JASSO協定派遣とは?倍率・金額・成績評価係数と申請のポイント【2026年度・交換留学】

JASSO協定派遣の金額・条件・選ばれ方

【大学間交換留学の教科書編集部】

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JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)は、大学が協定にもとづいて送り出す学生に、月8万〜12万円を返済不要で支給する国の奨学金です。
交換留学に行くなら、ほかの奨学金を本命にする人も含めて、協定派遣はまず申し込んでおいてください。
交換留学で使える奨学金のなかでは採用人数がいちばん多く、成績評価係数2.30以上が目安で、家計の負担が大きい人ほど優先されやすい制度なんです。

要点は次の4つです。
・金額:月8万〜12万円(留学先の地区で決まる)+渡航支援金16万円または1万円(2026年度)
・採用人数:全国で18,153人の予定(2026年度)。全国の倍率は公表されていません
・締切:大学ごとに違う(例:APUは2月20日、中央大学は4月24日)
・応募方法:在籍大学の学内募集からだけ。JASSOに直接は出せません

ネットでよく見る「月6万〜10万円」「一時金13万円」は、2024年度までの数字です。

1. 協定派遣の概要と仕組み

a. 運営団体と財源

運営しているのは独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)で、お金の出どころは国の予算です。
文部科学省の令和7年度予算案では、協定派遣型に56億円、21,288人分が計上されていました。
民間財団のような理念文はなく、公式の説明は「留学費用の一部を支援する」というあっさりしたものです。
書類の物差しになるのは、財団の思いではなく大学のプログラムの趣旨です(7のb)。

b. 大学側で行う2段階の選考

この制度でいちばん誤解されやすいのが、選考のしくみです。
実は、JASSOは学生の作文を読みませんし、面接もしません。
選考はすべて大学の側で、次の2段階に分かれています。

・1段階目:大学が「派遣プログラム」をJASSOに申請し、採択されるかどうか
・2段階目:採択されたプログラムに割り当てられた人数の枠を、大学が学内でだれに配るか

1段階目は、大学がプログラムを申請し、JASSOが採択を決める段階で、学生は関われません。
採択されたプログラムには人数の枠が付きます。たとえば2026年度は、中央大学「グローバル人材育成北米派遣留学プログラム」が25人、早稲田大学「世界大学ランキング100位までの派遣留学プログラム」が70人でした。

2段階目が、学生が申し込む学内募集です。
大学が枠のなかで学生を選んでJASSOに申請し、承認されれば採用です。
つまり、自分の大学に採択プログラムがあり、派遣先と期間がそこに入っていなければ、そもそも応募できないんです。

※学生個人での派遣プログラムの申請はできません。在籍大学等に問い合わせてください。

出典:JASSO「海外留学支援制度(協定派遣)」(2026年6月22日更新)

自分の大学のプログラム名と枠は、JASSOが公開している採択一覧(タイプA)と採択一覧(タイプB)のPDFで調べられます。
タイプAは審査で落ちることもある枠、タイプBは前年度からの継続分です(2026年度は677件すべて採択)。

2. 対象と応募条件

JASSOが決めている全国共通の要件は8つです。
ただ実際には、大学がそこに数字の基準を上乗せしているので、両方を分けて見ていきます。

a. 国籍・学年・課程

対象は日本国籍の人か、日本への永住が許可されている人(特別永住者を含む)です。
新潟大学の学内資料には「定住者は含まない」と書かれていました。
学部生も大学院生も対象で、短大・高専・専修学校の学生も入ります。
年齢の制限はなく、社会人の大学院生が申請した体験記もあるくらいです。

b. 交換留学での利用条件

交換留学で使えます。
要件の中心が「学生交流に関する協定等に基づき、派遣先大学等が受入を許可する者」なので、大学間の交換留学はど真ん中です。
期間は8日以上1年以内で、ほかに次の3つの条件があります。

