【大学間交換留学の教科書編集部】
交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。
ダブルディグリーは日本と海外の2つの大学の卒業要件をそれぞれ満たし、両方の大学から学位をもらう制度です。
交換留学を長くしたものではありません。
選ぶときに見るのは、提携校の知名度ではなく次の3つです。
- 学びたい専門と、提携先で学べる内容が一致しているか
- 卒業まで何年かかるか(4年か、4年半〜6年か)
- 2つの大学の学費と生活費を合わせて、総額いくらかかるか
1. 定義と交換留学との違い
文部科学省はダブル・ディグリー・プログラムを、複数の大学がそれぞれ開設するプログラムを学生が修了し、各大学の卒業要件を満たしたときに、各大学がそれぞれ学位を出すものと整理しています。
たとえば慶應義塾大学経済学部とパリ政治学院のプログラムでは、両方の要件を満たすと、それぞれの大学から学士号が授与されます。
似た制度との違いは、もらえる学位の数と、誰が学位を出すかを見るとわかりやすいです。
- 交換留学:学位は通常、所属大学の1つだけ。留学先で取った単位を所属大学で認定してもらう。期間は半年〜1年
- ダブルディグリー:学位は2つ。両大学の指定科目と卒業要件を満たす。留学期間は1〜2年以上が多い
- ジョイントディグリー:連携する大学が共同で1つの課程を作り、共同の学位を1つ出す
- ダブルメジャー:1つの大学の中で2つの分野を主専攻にする。学位は多くの場合1つ
名前が似ているので、大学の案内では学位の数を必ず確認してください。
たとえば立命館大学グローバル教養学部とオーストラリア国立大学(ANU)は2つの学位を得るデュアルディグリーですが、立命館大学とアメリカン大学の国際連携学科は、1つの共同学位を得るジョイント・ディグリーです。
2つの学位は名前が違うこともあります。
立命館大学GLAとANUでは「Bachelor of Global Liberal Arts」と「Bachelor of Asia-Pacific Affairs」、慶應義塾大学商学部と北京大学では慶應の学士号と北京大学の「Bachelor of Management」です。
個人的には、学位が2つあることより、それぞれの学位に必要な専門科目を実際に学べるかのほうが大事だと思っています。
学ぶ量は単純に2倍ではありません。
文部科学省の整理では、原則として2つのプログラム分の学修が前提です。
ただ実際の学部プログラムは、単位の相互認定や共通科目で重複を減らすように作られていて、4年で2学位を取れる制度があるのはそのためです。
その代わり履修の順番が細かく決まっていて、交換留学のように科目を自由には選べません。
2. 国内大学の学部ダブルディグリー一覧
2026年9月時点で、大学の公式サイトまたは2026年度の案内で、日本の学部生が参加できる制度を確認できた主な大学を、分野ごとに紹介します。
学部レベルでは、経済・経営、国際関係、リベラルアーツ、言語・地域研究が中心で、農学・環境・観光にも広がっています。
ただし、大学に制度があることと、自分が応募できることは別です。
多くの制度は対象の学部・学科が決まっていて、年度によって募集が休止されることもあります。
志望校を決める前と、入学後に応募する前には、必ず最新の募集要項を確認してください。
a. 経済・経営・ビジネス
- 慶應義塾大学(経済学部・商学部):パリ政治学院(合計4〜5年)、ボッコーニ大学(1年間留学)、北京大学(合計5年。北京大学で2年学び、経営学系の学士号を目指す)
- 名古屋商科大学(全学部):フランス、台湾、アイルランドの8つのビジネススクール。海外で1〜2年学び、単位計画によっては4年での卒業を目指せる
- 東京国際大学(学部生):ウィラメット大学、南オレゴン大学。ビジネス、社会科学など。合計4年半〜5年が目安
- 神田外語大学(外国語学部の指定専攻):又松大学校ソルブリッジ(国際ビジネス)、慶熙大学校(韓国語・地域研究)。1・2年次は国内、3・4年次は韓国で学び、4年で2学位を目指す
b. 国際関係・政治
- 早稲田大学(全学・学部別):北京大学、日越大学など。中国語圏の専門、学際社会科学など。日越大学は2年間留学。対象は年度別のプログラムリストで確認する
- 明治大学(政治経済学部):タマサート大学。政治学、国際関係。最短4学期の留学で、合計最短4年半
