【大学間交換留学の教科書編集部】
交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。
トビタテ!留学JAPAN(新・日本代表プログラム)は、民間企業などの寄附でまかなわれる返済不要の留学奨学金で、交換留学でも応募できます。
成績や語学力の基準がないので、GPAに自信がなくても応募できます。
ただ、手続きが大変で、授業に加えてボランティアなどの実践活動もしなければなりません。
留学先での具体的な活動や将来が明確に決まっているなら、私はトビタテに出すことをすすめますが、そうでない人は注意が必要です。
交換留学の場合、協定校で授業を受けるだけの計画では条件を満たしません。
2027年度(第19期)の要点は次のとおりです。
・金額:月12万〜16万円+留学準備金21万円または35万円(家計基準内の場合)
・採用人数・倍率:採用予定は約250人。前年度(第18期)は1,481人が応募して277人が採用、5.3倍
・締切:大学からの申請期限は2027年2月25日。学内締切はそれより早く、第18期の例では1月中旬〜2月上旬
・応募方法:在籍している大学を通して応募(個人では出せない)
ほかの奨学金と並べて比べたい人は、交換留学の奨学金の探し方から候補を洗い出してみてください。
1. トビタテの概要
トビタテは、文部科学省が旗を振り、日本学生支援機構(JASSO)が実施している官民協働の留学支援制度です。
正式名称は「官民協働海外留学支援制度 ~トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム~」です。
高校生等対象もありますが、この記事で扱うのは大学生等対象だけです。
奨学金の原資は国の予算ではありません。
民間企業・団体と個人からの寄附で、支援企業・団体は109社・団体、総額44.7億円にのぼります(2026年6月1日時点、文部科学省の発表)。
個人の寄附者もいて、大学生等の支援予定人数の約2割は梁井新一氏の寄附によるものだと要項に書かれています。
制度が始まったのは2013年です。
2023年度(第15期)からは第2ステージの「新・日本代表プログラム」に切り替わり、当初の予定だった2027年度までの5年間が、2028年度まで1年延長されています。
第14期以前の体験記はコースの分け方も面接の形式も今と違うので、読むときは何期の話かを先に見ておくと混乱しません。
要項が制度の目的として最初に掲げているのは、「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」の育成です。
あわせて、実践的な海外での学び、国際頭脳循環、アントレプレナーシップの醸成、留学生どうしのネットワーク作りも挙げられています。
この目的の言葉は、あとで書類を書くときにそのまま手がかりになります。
2. 対象と応募条件
応募できるかどうかは、応募資格、交換留学で使う条件、家計基準、併給、応募の窓口の5つで判断できます。
a. 応募資格
・国籍:日本国籍、または応募時までに日本の永住許可を得ている
・年齢:2027年4月1日時点で30歳以下
・在籍:日本の大学・大学院・短大・高専(4年生以上・専攻科)・専修学校(専門課程)などに在籍し、留学中も在籍していること
・過去の採用:この制度・旧制度で大学生として採用された人は、原則応募できない
学部生か大学院生かは問いません。
公式FAQでも「一概に学部生が不利になることはない」とされています。
留学中に休学していても在籍扱いでよい、と案内している大学もあります(お茶の水女子大学の第18期FAQ)。
一方で、留学を始める前に卒業してしまう人は原則として対象外です(明治大学の第18期FAQ)。
成績や語学力の基準はありません。
公式FAQに「学業成績や語学力の要件はありません。」とはっきり書かれています。
GPAで交換留学の学内選考に苦戦した人でも、ここは条件の時点ではじかれることがないんです。
