大学で特にしたいことがないなら、とりあえず交換留学の準備をするべし|行くと決めるのは後でよい

大学でやりたいことがないなら交換留学の準備から始め、行くかは後で決めるという記事のアイキャッチ

【大学間交換留学の教科書編集部】

交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。

大学で特にやりたいことが見つからないと、「このままでいいのかな」と不安になりますよね。
そんなとき私は、とりあえず交換留学の準備を始めておくのをすすめます。
行くかどうかは、後で決めればいいです。

交換留学がすべての大学生にとって一番の経験だからではなく、早めに必要になる準備の多くが、留学に行かなかったときにも残るからです。
逆に、目的が見つかるまで何もしないでいると、後から興味が湧いたときに、成績と英語と締切だけは待ってくれません。

ここでいう準備は次の4つです。
・GPAを崩さない
・必要な英語試験を調べる
・募集時期を確認する
・授業と費用を比べる

学内選考への応募、留学先と期間、休学や卒業延期、航空券や高額なサービスの契約は、比べてから決めれば間に合います。
つまり、後戻りできる準備だけ先に進めて、後戻りしにくい決断は急がないという考え方です。
準備の途中で、大学院に進むための研究や、目指す職業に必須の資格が見つかれば、そちらを先にしてかまいません。

1. 早めに始める理由

交換留学は興味が湧いてからでは間に合わないことがあります。
早く始めたほうがいい一番の理由は条件に締切があることです。
志望理由書は応募前に書き直せますが、過去の成績、英語力、もう終わった学内募集は取り戻せません。

JASSOは、大学への留学は開始の約1年半前から準備を始めるよう勧めています。
入学の約1年前に出願を締め切る大学や奨学金もあるためです。
交換留学だけのルールではありませんが、「行きたくなってから3か月で全部そろえる」のは難しいですよね。

国内の大学の募集も実はかなり早いんです。
九州大学は2027年秋または2028年春に始まる大学間交換留学の第1回募集を、2026年7月10日から11月6日まで行っています。
東京大学の2027–2028年期USTEP秋募集も、学部・研究科ごとの応募締切を2026年9月から10月上旬ごろとしていました(締切済み)。
募集時期は大学・学部・派遣時期で違うので、自分の大学の最新の案内を見てください。

応募しない年でも、いつ募集があり、その時点で何が必要かだけは先に知っておくと安心です。
何年生で行くかの比べ方は次の記事にまとめています。

2. 準備だけでも残る5つのもの

a. GPAを守る理由

やりたいことがないと、授業は「単位が取れればいいもの」になりがちです。
交換留学を仮の目標にすると、最初の学期から成績を軽く扱わない理由ができます。

東京大学のUSTEPは学内選考で学業成績、申請書、面接などを総合的に見ると明記しています。
GPAだけで合否が決まるわけではありませんが、過去の成績が審査に使われる以上、「応募を決めてから上げる」のでは間に合わないことがあるんです。
高いGPAは行かなかった場合もゼミ、奨学金、大学院、学内プログラムで役に立つことがあります。

数字のために、興味のある難しい授業を全部避ける必要はありません。
まずは出席、提出、試験日程を管理して、取った授業を途中で投げないことからで十分です。
個人的には、1年生のうちはこれだけ守れていれば、後で選べる道がかなり残ると思っています。

b. 英語の勉強の期限と測り方

「英語ができるようになりたい」だけでは、教材も勉強時間も決まりません。
候補校を3つ見ると、使える試験、必要な点数、出す時期が見えてきます。
すると「いつか英語をやる」が「まず1回受けて、基準との差を知る」に変わります。

早稲田大学の交換留学を含むEXプログラムでは、原則として学内選考のときに語学の証明書が必要です。
東京大学も協定校の条件を満たす証明書を期限までに出せなければ留学できないとして、結果が出る前から計画的に勉強するよう注意しています。
TOEICを持っていても、TOEFLやIELTSが必要だったりします。

