【大学間交換留学の教科書編集部】
交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。
交換留学の奨学金を調べ始めると、JASSO、トビタテ、民間財団と名前がたくさん出てきて、どこから見ればいいのか迷いますよね。
私は、民間財団を一つずつ調べる前に、まず所属大学の留学担当窓口で大学経由の制度を確認するのをすすめます。
そのあと個人で応募できる制度を足していくのが、いちばん漏れにくい順番です。
JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)のように、学生が直接申し込めず、在籍大学を通じて候補者になる制度があるからです。
探す順番は次の5段階です。
・所属大学:交換協定の授業料条件、大学独自の基金、JASSO協定派遣、学内推薦の枠
・国の制度:JASSO、トビタテなど、自分の留学の形に合うもの
・民間財団・自治体:専攻、出身地、居住地、留学先、年齢などの条件で候補を増やす
・留学先:外国政府、受入大学、学部・研究科の支援
・貸与・自己資金:給付だけで足りないときの予備
代表的なJASSO協定派遣・トビタテ・業務スーパー奨学金の3つは、4で金額・応募方法・併給をまとめて比べました。
募集中の制度と締切は海外留学の奨学金データベースで確認できます。
いつから動き始めるか、どんな書類が要るかは留学の奨学金はいつから探すかで説明しています。
1. 授業料免除と支援の種類
授業料相互不徴収の交換協定では、日本の大学に授業料を納めて、留学先の授業料は納めない形が多いです。
たとえば慶應義塾大学大学院経済学研究科の案内では、派遣交換留学は慶應義塾大学へ学費を納めることで留学先の授業料が免除されると説明されています。
ただ、すべての交換留学に共通する条件ではありません。自分の制度は所属大学の当年度の募集要項と協定条件で確認してください。
個人的には、交換留学でいちばん大きいお金の支えはこの授業料免除だと思っています。
それでも、口座に振り込まれる奨学金ではありません。
住居費、食費、航空券、保険、ビザ、教材、現地の交通費は残りますし、授業料とは別に施設費・登録費・保険料を請求する留学先もあります。
まず「留学先の授業料は本当に不徴収か」「日本の大学の授業料はいくら残るか」を確かめてから、現金で要る額を出しておくと安心です。

ほかの支援も何の費用が減るかで分けると整理しやすいです。
・交換協定の授業料不徴収:協定で定めた場合の留学先の授業料が減る。施設費・保険料などは別のことがある。確認先は所属大学の交換留学の募集要項
・JASSO協定派遣:8日以上1年以内の採択プログラムが対象。在籍大学経由。地域別の月額支援など
・トビタテ:実践活動を含む留学計画が対象。在籍大学等経由。月額、準備金、授業料など
・大学独自の奨学金:対象は大学・制度ごとに違う。学内で応募。定額、月額、渡航費など
・民間財団・自治体:専攻、地域、年齢などで対象が違う。個人または大学経由。足りない費用を補う
・外国政府・留学先:国、大学、課程ごとに違う。直接または大学経由。授業料・生活費などを支援
・貸与型奨学金・教育ローン:JASSO、自治体、金融機関など。学校または個人で申し込み、足りない分を借りる。返済が必要
これらは条件しだいで組み合わせられます。たとえば、交換協定で留学先の授業料を免除し、JASSO協定派遣で生活費の一部を補う形です。
ただし、給付どうしを同時に受け取れるかは制度ごとに違います。確かめる手順は留学の奨学金は併給できるかにまとめました。
2. 留学の形別の制度
同じ「海外留学」でも、交換留学、短期研修、私費留学、海外大学への進学では対象の制度が違います。
制度名から探す前に、自分の計画を次の5つで一行にしてみるのがおすすめです。
・形:交換留学/認定留学/短期研修/海外大学・大学院への進学
・期間:8日、1か月、1学期、1年間、学位取得まで
・出発:何年何月か
・国・地域と学校:候補でもよい
・やること:授業履修、研究、インターン、フィールドワーク、語学研修など
形ごとに、最初に見る制度は次のとおりです。