- 関西学院大学(国際学部):クイーンズランド大学(経済・経営、最短4年)、マウント・アリソン大学(国際関係、最短5年)、ビクトリア大学(ビジネス、最短4年半)
- 明治学院大学(国際学部):サンフランシスコ州立大学。国際学、グローバル・トランスカルチュラル研究。留学2年半以上で、全体の平均は5年
c. リベラルアーツ・国際教養・観光
- 立命館大学(グローバル教養学部):ANU。立命館で64単位、ANUで96 unitsを修得し、相互に単位を認定して4年で2つの学士号を目指す。大阪いばらきキャンパスで3年、キャンベラで1年が基本
- 立命館アジア太平洋大学(APU):アジア太平洋学部→セント・エドワーズ大学(国際関係)、国際経営学部→NEOMA Business School(国際経営)、サステイナビリティ観光学部→ザルツブルク応用科学大学(観光経営)。いずれも海外2年の4年モデル。NEOMAではフランス語と長期インターンシップ、ザルツブルクではドイツ語と計228時間以上のインターンシップも修了要件に含まれる
- 昭和女子大学(国際学部など):上海交通大学、ソウル女子大学校、テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)、淑明女子大学校、クイーンズランド大学。昭和女子大で2年半〜3年+提携先で2年が基本で、対象学科は提携先ごとに違う。2025年度は34人が修了し、累計修了者は148人
d. 言語・地域研究・日本研究
- 東京外国語大学(国際日本学部):セントラル・ランカシャー大学、メルボルン大学。日本の言語・文化・社会を海外大学の視点と研究方法から学ぶ。留学は1年または1年半で、4年卒業を目指せる設計
- 新潟大学(経済科学部・学際日本学プログラム):中国海洋大学、東国大学。歴史、思想、表象文化、ジェンダーなどを横断的に学ぶ。検定料・入学料・授業料は相互に不徴収
- 大東文化大学(外国語学部中国語学科):中国の協定3大学。留学2年
- 神戸市外国語大学(英米学科など):エルマイラ大学。留学約2〜2.5年、合計約5〜6年
- 名古屋外国語大学(対象学科):TESSダブルディグリー留学。提携先と要件は年度別のハンドブックで確認する
- 関西外国語大学(対象学部):英語圏の提携大学、北京語言大学など。現在の名称は「学位留学」。中国の学位留学は合計4年半が基本
e. 農学・環境
- 九州大学(農学部国際コース):北アリゾナ大学。農学、環境・森林・自然科学。約1学年を米国で学び、修業年限を延ばさず4年で2学位を目指す。国際関係やビジネスが多い学部のダブルディグリーの中で、理系の数少ない選択肢
なお、制度名が残っていても、募集をやめている例があります。
創価大学文学部の中国語ダブル・ディグリーコースは、2026年度入学生以降は募集なしと公式ページに明記されています。
修了実績の記事だけを見て、今も応募できると判断しないでください。
名称で検索して見つからないときは、「学位留学」「デュアルディグリー」「共同学位」で探すと出てくることがあります。
3. 文部科学省のデータで確認できる43大学
文部科学省は2026年6月19日に、海外大学との大学間交流協定に関する2023年度の実績を公表しました。
本サイトで添付データを集計し、次の4つの条件をすべて満たす大学を数えると、重複を除いて43大学でした。
- 協定内容の「ダブルディグリー」に印がある
- 取得学位の欄に、学士・Bachelorなど学部相当の記載がある
- 日本側の参加組織が大学院だけではない
- 日本側からの送り出し人数が1人以上記録されている
国立(3):九州大学、東京外国語大学、横浜国立大学
公立(6):京都府立大学、尾道市立大学、島根県立大学、愛知県立大学、神戸市外国語大学、高知県立大学
私立(34):びわこ成蹊スポーツ大学、中村学園大学、九州医療科学大学(九州保健福祉大学)、九州情報大学、創価大学、北海学園大学、名古屋商科大学、名古屋外国語大学、嘉悦大学、四天王寺大学、大東文化大学、山梨学院大学、帝京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、明治大学、明治学院大学、昭和女子大学、東京国際大学、東海大学、桜美林大学、梅光学院大学、甲南大学、目白大学、神田外語大学、立命館アジア太平洋大学、立命館大学、立教大学、茨城キリスト教大学、長崎外国語大学、関東学院大学、関西外国語大学、関西学院大学、麗澤大学
この43大学は「2026年度に日本の学部生を募集している大学」ではなく、2023年度の回答に、学部相当の学位と送り出しの実績が記録された大学です。