・派遣後に在籍大学へ戻り、学位を取るか卒業すること(留学の途中で卒業する人は対象外)
・外務省の危険情報で「レベル2」以上の地域への派遣ではないこと
・必要なビザを確実に取れること

留学中に派遣先がレベル2以上になると、支給は見合わせです。
年度は留学を始める日で区切られ、2026年度なら2026年4月1日〜2027年3月31日に始まる留学が対象になります。

c. 成績と語学の基準

JASSOの要件の文言は「学業成績が優秀で人物等に優れている者」だけです。
でも実際は、ほぼすべての大学が「成績評価係数2.30以上(3.00満点)」を基準にしています。
東京大学・中央大学・APU・明治大学など、今回読んだ要項(2025〜2026年度)はどれもこの数字でした。

注意したいのは、この係数が大学のGPAとは別物だという点です。
名古屋市立大学・宇都宮大学・横浜市立大学の要項にも、はっきりそう書かれています。計算の仕方と具体例は7のcで説明します。
語学の基準はJASSO本体にはありません。ただし大学が独自に課すことはあり、名古屋市立大学(2026年度)はTOEIC L&R 550・TOEFL iBT 42・IELTS 5.0以上を求めています。

d. 家計の条件

家計の話は2種類あって、ここを混ぜてしまう人がとても多いです。
1つ目は奨学金そのものの条件です。
JASSOの文言は、在籍大学で「経済的理由により、自費のみでの派遣プログラムへの参加が困難な者」と認められることです。
何円以下という全国共通の線はなく、判断は大学に任されています。

たとえば早稲田大学は「JASSO第二種奨学金の家計基準を満たす者を優先」としつつ、超えていても大学が困難と認めれば対象になると説明しています。
慶應義塾大学(2025年度)は「奨学金月額自体には所得制限なし」という書き方でした。

2つ目は渡航支援金16万円の基準で、こちらは全国共通です。
生計を支える人(父母が共働きなら合算)の収入が、給与所得だけの世帯なら年間収入(税込)300万円以下、それ以外の所得がある世帯なら年間所得(必要経費控除後)200万円以下です。
かなり厳しい線で、予算上も841人分しかありません(令和7年度予算案)。

つまり「家計基準を超えたら応募できない」わけではないんです。
ただ、家計を優先順位に使う大学(中央大学・APU・明治大学など)では、家計の負担が大きい人から順に枠が埋まっていきます。
超えそうな人も申請はしたうえで、所得制限なしの奨学金を本命にして並行して探してください。

e. 併給できる奨学金

ほかの奨学金との併給のルールはJASSOの公式ページで決まっています。

・JASSOの第一種・第二種奨学金(貸与型)とは併給できます
・ほかの派遣用の奨学金とは、月額の合計がこの制度の月額以下なら併給できます
・JASSOの国内の給付奨学金、海外留学支援制度(大学院学位取得型)、トビタテ(官民協働海外留学支援制度)とは併給できません

国内の給付奨学金を受けている人も、停止・休止の手続きをすれば受給できる大学が多いです。
具体的な計算の仕方は7のeで説明します。併給全般の考え方は留学の奨学金は併給できる?で整理しています。
トビタテの金額や条件はトビタテ留学JAPANの解説記事にまとめています。

3. 支給額

a. 地区別の月額

月額は留学先の地区で決まり、返済は要りません(2026年度)。
・A地区:12万円
・B地区:11万円
・C地区:9万円
・D地区:8万円

中央大学の2026年度要項(p.12)の地区一覧では、だいたい次のように分かれていました。
・A:米国の主要都市、トロント、バンクーバー、ロンドンなど
・B:シンガポール、香港、ソウル、オーストラリア、パリ、北欧の一部など
・C:台湾、タイ、ドイツ、オランダ、パリ以外のフランスなど
・D:マレーシア、ベトナムなど