・大学間・部局間の交換留学:大学独自、JASSO協定派遣、学内推薦の財団。留学プログラムの合格と奨学金の採用は別のことがある
・短期留学・研修:大学独自、JASSO協定派遣、トビタテ、自治体。語学研修だけだと対象外の制度もある
・休学・私費留学:トビタテ、民間財団、自治体、留学先。在籍の要件と、帰国後の復学の要件を確認する
・海外大学・大学院の学位取得:JASSOの学位取得型、外国政府、大学、民間財団。入学許可が要るかも確認する
名前が似ていても、入口は違います。
JASSOの協定派遣は日本の大学等に在籍したまま、大学間交流協定などに基づく8日以上1年以内の派遣プログラムに参加する学生が対象です。
海外大学で学士を取る人には学部学位取得型、修士・博士を取る人には大学院学位取得型があり、交換留学向けとは別の制度です。
3. 所属大学の窓口での確認
交換留学では、所属大学しか把握していない支援が少なくありません。
大学独自の基金、卒業生や企業の寄付による奨学金、学部独自の渡航助成、協定校限定の支援、JASSO協定派遣の採択枠などです。
もう1つの理由が学内締切です。
大学推薦の制度では、大学が応募者を選び、推薦書や学長印をそろえて財団に出すため、財団の公式締切より前に学内の締切があります。
留学そのものの応募でも、学部・研究科の締切が基準になることがあります。たとえば東京大学の2027〜2028年期USTEP秋募集は、所属学部・研究科の締切までに電子申請を終える方式です。
留学プログラムと奨学金、それぞれの学内締切と推薦の手続きを窓口で確認してください。
a. 大学のサイトで検索する言葉
・「大学名 交換留学 奨学金」
・「大学名 海外留学 奨学金 派遣」
・「大学名 国際課 奨学金」
・「大学名 学外奨学金 留学」
・「大学名 JASSO 協定派遣」
・「学部名 海外留学 助成」
全学の国際部と、所属学部・研究科の掲示は両方見てください。
同じ大学でも、全学の枠と学部の枠で応募先や締切が違うことがあります。
b. JASSO協定派遣の確認方法
交換留学でまず確認したいのが、JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)です。
金額と向く人は4で、ほかの奨学金と並べて比べました。
ただ、対象のプログラムに参加すれば自動でもらえるわけではありません。
大学のプログラムがJASSOに採択され、そのうえで在籍大学が学業成績、人物、経済的必要性などを見て支援対象者を選びます。申し込みも在籍大学を通す形です。
学生向けの締切は大学ごとに決まるので、JASSOのページに締切が見当たらなくても「まだ募集前」とは限りません。
c. 窓口で聞くこと
「何か奨学金はありますか」とだけ聞くと、必要な情報がそろわなかったりします。
出発時期とプログラムを先に伝えて、たとえば次のように聞くのが早いです。
「○年○月出発の交換留学に応募する予定です。このプログラムはJASSO海外留学支援制度(協定派遣)の対象候補ですか。学生側の申請時期、学内選考、必要書類を教えてください」
あわせて確認することは次の10個です。
- 応募予定の交換留学で、留学先の授業料が免除されるか
- 留学中も日本の大学の授業料を全額納めるか、減免があるか
- 大学独自の奨学金に、交換留学の応募前から申請できるか
- JASSO協定派遣の対象候補になるか
- JASSOの学生向けの学内募集はいつ出るか
- 大学推薦の民間財団には何があるか
- 財団の公式締切とは別の、学内締切はいつか
- 複数の制度に併願・併給できるか
- 国内で受けている奨学金を、留学中に継続・停止・休止する必要があるか
- 不採用のときに使える貸与制度や追加募集があるか
この確認は留学先が決まってからだと遅いことがあります。
早稲田大学には留学プログラムへの応募前に募集する予約採用型の学内奨学金があり、中・長期留学では春募集向けが2〜3月頃、秋募集向けが7〜8月頃という案内です。
交換留学の募集要項を開いたその日に、奨学金のページも一緒に見てください。
4. 主な奨学金の比較