その後に協定が終わったり募集が止まったりした制度もありますし、2024年度以降に始まった制度は入っていません。
志望校探しの入口として使い、最後は大学の公式情報で確かめてください。
4. 卒業までの年数
卒業までの年数は制度によって大きく2つに分かれます。
- 4年で2学位を目指せる制度:立命館大学GLA、APUの主な学部プログラム、九州大学農学部、東京外国語大学、神田外語大学、名古屋商科大学など
- 4年半以上かかる制度:慶應義塾大学の一部(パリ政治学院4〜5年、北京大学5年)、東京国際大学、明治大学、明治学院大学(平均5年)、関西学院大学の一部、神戸市外国語大学(約5〜6年)など
見るべきなのは「最短」の年数ではなく標準や平均の年数です。
4年で卒業できる設計でも、出発前の必修を落とす、留学先で指定科目を取れない、帰国後の卒業研究が遅れる、といったことが1つ起きると、卒業が1学期以上遅れることがあります。
個人的には、募集要項の年数だけでなく、説明会で「実際に何年で卒業した人が多いか」を聞いておくのがおすすめです。
卒業が4年を超えるなら、追加の学費と生活費、日本での就職活動の時期、奨学金の支給期間まで、先に計画し直してください。
2つの大学の卒業時期や、学位記をもらう時期がずれることもあります。
5. 費用の3つの型
交換留学では留学先の授業料が免除されることが多いですが、ダブルディグリーの費用は大学ごとに設計が違います。
大きく分けると、次の3つの型です。
- 所属大学の学費だけを払い、提携校の授業料は免除される:APU、名古屋商科大学など
- 両方の大学に納付するが、所属大学側が減額される:関西学院大学国際学部など。人数制限つきで月額10万円の奨学金や、1回15万円の留学奨励金も案内されている
- 留学先の授業料と生活費を大きく負担する:明治学院大学とサンフランシスコ州立大学の制度では、留学期間の授業料・生活費などの概算として約125,120米ドルが公式に示されている
「授業料免除」と書いてあっても、お金がかからないわけではありません。
たとえばAPUとNEOMAの制度では、NEOMAの授業料は不要ですが、住居費、生活費、保険、渡航費はかかります。
比べるときは、国内の学費、海外の学費、寮や家賃、食費、保険、航空券、ビザ、教材、現地の交通費、為替の変動、卒業が延びたときの追加費用を、同じ期間で合計してください。
総額をいちばん大きく左右するのは、4年で卒業できるかどうかです。
6. 選考条件と応募の流れ
ダブルディグリーでは、現地の正規の学生と同じ専門の授業を受けます。
そのため、多くの制度に語学スコアとGPAの基準があります。
たとえば名古屋商科大学はGPA相当2.60以上、出席率95%以上、TOEIC 750またはTOEFL iBT 80以上を、APUのNEOMA向けの案内はGPA 2.80以上、IELTS 6.0またはTOEFL iBT 79などを示しています(2026年9月時点)。
基準は制度ごとに違うので、志望するプログラムの条件を確認してください。
参加のしかたにも2つの型があります。
1つは入学後に学内選考を受けて、少人数の派遣枠に応募する型です。
もう1つは立命館大学GLAのように学部全体がダブルディグリーを前提に作られていて、入学した時点で参加が決まっている型です。
高校生のうちから大学選びの軸にするなら、どちらの型かで準備がかなり変わります。
入学後に選考がある型の場合、大まかな流れは次のとおりです。
- 出願前:志望学部から参加できるか、入学後いつ選考があるかを確認する
- 大学1年:必修、GPA、語学試験を優先する。1年前期の成績が選考に使われることがある
- 応募:学内選考に通ったあと、提携校からの入学許可も必要になる
- 出発前:履修計画、費用、ビザ、住居、保険を固め、帰国後の必修と卒業研究まで確認する
- 留学中:両大学の要件と単位認定を定期的に確認し、科目を自己判断で変えない
高校生のうちにできる準備でいちばん大事なのは、英語の資格を取ることに加えて、志望学部から参加できるかを調べることです。
学部を間違えると、同じ大学に入っても応募できないこともあるので要注意です。
7. 向いている人・向かない人
個人的には、迷ったら「2つ目の学位がなくても、その提携先で2年間、その専門を学びたいか」を自分に聞いてみるのがおすすめです。
答えがYESなら、ダブルディグリーの中身そのものに関心があるということです。