この区分は年度で変わります。
オーストラリアは、新潟大学の2025年度資料ではC地区(乙地方)でしたが、2026年度の中央大学ではB地区です。
正確な区分は、JASSOの「国・地域コード表」か大学の要項で確認してください。

b. 渡航支援金

月額とは別に、一時金の渡航支援金があります。
・16万円:2のdで書いた家計基準を満たす人(証明書類の提出が必要)
・1万円:家計基準を満たさなくても、支給回数が6回以上(派遣日数156日以上)の人。派遣期間から自動で判定されます
両方に当てはまる人は、16万円だけが出ます。

c. 支給月数の数え方

支給される月数は、カレンダーの月ではなく派遣日数を31日ごとに区切って決まります。
APUと中央大学の要項(2026年度)の表は、こうなっていました。
・31日:1回
・32〜62日:2回
・125〜155日:5回
・156〜186日:6回
・342〜365日:12回

31日の区切りを1日でも超えると、1回分増えるしくみです。
155日なら5回、156日なら6回です。
この1日の差で、B地区なら月額11万円が1回分と、渡航支援金の1万円が変わってきます。
1年を超えるプログラムでも、支給は最初の12か月分までです。

d. 2025年度からの変更点

2025年度から、金額のしくみが変わりました。
古いブログや体験記の数字は、次の「変更前」のままのことが多いので気をつけてください。

・月額:2024年度までは6万〜10万円(指定都市・甲・乙・丙の4区分)→ 2025年度から8万〜12万円(A〜D地区)
・期間による一時金:2024年度までは6回以上で13万円 → 2025年度から1万円
・家計による一時金:16万円のまま

文部科学省の令和7年度予算案資料では、令和6年度補正予算による緊急措置として月2〜3万円を追加し、計8〜12万円を支給するとされています。
半年の留学なら、月額が増えた分(2〜3万円×6回)と一時金が減った分(12万円)で、ほぼ同じか少し増える計算です。
「緊急措置」とある以上、今後また変わる可能性もあるので、応募する年度の要項で必ず確かめてください。

e. 支給の時期と概算

お金は大学を通じて毎月振り込まれます。
APUの場合は、毎月の在籍確認(様式C-2)を出したあと、原則として月末に入ります。渡航支援金は留学開始月か初回の支給時です。
年度初めは遅れることがあり、明治大学では4月分が5月中旬の見込みでした。
授業料は出ません(交換留学なら協定の相互免除で別扱い)。

ざっくりした金額は、こんな感じです。
・1年(12回)・B地区・家計基準を満たす:11万円×12+16万円=148万円
・半年(6回)・C地区・家計基準を満たさない:9万円×6+1万円=55万円

個人的には、まずこの概算を出して、留学全体の費用との差額を見てから民間の奨学金を探す順番がおすすめです。
差額の出し方は交換留学の費用シミュレーターの使い方で説明しています。

4. 採用人数と倍率

a. 全国の採用人数

全国の奨学金支給予定人数は、2026年度が18,153人、2025年度が16,529人です(JASSOの発表)。
2026年度の内訳は国立8,344人、公立1,214人、私立8,165人などです。

b. 全国の倍率が出せない理由

全国の倍率は計算できません。
JASSOが発表しているのは支給予定人数だけで、学生の応募者数は公表されていないからです。
そもそも選考は大学ごと・枠ごとなので、全国で1つの倍率があるわけでもないんです。

よく見かける「採択率」は大学が出したプログラムの採択率で、学生の倍率ではありません。
2026年度は申請1,228件のうち1,083件が採択(88.2%)、タイプAだけなら551件中406件(73.7%)でした。2025年度は1,271件中963件(75.8%)でした。
これは「自分の大学にプログラムがあるか」の話なので、個人の通りやすさとは分けて読んでください。

c. 大学が公表している例

学生の倍率を公表している大学はわずかで、見つかったのは次の2つです。
・大阪教育大学(採用/応募):2022年度6/6、2023年度4/4、2024年度3/3、2025年度6/8(1.33倍)
・中央大学 2025年度(募集枠→採用):北米25→17、欧州55→30、アジア・オセアニア35→18、PBL35→6、アントレ11→4