交換留学で候補に上がりやすい給付型の奨学金は、JASSO協定派遣、トビタテ、業務スーパー奨学金の3つです。
どれも在籍大学を通して応募する制度で、個人では出せないのが共通点です。
財源で分けると、国の予算のJASSO、民間の寄附による官民協働のトビタテ、民間財団の業務スーパー、という並びになります。
a. JASSO協定派遣
・在籍大学の採択プログラムで交換留学する人に向く。家計の負担が大きい人ほど優先されやすい
・金額:月8万円・9万円・11万円・12万円(留学先の地区で決まる)+渡航支援金16万円または1万円(2026年度)
・応募と併給:大学の学内募集から申請。トビタテとは併給できず、業務スーパーとも同じ留学では一緒に受け取れない
成績評価係数の計算や申請理由の書き方は、JASSO協定派遣の解説記事にまとめています。
b. トビタテ
・授業に加えて、インターンやフィールドワークなどの実践活動を計画に入れられる人に向く。成績・語学の基準はなく、事前・事後の研修や留学生のコミュニティもある
・金額:月12万〜16万円+留学準備金21万円または35万円(家計基準内の場合。超えると月額は6万円)。協定で授業料が免除される交換留学では、授業料の支援は出ない
・応募と併給:大学を通して応募。第19期(2027年度)は大学からの申請期限が2027年2月25日で、学内締切はそれより早い。JASSO協定派遣とは併給できない
実践活動の入れ方や面接の準備は、トビタテの解説記事で説明しています。
c. 業務スーパー奨学金
・協定にもとづく6か月以上(または1学期以上)の交換留学をする学部2年生以上で、GPAと語学の基準を満たす人に向く。所得制限がないので、家計基準を超える人の第一候補になる
・金額:月15万円または20万円+留学一時金15万円または25万円(2026年度)
・応募と併給:大学を通して応募し、財団の受付は年2回(2026年度は1月と7月)。同じ留学へのほかの奨学金とは併給できない
財団の目的と計画の重ね方や倍率の推移は、業務スーパー奨学金の解説記事にまとめました。
3つは併願できても、同じ留学で2つ以上を受け取ることはできません。
それでも私は、条件が合うものには並行して出すのをすすめます。私自身、3つのどれにも応募しました。
受かったなかから月額×月数と採用後の義務を比べて、1つに決めれば大丈夫です。
ただ、「併給できない奨学金は原則併願もできない」とする大学もあるので(東北大学の例)、学内の決まりは先に確かめておくと安心です。
奨学金の志望理由は、交換留学の志望理由書とは書き分けが要ります。違いは奨学金の志望理由と交換留学の志望理由の書き分け方で説明しているので、あわせて見てみてください。
5. 民間財団・自治体の探し方
民間財団は有名な制度名を覚えるより、自分の条件で絞るほうが意外と見つかります。
JASSOの海外留学奨学金検索では留学課程、国・地域、専攻分野などから探せます。
絞り込みに使う条件は次の6つです。
・専攻:理工系、芸術、医学、国際関係など
・留学先:米国、英国、アジア、特定の大学など
・出身・居住:都道府県、市区町村、保護者の居住地
・学年・年齢:学部生、大学院生、応募時の年齢
・期間:短期、1学期、1年、学位取得
・応募経路:個人応募、大学推薦、大学の取りまとめ
自治体の制度には「本人または保護者が一定期間その地域に住んでいる」といった条件があります。
対象が限られる分、全国公募だけ見ていると出会えません。
個人的には、今住んでいる自治体だけでなく、出身地と保護者が住んでいる自治体も調べておくのがおすすめです。
民間財団には大学推薦しか受け付けないところもあります。
たとえば経団連国際教育交流財団の日本人大学院生奨学金は指定大学を通じた応募で、直接の応募は受け付けていません。
募集要項はまず「提出先」から見るのがおすすめです。
家計の条件が気になる人向けには、所得制限なしの奨学金をまとめています。
6. 留学先の国・大学の支援
海外大学への進学や大学院留学では、外国政府の奨学金、留学先大学の授業料減免、学部・研究科の奨学金、Research Assistant・Teaching Assistantなど、留学先の支援が大きな柱です。