b. 交換留学で使う条件
交換留学でも応募できます。
お茶の水女子大学の第18期FAQでは、「交換留学で渡航する場合でも応募申請できますか?」という問いに「すべて応募申請可能です。」と答えています。
明治大学のFAQでも協定留学での応募は可能とされていて、学内の協定留学の結果が出る前に出しても大丈夫です。
ただ、交換留学の人には気をつけたい点が2つあります。
・協定校で授業を受けるだけでは足りず、インターンシップやフィールドワークなどの「実践活動」を計画に入れる必要がある
・協定で授業料が免除される場合、トビタテの授業料支援(30万円)は出ない
留学の目的に沿った実践活動が含まれている計画
出典:トビタテ 大学生等対象 募集要項(2027年度・第19期)p.11
留学の時期と長さの条件は次のとおりです。
・留学開始:2027年8月1日〜2028年3月31日
・期間:28日以上1年以内(3か月以上を推奨)。終了は2029年1月31日まで
・語学学習だけの計画は対象外(語学が準備や補助の一部なら可)
・受入れ機関の受入許可が必要(応募の時点では不要で、渡航前までに出せばよい)
・外務省の危険情報がレベル2以上の地域は、原則として支給の対象外
秋に出発する交換留学なら、開始日の条件にはほぼ収まります。
協定留学の学内選考に落ちて私費留学に切り替える場合も、計画変更の申請をすれば受給できる可能性はある、と明治大学のFAQにあります。
ただし計画が大きく変わると採用が取り消されることもあるので、切り替えるときは早めに窓口へ相談してみてください。
c. 家計基準
所得の基準はJASSOの第二種奨学金(貸与)の家計基準で判定されます。
学部生は生計を立てている人(原則は父母)の収入、大学院生は本人と配偶者の収入で見られます。
要項では2026年度(令和8年度)の課税証明書を大学に出すことになっています。
基準を超えていても、応募そのものは可能です。
ただし採用は支援予定人数全体の1割程度が上限で、月額も6万円に下がります。
家計基準を超えそうな人は、所得制限のない奨学金のほうを本命にしてください。交換留学で所得制限なしの奨学金で、業務スーパーなどの候補をまとめています。
d. 併給
JASSOの海外留学支援制度(協定派遣・学部学位取得型・大学院学位取得型)とは、同時に受け取れません。
明治大学のFAQでは「併願は可能ですが、併給は不可です。」と整理されています。
両方に出して、両方に受かったらどちらか1つを選ぶ形ですね。
ほかの団体の給付奨学金やインターンの報酬は併給できます。
ただし、留学中の月平均(総額÷留学月数)がトビタテの月額を超えないことが条件です。
国内の貸与奨学金(JASSOの第一種・第二種)とも併給できます(明治大学FAQ)。
相手の団体が併給を認めていないこともあるので、確認の手順は留学の奨学金は併給できる?で見ておいてください。
たとえば業務スーパー奨学金は、同じ留学へのほかの奨学金を受けていないことが条件なので、トビタテとは一緒に受け取れません(業務スーパー奨学金の解説記事)。
e. 応募の窓口
応募は在籍している大学を通して行います。
個人で事務局に直接出すことはできず、事務局は学生からの直接の問い合わせも受け付けていません。
質問はすべて大学の留学窓口に、ということです。
大学によっては、独自の学内申請書や教員の推薦書を求めるところもあります。
たとえば立教大学の第18期の学内要項では、教員の推薦書が必要でした。
まずは自分の大学の学内募集のページを探すところから始めてみてください。
3. 支給額
支給されるのは、毎月の奨学金、1回だけの留学準備金、授業料の3つです。
金額は第19期の要項によるもので、第18期と変わっていません。
奨学金(月額)
・北米・シンガポール・欧州・中近東:16万円(家計基準内)
・アジア(シンガポールを除く)・大洋州・中南米・アフリカ:12万円(家計基準内)
・家計基準を超える場合:6万円