中央大学は応募者数を出していませんが、どの区分も採用が枠を下回っています。
枠が余る大学なら、要件を満たして申請すれば通る見込みは高いと言えそうです。
ただ体験記には「不合格の確率は低い」という声も「狭き門」という声もあり、大学とプログラムでかなり差がある、というのが正確なところです。

学内の採用見込み人数なら出している大学もあり(APU 2026年度第1期の海外交換留学59人、早稲田大学の長期約207人など)、自分の大学の数字は留学課に聞くのが早いです。

5. 選考フローと日程

a. JASSO側の流れ

JASSO側の動きは毎年ほぼ同じです。
・前年の秋:大学がプログラムを申請
・1月末:採択の発表(2026年度分は2026年1月30日)
・6月・12月:追加の採択
学生がこのスケジュールに合わせて何かを出すことはありません。

b. 大学側の2つの型

学生にとっての締切は、大学の学内募集で決まります。やり方は大きく2つに分かれます。
・交換留学の出願と同時に希望を出す型:大阪教育大学は、交換留学プログラム申請書の「Ⅶ.奨学金受給について」で、希望する奨学金にチェックを入れる方式でした(2025年11月4日締切)
・派遣が決まってから別に募集する型:APU、中央大学、横浜市立大学など。東京大学や早稲田大学は、派遣が決まった人にフォームや要項が届きます

前の型だと、「交換留学に受かってから考えよう」では間に合いません。
個人的には、交換留学の出願を始める前に、留学課に「JASSOの学内募集はいつ、どの書類で出すか」を聞いてしまうのがおすすめです。
奨学金全体の時期は留学の奨学金はいつから探す?にまとめています。

c. 大学別の日程例

2026年度の例を並べると、時期はかなりバラバラです。
・APU(第1期):2026年2月6日〜2月20日に申請、3月19日に結果
・横浜市立大学:2026年4月22日締切、5月27日以降に結果
・中央大学:2026年4月24日10時締切、5月21日以降に結果
・東京大学(ウィンタープログラム):受給希望調査フォームの締切が2026年11月4日正午

このあと大学がJASSOに申請し、JASSOの承認を経て正式な採用になります。
結果の通知を「6月以降」としている大学(宇都宮大学)もあって、出発の少し前まで決まらないことも珍しくありません。

d. 面接の有無

JASSO側の面接はありません。
大学側も面接なしのところが多く、中央大学のFAQには「面接審査は予定していません」とあります。
面接があっても、交換留学そのものの選考(大阪教育大学)や派遣者を決める面接(名古屋市立大学)で、奨学金だけの面接は少数派です。

e. 採用後の義務

採用されたら終わりではありません。2026年度採用学生専用ページにある手続きは次のとおりです。
・様式H-1「留学前・留学後報告書」:出発前と帰国後に記入
・様式C-2(在籍確認):支給対象の月ごとに提出。出さないとその月は支給されません
・3か月以上の滞在ならORRnet(在留届)、3か月未満ならたびレジに登録

毎月のC-2は、現地で忙しくなると忘れてしまいがちです。
大学によっては、帰国後の報告会(中央大学)や広報への協力(名古屋市立大学)もあります。
提出日は渡航前にスマホのカレンダーに入れてしまうのが早いです。

6. 応募書類と設問

JASSOに統一の応募書類はなく、大学の様式で出します。
よくある書類は次の4種類です。

・成績:成績評価係数の計算シート(大学指定のExcelが多い)と成績証明書
・家計:父母の所得・課税証明書(市区町村が発行。源泉徴収票は不可の大学もある)
・期間:受入許可書の写しや、派遣先の学年暦
・そのほか:口座振込依頼書、ほかの奨学金の受給証明、語学スコアなど

16万円の渡航支援金を希望するなら、「生計維持者申告書(様式R)」も要ります。
所得証明書は家族の分が必要なので、実家を離れている人は早めに家族に声をかけておくと安心です。