交換留学でも、協定校や特定のプログラムについている支援が見つかったりします。
ただ、交換留学なら、留学先のサイトを探すのは大学経由の制度を確かめたあとで十分です。
留学先のサイトでは「scholarships」「financial aid」「funding」「exchange students」「international students」で検索してみてください。
現地の学生だけ、学位を取る学生だけが対象の制度も多いので、対象区分を先に見るのが早いです。
7. 候補の絞り込み
候補が見つかったら、金額より先に次の5つを見ておくと安心です。
□ 対象:自分の留学の形(交換・短期・学位取得など)が入っているか
□ 期間:出発月と期間が合うか
□ 経路:個人応募か、大学推薦か
□ 締切:大学推薦なら、学内締切はいつか
□ 併給:ほかの奨学金と一緒に受け取れるか
見落としやすいのは次の4つです。
・財団の締切だけを見ていると、「まだ1か月ある」と思っても、学内の受付はもう終わっていることがあります
・交換留学に合格すれば奨学金も決まる、と思いたくなりますが、選考は別で、JASSO協定派遣も条件を満たす全員への支給が保証される制度ではありません
・「給付型」という点だけで選んでも、海外大学進学専用、大学院研究専用、語学研修は対象外など、目的が合わなければ応募できません
・前年の募集日をそのまま信じるのは避けたいところです。前年の情報は準備の目安にとどめ、当年度の要項と更新日で確認してください
成績だけで自分を判断して、候補を捨てる必要もありません。
成績を要件や評価項目にする制度は多いですが、必要な水準や選び方は一律ではなく、家計、留学計画、専攻、地域なども含めて判断する制度もあります。
候補は最初から絞りすぎないのがおすすめです。条件が合いそうなものを広めに拾ってから5つの条件で落とすほうが、見落としが少なくなります。
全額をまかなう制度もありますが、多くは費用の一部を支える制度です。
不採用でも出発できる最低限の資金計画を、授業料、生活費、渡航前の費用、緊急の予備費に分けて作っておくと安心です。
候補が決まったら、奨学金を差し引いた交換留学費用をシミュレーターで計算すると、給付を受けた後の負担と、最初の振込までに要るお金を分けて見られます。
主要な制度や掲載している制度から選び、採用通知の金額・支援月数・入金月に直してください。未採用の分は通常の試算に入りません。シミュレーターは受給資格やすべての併給条件を判定する機能ではありません。
入力のしかたはシミュレーターの使い方で説明しています。
まとめ
- 民間財団を一つずつ調べる前に、所属大学の窓口で大学経由の制度と学内締切を確認する
- 授業料免除は現金の奨学金と別に考え、残る費用を先に出す
- 個人応募の制度はJASSOの検索や自治体で自分の条件から探す
今日やることは大学のサイトで「大学名 交換留学 奨学金」と検索して、出てきた制度を「応募経路・学内締切・併給」の3つでメモすることです。
締切が近い制度から見たいときは、募集中の奨学金の一覧が使えます。
参考にしたサイト:JASSO「海外留学支援制度(協定派遣)」 / JASSO 海外留学情報サイト「留学のための奨学金」 / JASSO「海外留学奨学金検索」 / トビタテ!留学JAPAN「新・日本代表プログラム 大学生等対象」 / 慶應義塾大学「留学のてびき」 / 早稲田大学 留学センター「留学奨学金」 / 東京大学「全学交換留学(USTEP)応募方法・詳細」 / 経団連国際教育交流財団
制度・金額・募集状況は2026年9月6日に確認しました。4の3つの奨学金は、2026年10月28日に各解説記事の内容とそろえています。年度や大学ごとに変更されるため、応募時は必ず最新の募集要項と所属大学の案内を確認してください。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。
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