英語が苦手でも、始めてかまいません。
最初から高い点を取るより、応募できる試験を確かめて、今の点を一度測るほうが先です。
IELTSの点数ごとに狙える範囲はIELTS 5.0〜7.0でどこまで狙えるかで見られます。

c. 授業比べで具体的になる興味

準備では大学名や国だけでなく留学先で取れる授業も調べてみましょう。
専門がまだ決まっていない人にこそ、この作業は役に立ちます。

「経済学に興味がある」だけでは広すぎるんです。
海外大学の科目一覧で、都市政策、行動経済、環境金融、開発経済などを見比べると、読んでみたいテーマとそうでもないテーマが分かれてきます。
その差は日本で取る授業やゼミを選ぶ材料にもなるかなと思います。

東京大学の最新の募集要項でも、協定校ごとに実際の科目名を調べ、留学の目的と結びつけた履修計画を書くことが求められています。
志望理由は授業を調べた結果から自分の興味を逆算すると書きやすいです。

d. 仮の締切

やりたいことが決まらない時期につらいのは、今日と来月の過ごし方がほとんど変わらないことです。
交換留学には説明会、語学試験、学内応募、奨学金など、外から決まる日付があります。
「次の説明会までに候補を3校見る」「夏までに英語の試験を1回受ける」くらいの区切りなら、大きな夢がなくても作れますよね。

e. 行く・行かないの判断材料

準備を進めると、費用、卒業時期、履修の制限、取りたい授業の少なさが見えてきます。
その結果「今は行かない」と決めるのも、立派な判断です。
成績の管理、英語の勉強、公式情報を比べる習慣、興味を授業名まで落とす作業は、研究室、短期研修、インターン、大学院に進むときにも使えます。

ただし、受験料や教材費、説明会に使う時間はかかります。
最初は候補校を3つに絞るなど、準備そのものにお金と時間をかけすぎないのがおすすめです。
準備の価値は出発できたかどうかだけで決まるものではありません。

3. 準備と並行する興味探し

興味探しは準備と並行して進めて大丈夫です。
「やりたいことがない」にもいくつかの状態があります。
大きな夢を考える前に、今の自分が何を知らないのかを1つだけ選んで、小さく試してみてください。

・何を学びたいかわからないなら、気になる授業のシラバスを3つ読み、聞いてみたい問いを1つ書く
・仕事のイメージが湧かないなら、大学のキャリアセンターで、関心のある仕事の普段の作業を聞く
・毎日が同じことの繰り返しに感じるなら、学内の公開講座や国際交流を1つ探し、対象と日時を確かめる

予定に余裕がないなら、活動を増やす前に使える時間を確かめておくと安心です。
「したいことがない」より「何もしていない自分が心配」に近いなら、授業やアルバイトの経験から強みを探す方法が役に立ちます。
候補が増えて順番に迷ったら、資格・インターン・留学を目的と締切で比べる記事で整理できます。
将来の選択肢をできるだけ残したいなら、私が優先順位をつけた大学でやることのTier表も参考になると思います。
「留学の目的がない」こと自体に悩んでいるなら、目的を仮説として作る方法を次の記事にまとめています。

4. 交換留学を優先しなくていい人

ここまで読むと、「とにかく交換留学に行けばいい」と言っているように見えるかもしれません。
でも私は、交換留学を「とりあえずの正解」にするのはおすすめしません。
勧めているのは交換留学の準備で、交換留学そのものを全員に勧めているわけではありません。
JASSOの留学計画のチェックにも「留学が最善か」「旅行、ワーキングホリデー、インターンなど別の国際経験では達成できないか」という問いがあります。

次のような人は交換留学の準備を一番にしなくて大丈夫です。

・入りたい研究室があり、長い実験や調査を続ける必要がある
・公認会計士のように、目指す職業に必須の資格試験がすでに決まっている
・家計、健康、家族の事情で、長期の渡航が今は負担になる
・目的が英会話の練習だけで、国内の授業や短期留学のほうが合っている
・卒業時期をずらせず、単位認定の見通しが立たない

インターンや資格のほうが就活に有利か迷うなら、私は交換留学の準備を先にするのをすすめます(理由は大学でやることのTier表に書いています)。
大学院や専門職など、すでに具体的な目標があるなら、それに近い活動を優先するのが自然です。
短期や語学留学も含めて比べたい人は大学生の留学5種類の比較を見てください。