作文の設問は、大学によって形がまったく違います。
・APU(2026年度第1期):「本奨学金制度への申請理由(300字以上)」。上限はなし
・中央大学(2026年度):区分ごとの「支援対象となる留学計画の内容」に沿った留学計画を、なるべく具体的に書く。字数の指定はなし
・東京大学:受給希望調査フォームに答えるだけ
・名古屋市立大学(2026年度):作文はなし。奨学金がなければ留学を辞退するかを書く欄がある

自分の大学の様式は学内要項でしか見られないので、まずはそこを開いてみてください。

7. 選考のポイント

ここからは、編集部で実際に応募した経験と、各大学の要項から言えることをまとめます。
申請の中身を5つの要素に分けました。
a・bは文章で差が出る部分、c〜eは数字で決まる部分です。

a. 申請理由の書き方

申請理由は「なぜこの奨学金が必要か」と「留学で何を学ぶか」の2本立てで書くのが基本です。
根拠はAPUの要項(2026年度 p.2)の選考方法で、家計を中心に、申請理由と支給見込期間を合わせて審査すると書かれています。

申請者の家計状況を中心に申請理由および申請する留学期間(支給見込期間)を含め総合的に審査します。

出典:APU「2026年度 海外留学支援制度(協定派遣)第1期 学内募集」p.2

家計を中心に見る以上、「お金が必要な理由」がふわっとしていると、審査する側は判断しにくいはずです。
たとえば「派遣先の家賃が月◯万円、生活費と合わせて月◯万円かかり、家族の援助は月◯万円が限界なので、差額を奨学金で埋めたい」のように、数字で書いてみてください。
「300字以上」とあれば300字ちょうどで止めず、学ぶ内容の具体性で字数を足すのがおすすめです。

編集部で応募した立場から言うと、民間財団向けの志望理由をそのまま流用すると、お金の話が薄くなりがちです。
学ぶ内容の書き方は、奨学金の志望理由と交換留学の志望理由の書き分けが参考になります。

b. 採択プログラムとの重ね方

奨学金の枠は「プログラム」に付いているので、評価の物差しはそのプログラムの趣旨です。
中央大学の要項(2026年度)も、区分ごとの「支援対象となる留学計画の内容」に沿って具体的に書くよう求めています(p.11)。

中央大学(2026年度)の場合、区分ごとにこんな違いがあります。
・北米:「グローバルな視野と実地応用の力」に必要な素養を身につける計画
・PBL型:留学先で専門科目を3科目以上修得(望ましい)、帰国後にCEFR C2レベルの英語力
・アントレ:インターンシップやスタートアップ企業の実地調査などの「実践活動」を含む計画

PBL型に出すのに語学の授業だけの計画を書いたら、趣旨とずれてしまいますよね。
採択一覧で見ると、プログラム名そのものが趣旨になっていることが多いです(例:早稲田大学「世界大学ランキング100位までの派遣留学プログラム」)。
プログラム名のキーワードを、計画のなかで自分の言葉に置きかえて書いてみてください。
個人的には、文章でいちばん差がつくのはここだと思っています。

c. 成績評価係数の自己チェック

係数は申請する前に自分で計算しておくのが安全です。
点数の付け方が大学のGPAと違うからです。計算のルールは次の3つです(中央大学 p.8、学習院大学・神戸大学の計算資料)。

・5段階評価(S・A・B・C・F)なら、S=3、A=3、B=2、C=1、F=0。上の2段階はどちらも3点
・4段階評価(優・良・可・不可)なら、優=3、良=2、可=1、不可=0
・係数=(各評価のポイント×単位数)の合計÷総登録単位数。小数第3位を四捨五入

「認定」「合格」のように点数のない科目は、分母にも分子にも入れません(新潟大学・明治大学)。
一方で、履修を放棄した科目は0点として分母に入る大学もあります(新潟大学)。

架空の例で計算してみます。
2年生のAさん(例)は、前年度に40単位を登録し、S 10単位、A 14単位、B 10単位、C 4単位、F 2単位でした。
・SとAの24単位×3=72
・Bの10単位×2=20
・Cの4単位×1=4
・Fの2単位×0=0
合計96÷40=2.40で、2.30を超えています。