欧州のうち、中東欧や旧ソ連圏の一部の国(ポーランド、チェコ、ハンガリー、ルーマニア、バルト三国など)は「除外国」として12万円になります。
家計基準外の6万円は、要項の表だと地域の区別が読み取りにくいのですが、津田塾大学の第18期の学内要項では地域を問わず6万円と案内されていました。
留学した日数が15日未満の月は支給されない点も、意外と見落としがちです。
留学準備金(1回)
・アジア:21万円(15万円+円安・物価高による増額6万円)
・その他の地域:35万円(25万円+増額10万円)
渡航費は別には出ません。
往復の航空券、ビザ、予防接種、研修の参加費などは、この準備金でまかなう考え方です。
授業料
全地域で30万円です。海外の大学などに払う授業料が対象です。
ただし、協定で授業料が免除される交換留学では、この30万円は出ません。
協定等により、受入れ機関において授業料不徴収又は全額免除となっている場合、授業料は支援対象外です。
出典:トビタテ 大学生等対象 募集要項(2027年度・第19期)p.8
交換留学で欧州に10か月行く場合(家計基準内)で計算すると、16万円×10か月+35万円=195万円です。
アジアなら、12万円×10か月+21万円=141万円です。
出発月と帰国月の日数で支給月数は変わるので、あくまで目安として見てください。
奨学金は、JASSOから大学へ年度分がまとめて送られ、大学が毎月在籍を確認してから学生の口座に振り込みます。
留学準備金は支給申請の書類を出したあとの支給です。
月額は第一希望の国と期間で決まり、採用後に金額を増やす計画変更はできません。
寮費や航空券の支払いは、奨学金が入る前に来ることがよくあります。
入金月と支払月のずれは、交換留学の費用シミュレーターに入れてみると具体的に見えてきます。
4. 採用人数と倍率
倍率は文部科学省の発表と同じく「応募者数÷採用者数」で出しています。
数字は新大学1年生の枠を含めた合計です。
・第15期(2023年度):1,356人が応募、261人が採用(5.2倍)
・第16期(2024年度):1,369人が応募、267人が採用(5.1倍)
・第17期(2025年度):1,204人が応募、268人が採用(4.5倍)
・第18期(2026年度):1,481人が応募、277人が採用(5.3倍)
第18期は、応募者が前年から約2割増えました。
ここ4年は5倍前後で推移していて、だいたい5人に1人が採用される計算です。
コース別に見ると、差はかなり大きいです(第18期)。
・イノベーター:154人が応募、50人が採用(3.1倍)
・STEAM:458人が応募、111人が採用(4.1倍)
・ダイバーシティ:869人が応募、116人が採用(7.5倍)
人文学や社会科学などの計画が入るダイバーシティコースが、いちばんの狭き門なんです。
第17期も748人が応募して117人が採用で、計算すると約6.4倍でした。
個人的には、文系の交換留学生がダイバーシティで出すなら、全体の5倍ではなく7倍前後を前提に準備するのが現実的だと思っています。
第19期の採用予定は約250人(イノベーター50人、STEAM100人、ダイバーシティ100人)です。
参考までに、第15期〜第18期の実際の採用は261〜277人でした。
大学ごとの学内の応募者数は公表されていないので、上の数字は全国の合計として見てください。
5. 選考フローと日程
第19期(新大学1年生以外)の流れは次のとおりです。
- 学生対象の説明会:2026年11月6日(対面)、11月10日・12日(オンライン)。12〜1月にはトビタテOB・OGによる応募相談会も予定
- 応募申請の開始:2026年12月上旬予定
- 学内締切:大学ごとに設定(第18期の例では立教大学が1月19日、津田塾大学が1月26日・2月1日)
- 大学からJASSOへの申請期限:2027年2月25日(木)17時
- 書面審査の結果:4月下旬予定
- 面接審査:2027年5月15日(土)・16日(日)、東京で対面
- 採否の通知:6月中旬予定