答えがNOで、「2学位」という言葉に惹かれているだけなら、交換留学や認定留学も含めて比べ直したほうがいいと思います。
留学の種類ごとの違いは短期・語学・交換・認定・休学留学の比較で整理しています。
向いているのは、次のような人です。
- 学びたい専門と、提携先で学べる内容が具体的に一致している
- 必修の多い履修計画を、数年間続けられる
- 1〜2年以上、海外の正規課程で学び、その先の海外大学院や仕事を具体的に考えている
- 費用と、卒業が延びるリスクを家族と共有できている
一方で、まず語学力を伸ばしたい、留学先で科目を自由に選びたい、半年〜1年で帰国して4年で卒業したい、日本の就職活動の日程を崩したくない、という人には交換留学のほうが合っています。
ダブルディグリーは英語や中国語、韓国語を学ぶ制度ではなく、それらの言語で専門を学ぶ制度だからです。
また、2つの学位があれば就職で必ず有利になる、というわけでもありません。
採用で見られるのは学位の数より、何を学び、どの課題に取り組み、どの言語で何ができるようになったかです。
語学の条件やGPA、必修単位を満たせず、途中でダブルディグリーから外れることもあります。
そのとき所属大学だけの卒業に戻れるか、取った単位はどう認定されるか、卒業が延びるか、奨学金の返還はあるか。
応募する前に、この「出口」を大学に確認しておくと安心です。
8. 大学選びで確認する8項目
最後に、候補の大学を比べるときに確認する項目をまとめます。
- 対象:自分が入る学部・学科・入学年度から参加できるか
- 募集:最新年度に募集があるか。募集枠と過去の派遣実績はどうか
- 学位:どの大学から、何という学位が、いつ出るか
- 年数:最短ではなく標準・平均で何年かかるか
- 履修:両大学で必要な単位、必修、卒業論文、インターンシップは何か
- 選考:GPA、語学スコア、面接、出発までに必要な単位は何か
- 費用:2校の学費と減免、生活費、保険、渡航費、延びたときの費用を合わせていくらか
- 出口:途中で外れたとき、1学位に戻る条件、単位認定、卒業時期、奨学金はどうなるか
協定校リストの見方と比べ方は、次の記事で詳しく説明しています。
まとめ
ダブルディグリーは2つの大学の卒業要件を満たし、両方から学位をもらう制度です。
短い期間で学位を増やす近道ではなく2つの大学の教育に正面から取り組む進路です。
- 交換留学は通常1学位、ジョイントディグリーは共同の1学位、ダブルディグリーは2学位
- 4年で卒業できる制度と、4年半〜6年かかる制度がある
- 費用の設計は大学ごとに違うので、同じ期間の総額で比べる
今日やることは気になる大学を1つ選び、公式サイトで「対象学部」「標準の年数」「費用の型」の3つを確かめることです。
留学制度全体から選び直したい場合は、次の記事で短期・語学・交換・認定・休学留学を比べています。
参考にしたサイト: 文部科学省「ジョイント・ディグリー・プログラム」 / 文部科学省「海外の大学との大学間交流協定、海外における拠点に関する調査結果」 / 慶應義塾大学「ダブルディグリープログラム」 / 早稲田大学「中長期留学プログラム」 / 早稲田大学社会科学部「日越大学とのダブルディグリープログラム」 / 立命館大学GLA / APU Off-campus Programs / 東京外国語大学「国際日本学部ダブル・ディグリー」 / 九州大学農学部「北アリゾナ大学DD」 / 昭和女子大学「2025年度DD修了者」 / 関西学院大学国際学部「ダブルディグリー留学制度」 / 神田外語大学「海外留学・国際交流」 / 東京国際大学「グローバルコース」 / 明治大学「タマサート大学DD」 / 明治学院大学「学部学科の国際プログラム」 / 名古屋商科大学「ダブルディグリー」 / 名古屋外国語大学「国際交流」 / 新潟大学経済科学部「DDP」 / 大東文化大学「中国語学科ダブルディグリー」 / 神戸市外国語大学「2026年度留学制度」 / 関西外国語大学「学位留学」 / 創価大学文学部「学部の特長」
最終確認:2026年9月6日(大学ごとの制度・募集情報)。文部科学省データの43大学は、2026年6月19日公表の「令和5年度実績」Excelを本サイトの条件で抽出した参考集計で、文部科学省が公表した「2026年度募集大学数」ではありません。提携先、対象学部、募集枠、語学・GPA、学費、修業年限は変わるため、出願時は必ず大学・学部の最新の募集要項を確認してください。
「お気に入り」追加済みの記事