同じ成績を4点満点のGPA(例:S=4、A=3、B=2、C=1、F=0)で計算すると、106÷40=2.65です。
GPAの見た目は平凡でも、係数ではSとAの差がなくなるので、上位2段階に入っていれば足りるんです。
逆に、Bのうち4単位がCだったら92÷40=2.30で、ぎりぎりです。Cや「可」が多い人ほど、係数は思ったより低く出ます。

見るのは前年度の成績という大学が多く、累積で2.30以上でもよい大学もあります(東京大学・中央大学など)。
東京大学では、学部1年の1学期目の人は高校3年の成績で計算します。
大学指定の計算シートがあるなら、それで一度出してみるのがいちばん確実です。

d. 滞在期間の書き方

申請書の留学期間は、受入許可書や派遣先の学年暦の日付と合わせて、正確に書いてください。
APUの要項(2026年度)も、期間の証明として、受入許可書か、オリエンテーション開始日と試験終了日に印をつけた学年暦を求めています。

ありがちなのが、出発日と帰国日をなんとなく書いてしまうことです。
3のcのとおり、155日と156日では支給回数が5回か6回か、渡航支援金の1万円が付くかどうかが変わります。
どの日からどの日までを数えるかは、大学の指示に従ってください。

帰国を早めた場合のルールも知っておくと安心です。
APUの要項では、帰国の前倒しなどで派遣日数が減ると、減った月の分は返還になります。
結果的に31日未満(交換留学など一部の長期プログラムは、派遣先の学年暦で1学期間未満)になると、採用取消です。

e. 併給の判断

ほかの奨学金と組み合わせるなら、申請する前に計算を済ませておいてください。
JASSOの要件(7)は、ほかの派遣用奨学金の月額(複数なら合計)が、この制度の月額を超えないことです。

当該奨学金等の支給月額(複数の団体等から受ける場合は合計金額の月額換算額)が、本制度による奨学金月額を超えない者

出典:JASSO「海外留学支援制度(協定派遣)」支援対象学生の資格・要件(7)

東京大学の別添1(2026年10月)には、細かいルールが載っています。
・一括の奨学金は、航空券などの渡航費を除いてから月額に直す
・クラウドファンディングで集めたお金も「ほかの奨学金」に数える
・宿泊費や授業料を大学から直接払う形の支援は数えない

たとえばB地区(月11万円)なら、ほかの派遣用奨学金が月11万円までなら一緒に受けられます。
トビタテとはそもそも併給できないので、両方に受かったら片方を辞退する前提で考えておくと迷いません(併願するときの比べ方はトビタテ留学JAPANの解説記事で説明しています)。
業務スーパー財団の奨学金も、同じ留学でJASSO協定派遣と一緒には受けられないので、条件は業務スーパー奨学金の解説記事で確認してください。
どれを取るか迷ったら、月額×月数の合計が大きいほうを基本にしてください。
渡航費や研修の有無で差が縮むときは、大学の担当に相談してから決めるのが確実です。

8. 参考になる体験記・資料

この制度の個人の体験記は多くなく、いちばん詳しいのは大学の学内要項です。
2024年度以前の記事は、金額が3のdの「変更前」なので、その前提で読んでください。

a. 体験記

ヘルミオネ「【交換留学#2】奨学金とワクチン接種はお早めに」(note・2024年9月)
東京大学からボストンへ交換留学した人の記事で、月8万円と渡航支援金13万円(2024年度の制度)の受給予定でした。
東大では受給希望のフォームを出すだけで応募できたこと、JASSOだけでは足りないので民間奨学金にも早めに出すべきという助言が参考になります。

とある立教生「【奨学金比較表・アドバイス付】立教生が申請できる留学奨学金」(note・2025年11月)
立教大学で申請できる奨学金を並べた記事で、JASSOは不合格になる確率はかなり低いという見立てです。
月額は「6万〜10万円」と変更前の数字なので、金額はこの記事の3を見てください。