- 壮行会(7月中旬・東京)と事前研修(2日間・出席必須)
- 留学:2027年8月1日〜2028年3月31日に開始
- 帰国後:事後研修(2日間・出席必須)、留学状況報告書の提出
本当の締切は2月25日ではなく大学の学内締切です。
第18期の例を見ると1月中旬〜2月上旬で、課税証明書などを大学に出す期限も別に決まっています。
年末年始をはさむので、11月の説明会のころには書き始めておきたいところです。
事前研修は次の4つの日程から1つを選びます(いずれも2027年・予定)。
・7月24日・25日
・7月28日・29日
・7月31日・8月1日
・8月21日・22日
面接の交通費は自己負担です(公式FAQ)。
地方の大学の人は5月の東京行きの費用と予定も見込んでおいてください。
選考結果の理由は開示されず、提出したあとの書類の差し替えもできません。
なお、新大学1年生は申請が2027年4月1日〜22日、面接が5月29日と別の日程です。
採用されたあとにも、やることがあります。
留学中は留学先で日本や地域の魅力を伝える「アンバサダー活動」があります。
帰国後は事後研修(留学が終わった月から1年以内、かつ2029年3月まで)を受けて、1か月以内に留学状況報告書を出し、経験を発信する「エヴァンジェリスト活動」を続けます。
研修の欠席や不適切な行動は支援の取消・返還の対象になるので、もらって終わりの奨学金ではないんですよね。
6. 応募書類と設問
書類はすべて日本語で、オンライン入力(GAXIシステム)とPDFの添付で出します。
出すものは次の4つです。
1. 留学計画書(オンライン入力)
・留学計画のタイトル:65字以内
・留学の目的、留学計画の達成目標及び概要:1000字以内(実践活動を含める)
・留学の成果及びその測定方法の詳細:400字以内
・期待できる留学の成果の活用:500字以内
・留学計画の実現のための具体的な取組:500字以内
2. アンバサダー活動及びエヴァンジェリスト活動(オンライン入力)
500字以内で、それぞれの目的と方法を書きます。
3. 自由記述書(PDF、A4で2枚以内)
留学を通じてどんな自分になりたいか、困難の経験と学び、成果の社会への還元、自己アピールなどを、文章だけでなく図や画像も使って自由に表現する書類です。
受入許可書は、用意できている人だけ添付すれば大丈夫です。
4. 実績(イノベーターコースと新大学1年生のみ)
対外的な評価・実績の箇条書きと、その証明書類(A4で3枚以内、任意)です。
新大学1年生は「高校時代等に力を入れたこと」を300字以内で書きます。
このほか大学には、課税証明書、大学独自の学内申請書、大学によっては推薦書を出します。
公式サイトで「応募書類事前準備シート」(Excel)が配られているので、まずはこれに下書きするのが早いです。
オンラインの入力画面でいきなり書くより、字数を見ながら手元で何度でも直せます。
交換留学の学内選考で書いた志望理由書は、そのままでは使いにくいです。
トビタテの計画書は実践活動と「成果をどう社会に返すか」まで求めているからです。
書き分け方は奨学金の志望理由と交換留学の志望理由の書き分けで説明しています。
7. 選考のポイント
審査は「人物」と「計画」の2つの観点で行われ、「人物」のほうがより重視されます。
人物は主に支援企業の人事担当者など、計画は大学教員などの学識経験者が評価します(イノベーターコースの人物評価は、社会で活躍するイノベーターが担当)。
つまり、書類を読む人の半分は留学の専門家ではなく企業で人を採用している人たちなんです。
審査は「人物」と「計画」の2つの観点から行います。「人物」の観点をより重視します。
出典:トビタテ 大学生等対象 募集要項(2027年度・第19期)p.16
編集部でも、トビタテに応募した経験があります。
応募書類を書いてみて感じたのは、要項の言葉を手元に置いて書くと、各欄に何を書けばいいかで迷う時間がかなり減るということでした。
a. 制度の目的との重ね方