個人的には、交換留学を「何かすごいことをした人」になるための肩書きにはしないでほしいと思っています。
比べた結果、日本で続けたいものが見つかったなら、準備はもう役目を果たしています。

5. 目的がない時期に避けたい3つの動き

a. 目的が固まるまでの様子見

目的は考えているだけでは固まりません。
授業を見る、経験者に聞く、試験を1回受ける、と動いて初めてわかることがあります。
目的は調べながら書き換えていく仮のもので大丈夫です。

b. 目立つ活動の詰め込み

学生団体、長期インターン、資格、留学は、参加しただけで価値が決まるものではありません。
何を確かめたいかがないまま入れると、忙しさだけが残ってしまいがちです。
小さく調べて、合わなければやめられるところから始めるのがおすすめです。

c. 制度を見ない英語の勉強

応募先によって、認められる試験も点数も違います。
点を上げた後で、学部の制限、募集時期、費用、単位の問題に気づくと、計画を組み直すことになってしまいます。
英語と制度の確認は同時に進めるのが早いです。

6. 最初の30日でやること

国も目的も決まっていないなら、次の30日はこれだけで十分です。

・1〜3日目:大学の留学ページで、募集時期、対象、窓口を確かめる → 締切とURLをメモ
・1週目:国ではなく授業から、協定校を3校だけ見る → 気になった科目名を各校1つ
・2週目:必要な英語試験を確かめ、模試か初回の受験日を決める → 今の点と次の受験日
・3週目:成績表と卒業要件を見て、留学の窓口に一度相談する → GPA・単位・卒業の未確認事項
・4週目:「何を確かめたいか」を仮の一文にする → 半年だけ使う仮の目的

個人的には、1週目の「授業から協定校を見る」が一番おすすめです。
国名から入るより、自分が何に惹かれるのかがはっきりします。

1年生で相談するのは、早すぎません。
留学先まで決める必要はなく、「まだ行くか決めていません。いつまでに何をそろえれば、選択肢を残せますか」と聞けば十分です。
学部・学科が決まってから応募条件が変わる大学もあるので、そこも一緒に聞いておくと安心です。
説明会に1回出るだけでも、サイトではわからない学内の動き方が見えてきます。

留学の種類、費用、期間までゼロから整理したいなら、最初の7ステップを順に確かめてみてください。

7. 応募時の目的の具体化

準備の入口では、目的があいまいでもかまいません。
ただし、学内選考に応募するときまであいまいでいい、という意味ではありません。
応募するときは目的をもう一段具体的にしてください。

九州大学は学内選考のポイントとして、留学目的、期待できる成果、交換派遣留学生としての適性、語学力を挙げています。
東京大学も具体的な授業名と履修計画を求めています。
応募の時点では今の学び、留学先の授業、現地での行動、帰国後のつながりまで説明する必要があるんです。

その材料は準備の途中で集まります。
候補校の授業を見る、説明会で質問する、英語を勉強する、日本の授業を受ける。その中で残った興味をつなげれば、壮大な将来像を最初から作る必要はありません。
私も学内選考を経験しました。選考で何をどう見られるかは、次の記事で説明しています。

まとめ

  • やりたいことがないなら、GPA、英語試験、募集時期、授業の確認から始める
  • 準備と応募は別。応募、休学、高額な契約は、比べてから決める
  • 途中で別のものに惹かれたら、そちらに進んでいい。準備はそこでも使える

今日やることは大学の留学ページを開いて、次の募集時期と必要な英語試験を1つずつメモすることです。


参考にしたサイト: JASSO「留学までのタイムスケジュール」 / JASSO「留学準備を始める前に」 / 九州大学「大学間交換留学」 / 東京大学「2026年度 全学交換留学(USTEP)派遣候補学生募集要項」 / 早稲田大学「中長期留学プログラム」

最終確認:2026年10月29日。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。募集時期、選考方法、GPA・語学要件、協定校、費用、奨学金、単位認定、卒業時期への影響は、大学・学部・年度によって異なります。準備・応募時には、所属大学と協定校の最新募集要項をご確認ください。