人は、二次募集に出すか翌年に回すかを次の記事で判断できます。

まとめ

  • 交換留学の倍率は学内選考全体を見るか、派遣先ごとの集中を見るかで答えが変わる
  • 公表例では、学内選考全体は約1.5~1.7倍台、協定校別は1倍以下から8倍・10倍程度まで幅がある
  • どれも大学・年度・計算方法が違う数字で、全国平均や翌年の予測ではない

今日やることは所属大学の募集要項を開いて、前年度の応募者数と通過者数、志望先の募集人数を探してメモすることです。


参考にしたサイト:慶應義塾大学「2027年度派遣交換留学生募集要項」 / 東京大学「USTEP 応募方法・詳細」 / 東京大学「2026–27年期 協定校別応募者数」 / 法政大学「派遣留学 FAQ」 / 中央大学「2026年度秋派遣募集要項」 / 京都大学「留学 FAQ」 / APU「交換留学 FAQ」 / 立教大学「中・長期留学 FAQ」(2026年9月23日確認)

調査日:2026年9月23日。対象は日本の大学から海外協定校への交換留学・協定校への派遣留学です。年度や募集回、部局によって条件は変わります。応募を決めるときは、所属大学の最新の募集要項を確認してください。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。