1000字の「目的・達成目標」は、何を学ぶかで終わらせず、帰国後に日本の何をどう変えたいかまで書いてみてください。
要項は制度の目的を「自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダー」の育成とし、求める人材像にも「日本の未来を創る将来のグローバルリーダー」と書いています。
500字の「期待できる留学の成果の活用」は、この“帰国後”を受け止める欄です。
神戸大学の第17期の体験記では、準備の軸を「日本(官民協働のトビタテ)が自分に留学費を投資するメリットは何か?」に置いていました。
寄附で成り立っている制度なので、この問いに1文で答えられるかを、書き始める前に試してみるといいです。
交換留学の志望理由は「この大学で何を学ぶか」が中心ですが、トビタテでは「学んだことで社会に何を返すか」まで聞かれます。
b. 実践活動の入れ方
交換留学の人がいちばんつまずきやすいのが、ここです。
要項は実践活動を「『実社会との接点』から多様な学びを得る」学修活動とし、計画に含めることを条件にしています。
明治大学のFAQにも、「協定留学先で授業を受けるだけではなく、『実践活動』の内容を充実させる必要があります」とあります。
実践活動の例は、インターンシップ、フィールドワーク、ボランティア、PBL(課題解決型の学習)などです。
第15期の合格者のnoteでは、モロッコでの計画を「座学(交換留学)」「実践活動(インターン)」「アンバサダー活動」「エヴァンジェリスト活動」の4本柱で組んでいました。
個人的には、交換留学の授業を土台にして、その上に実社会との接点を1つ以上のせる形が、交換留学の人にとってはいちばん書きやすいと思います。
実践活動の受入れ先は、大学が紹介してくれるわけではなく自分で探すことになります(明治大学FAQ)。
応募の時点で決まっていなくても大丈夫で、神戸大学の第17期の体験記には、受入れ先が決まらないまま書類審査を通り、30以上の機関にメールして後から確保した例があります。
計画書には候補の機関名と、だめだったときの代わりまで書いておくと、面接で聞かれても慌てずに済みます。
c. 成果の書き方
400字の欄の名前は「留学の成果及びその測定方法の詳細」です。
つまり「何ができるようになるか」と「それをどう確かめるか」を、セットで書く欄なんです。
測り方は数字、成果物、第三者の評価のどれかで書くとわかりやすくなります。
たとえば「インターン先の担当者から最終報告書にフィードバックをもらう」「現地の学生向けのワークショップを3回開く」のような書き方です。
島根大学の体験記(旧制度の第1期)には、計画書で「『色々な』や『様々な』のような表現をしない」という注意がありました。古い体験記ですが、この点は今もそのまま通じます。
d. 自由記述書の使い方
自由記述書はA4で2枚、図や画像も使える書類です。
人物を重視する審査なので、個人的には、計画の説明を繰り返すより「なぜ自分がこのテーマに取り組むのか」を見せる場所として使うのがおすすめです。
面接の体験記を読むと、「課題に気づいたきっかけ」や「なぜそこまでその課題に関わろうと思ったのか」は、期をまたいで繰り返し聞かれています(第15期のnote、神戸大学の第17期の体験記)。
原体験から留学へ、留学から将来へと、1本の線でつながるように並べてみてください。
ちなみに神戸大学の第17期の体験記には、文字だけの書類で合格し、「形式や見た目よりも、一貫性のある計画や、自分の熱意が伝わることの方が大事」と振り返る人もいます。デザインに時間をかけすぎなくて大丈夫です。
アンバサダー・エヴァンジェリスト活動の500字は、求める人材像にある「周囲を巻き込む力」を見せられる欄です。
「SNSで発信する」だけで終わらせず、だれに、何を、どの場で伝えるかまで書くと、ぐっと具体的になります。
e. 面接の準備
面接の形式は要項に書かれていないので、ここからは体験記をもとにした話です。