おとしぶみ「留学への壁~奨学金について」(note・2025年7月)
スウェーデンに交換留学した人の記事で、申請用紙と保護者の収入の証明書を出すだけ、推薦書は不要だったはずと振り返っています。
留学中の月1回の在籍確認と、帰国後の報告書が必須だったという話も具体的です。

Lady Hitommy「【38歳社会人大学院生でも申請OK!】交換留学で申請できる奨学金2つ」(note・2023年5月)
社会人の大学院生の体験で、年齢制限がないことと、プログラム単位で枠が決まるしくみを説明しています。
2月ごろに派遣が決まり、JASSOの結果は5月末の見込みでした。家計が重視されるので「狭き門」と感じたそうです。

b. 大学の学内要項

中央大学「2026年度 海外留学支援制度(協定派遣)学内募集要項」
区分ごとの計画の要件、前年度の募集枠と採用人数、係数の表、地区一覧まで載った、いちばん充実した資料です。

APU「2026年度 第1期 学内募集」
申請理由300字以上、家計中心の審査、日数と支給月数の表、採用取消の条件がそろっています。
2024年度版のAPU要項と並べると、金額の変更がひと目でわかるはずです。

東京大学「別添1」(2026年10月)
1年生の係数の特例と、併給の注記(クラウドファンディングや渡航費の扱い)の詳しさは一番です。

明治大学 情報コミュニケーション学部(2025年度)
家計が困難な人の中から係数の高い順に選ぶ、と選考方法がはっきり書かれた珍しい資料です。

大阪教育大学「2025年度募集(2026年度派遣)交換留学プログラム募集要項」
過去4年の採用者数と応募者数が載っていて、出願と同時に奨学金の希望を出す型の例にもなります。

名古屋市立大学「2026年度 募集要項」
語学の基準、現地語を学んでいる人の優先、奨学金がなければ辞退するかの申告欄など、作文以外で見られる点がわかります。

9. まとめ

  • 交換留学に行くなら、協定派遣はまず申し込んでおく。選考はJASSOではなく大学側で、プログラムの採択と、学内での枠の配分の2段階
  • 金額は2025年度から月8万〜12万円に上がり、期間による一時金は13万円から1万円になった
  • 差が出るのは申請理由とプログラムへの合わせ方。係数・期間・併給は、数字で先に確かめる

今日やることはJASSOの採択一覧で自分の大学のプログラム名と枠を調べて、留学課に学内締切を聞くことです。


参考資料: JASSO「海外留学支援制度(協定派遣)」 / JASSO「2026年度採用学生専用ページ」 / 2026年度 採択プログラム一覧(タイプA) / 2026年度 採択プログラム一覧(タイプB) / 2026年6月 追加採択一覧 / JASSO プレスリリース(2026年1月30日) / JASSO プレスリリース(2025年2月3日) / 文部科学省 令和7年度予算案資料 / 中央大学 2026年度学内募集要項 / APU 2026年度第1期 学内募集 / APU 2024年度 学内募集 / 東京大学 別添1(2026年10月) / 明治大学 情報コミュニケーション学部(2025年度) / 大阪教育大学 交換留学プログラム募集要項(2025年度募集) / 名古屋市立大学 2026年度募集要項 / 早稲田大学 留学センター「奨学金」 / 慶應義塾大学 2025年度JASSO(協定派遣) / 新潟大学 奨学金概要(2026年度) / 横浜市立大学 家計基準(別添・2026年度) / 学習院大学「How to calculate JASSO GPA」 / 神戸大学 JASSO成績評価係数の資料(2022年度)

確認日:2026年10月28日。JASSO公式ページ(2026年6月22日更新)と各大学の学内募集要項(2025〜2026年度)をもとにしています。条件や日程は年度ごとに変わるので、応募前に最新の要項と大学の学内募集を確認してください。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。