期によって細かい部分は違いますが、第15期と第17期の体験記を並べると、次の2本立てなのは共通しています。
・個人面接(約30〜40分):最初に留学計画を説明し、そのあと深掘りの質問
・グループ面接(5〜6人):1人数分ずつ計画を発表し、お互いに質問したり、テーマを決めて話し合ったりする
個人面接の計画説明は、時間の指定がなかった年もあれば、約4分だった年もあります。
神戸大学の第17期の体験記では3分・5分・7分の版を練習していて、どの長さを求められても対応できるようにしていました。
スライドを印刷してスケッチブックに貼り、紙芝居のように見せる人が多いようです。
体験記でよく聞かれている質問はおおむね次の4つです。
・なぜその国・地域なのか(ほかの国ではだめなのか)
・受入れ先は決まっているか、だめだったらどうするか
・語学力は足りているか
・なぜトビタテなのか
面接官は企業の人事担当者やトビタテのOB・OGです。
計画の弱いところを突かれても、言い負かそうとせず、受け止めたうえで代わりの案を話してみてください。
第15期の合格者は、暗記すると面接官に伝わってしまうので、要点だけ押さえて会話するように答えるのを勧めています。
グループ面接についても、人の意見を否定せず、認めたうえで自分の意見を出す、という助言がありました(hirobuzzの第15期の体験記)。
f. 締切と併願の段取り
準備のスケジュールは要項の2月25日ではなく大学の学内締切から逆算します。
神戸大学の第17期の体験記では、締切の2か月前から準備を始め、トビタテの先輩やキャリアセンターに添削してもらっていました。
ただし、見てもらう人を増やしすぎると自分の軸がぶれる、という注意も書かれています。
交換留学の人は、JASSOの協定派遣とどちらを受け取るかも先に考えておいてください。
両方に出すことはできても、両方は受け取れません。
トビタテには5で書いた面接・研修・発信活動の義務があり、交換留学では授業料の支援も出ません。
金額だけでなく、こうした負担も含めて比べてみてください。
協定派遣の月額や学内での選ばれ方はJASSO協定派遣の解説記事にまとめているので、並べて見ておくと判断しやすいです。
もう1つ確かめておきたいのが、事前研修と出発日の重なりです。
秋に出発する交換留学だと、8月下旬の研修日程が、留学先のオリエンテーションや出発日とぶつかることがあります。
採用の前から、4つの日程のどれなら出られるかを見ておくと安心です。
奨学金全体をいつから探すかは、留学の奨学金はいつから探す?で1年前からの流れにしています。
8. 参考になる体験記・資料
実際に中身を読んで、準備に役立つと感じたものを10件挙げます。
面接の形式は期によって違うので、第15期以降(今の制度)のものを中心にしています。
明治大学「トビタテ 第18期 FAQ」
交換留学(協定留学)との関係、協定派遣との併願・併給、卒業予定者の扱いなどを一問一答で整理した大学の資料です。
交換留学の人は、学内の窓口に聞く前にまずこれを読むのが早いです。
お茶の水女子大学「トビタテ第18期 FAQ」
交換留学、短期研修、休学しての私費留学など、どの形でも応募できることを一問一答で示しています。
在籍の条件を確かめたいときに向いた、短い資料です。
神戸大学「トビタテ選考体験記」第17期・ダイバーシティ(国際人間科学部3年)
ウガンダの大学への私費留学の計画です。
準備の進め方と添削の頼み方に加えて、グループ面接の3つのお題(どんな留学にしたいか、トビタテを選んだ理由、計画作りで気づいたこと)が載っています。
神戸大学「トビタテ選考体験記」第17期・ダイバーシティ(国際人間科学部4年)
教育分野の海外インターンの計画です。約40分の個人面接で、日本の課題に気づいたきっかけ、解決の仮説と根拠、ほかの教育系の応募者との違いを聞かれた記録があります。
受入れ先探しの経緯は、交換留学+インターンを考える人にも役立ちます。
神戸大学「トビタテ選考体験記」第17期・ダイバーシティ(保健学研究科 修士1年)
書類の見た目より、計画の一貫性を大事にした準備の記録です。
「トビタテ受け」を意識しすぎたときにキャリアセンターから自分らしさを問われ、見直したという話は、型にはめて書こうとしている人にこそ読んでほしい部分です。
神戸大学「トビタテ選考体験記」第15期・ダイバーシティ(修士2年)
今の制度の初年度の面接の流れです。個人面接は約4分のプレゼンと質疑、グループ面接は6人で各4分発表したあと「留学をよりよくするために必要なこと」を話し合う形でした。
イノベーターコースは起業家が面接官になることが多い、というコース選びの話もあります。
note「二次試験の面接対策【プレゼン資料と面接の質問項目を大公開】」(はるな・第17期)
2025年5月の面接の記録です。個人面接40分(プレゼンは約15分)、グループ面接70分の流れと、「もしそのインターンがダメなら、どこか他に考えている機関はあるか」など実際の質問9つが公開されています。
プレゼン資料も見られるので、スライド作りの参考にもなります。
note「ギリギリで駆け抜けた合格体験談(後編)」(髙橋理緒・第15期)
交換留学(モロッコ)を土台にした計画です。書類結果から面接まで約20日しかなかった経験、スライドをA3のスケッチブックに貼る作り方、当日は飲み物を持っていくといった細かい注意まで具体的に書かれています。
交換留学の人にとっては、いちばん近い例だと思います。
hirobuzz「【合格体験記】第15期 2次審査徹底解説」
カナダへの留学の計画で、個人面接30分とグループ面接(発表、相互質問、「最高の留学をするための3つの要素」の討議)の流れをまとめた記事です。
「なぜその国にしたのか」「交換留学かどうか」といった質問と、語学力や準備状況を盛らない、という助言が参考になります。
島根大学「トビタテ体験記」(旧制度・第1期)
旧制度の古い例なので、面接の部分は今とは別物です。
それでも、受入れ先の教授への依頼メールに自己紹介、制度と資金の説明、やりたいことと期間を入れる書き方は、実践活動の受入れ先を探すときにそのまま使えます。
まとめ
- 交換留学でも応募でき、成績や語学力の基準もない。留学先での具体的な活動や将来が明確に決まっているなら出す価値があるが、手続きが大変で実践活動も必要なので、そうでなければ注意する。授業料支援は出ない前提で計画する
- 倍率は全体で約5倍、ダイバーシティコースは7.5倍(第18期)。人物重視なので、原体験から帰国後までを書類と面接で一本の線にする
- 本当の締切は学内締切。協定派遣とは併給できないことと、事前研修の日程も先に確かめる
今日やることは自分の大学のトビタテ学内募集のページを開いて、学内締切の日付を書き出すことです。
参考にしたサイト: トビタテ!留学JAPAN「大学生等対象 募集要項(2027年度・第19期)」 / 同「募集要項(2026年度・第18期)」 / トビタテ!留学JAPAN「大学生等対象 新・日本代表プログラム」 / 同「よくある質問(第19期)」 / 同「応募への準備お役立ち情報(説明会・応募書類事前準備シート)」 / 文部科学省「第18期派遣留学生の選考結果」 / 同 別紙(コース別・地域別の内訳) / 日本学生支援機構「2026年度(第18期)派遣留学生の選考結果」 / 文部科学省「第17期派遣留学生の選考結果」 / 文部科学省「第16期派遣留学生の選考結果」 / 立教大学「第18期 学内募集要項」 / 津田塾大学「第18期 学内募集要項」
確認日:2026年10月28日。募集要項(2027年度・第19期)をもとにしています。条件や日程は年度ごとに変わるので、応募前に最新の要項と大学の学内募集を確認してください。面接の形式は要項に記載がなく、公開されている体験記をもとにしています。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。
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