業務スーパー奨学金とは?倍率・金額・選考フローと書類の書き方【交換留学・2027年度応募】

業務スーパー奨学金の倍率・金額・書類の書き方

【大学間交換留学の教科書編集部】

交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。

業務スーパー奨学金(業務スーパージャパンドリーム財団「留学支援事業」)は、大学間・部局間協定にもとづく交換留学に使える、返済不要の給付型奨学金です。
学部2年生以上で、GPAと語学の基準を満たしていれば、家庭の所得に関係なく応募できます。
交換留学の奨学金で迷ったら、条件に合う学部生はこの奨学金を第一候補にしてください。

要点は次の4つです(2026年度の募集要項)。
・金額:月15万円または20万円+留学一時金15万円または25万円(最大265万円)
・採用人数・倍率:年間約800名の予定。2025年の実績は応募1,395名・支援800名で約1.74倍
・締切:財団の受付は1回目が1月、2回目が7月。学内の締切はそれより早い
・応募方法:在籍大学を通して応募する(個人では出せない)

2027年度(2027年5月以降に始まる留学)の募集要項は、2026年10月28日の時点ではまだ出ていません。
そのため、この記事の数字は2026年度のものです。2027年度の募集から変わると大学がすでに案内している点(語学の証明書)だけ、先に入れています。

1. 業務スーパー奨学金の概要

運営しているのは、公益財団法人 業務スーパージャパンドリーム財団です。
業務スーパーを展開する神戸物産の筆頭株主で、事務局は兵庫県にあります。
事業費の財源をはっきり書いた資料は見つかりませんでしたが、国の予算で動く制度ではなく、民間の財団が出している奨学金なんです。

名前は年度によって少し違います。
要項では2026年度から「留学支援事業」になりましたが、大学の掲示では今も「派遣留学奨学生」と書かれていることが多く、どれも同じ制度です。

この財団が何のためにお金を出しているのかは、要項の最初に書かれています。

様々な日本文化を諸外国に広めていくことを通じ、我が国と諸外国との間の国際相互理解をさらに深めていくことを目的として設立されました。

出典:2026年度留学支援事業 募集要項【大学事務担当者用】(東京大学の学内掲載) p.1

続けて、学問の分野で海外での活躍を目指す若者に留学の資金を出し、日本文化を海外に広める人材を育てる、という事業の趣旨が書かれています。
この「日本文化を広める」「国際相互理解」の2つは、書類を書くときの土台になる言葉です。
どの設問にどうつなげるかは、7のaで具体的に説明します。

規模はここ10年でかなり大きくなりました。
2015年度は月15万円一律で170名程度の支援でしたが、2025年度以降は約800名、地域別の月額に一時金が加わる形になっています。

2. 対象と応募条件

条件は「人」「留学の中身」「成績と語学」「所得・併給・応募の経路」の4つに分けて見ると漏れにくいです。

a. 対象になる学生

2026年度の要項では、次の5つをすべて満たす人が対象でした。
・2026年5月時点で、日本国内の大学に在籍している
・留学開始時点で2年生以上の学部生(大学院生と、留学中に大学院へ進む人は対象外)
・2026年5月1日時点で35歳以下
・応募時点で日本国籍を持っている
・この財団の奨学金を受けたことがなく、過去の年度の内定も持っていない

応募資格には「国際交流と相互理解に関心を持っていること」「帰国後の報告会、留学生ネットワーク等本制度における諸活動に主体的に参画できること」も入っています。
決まり文句に見えて、実は書類の中身に関わる部分です(7のcで触れます)。

b. 対象になる留学

交換留学で使えます。
というより、大学間協定か部局間協定にもとづく留学しか対象になりません。
覚書だけの協定でも大丈夫ですが、教授間・研究室間の協定は対象外です。
学内選考があるプログラムであることも条件なので、私費留学や認定留学は対象外と読める書き方になっています。

留学の中身には次の5つの条件があります。
・2026年度は、2026年5月1日〜2027年4月30日に始まる、6か月以上または1学期以上のプログラム
・語学研修を含まず、語学研修が目的でもない(1学期目が語学、2学期目が専門なら、2学期目だけが対象)
・在籍大学の単位で、1セメスター12単位以上に相当する学習計画がある
・現地での対面授業が全体の5割以上
・文系・文理融合型の学部は、在籍大学で単位が認定されるか、留学先への授業料が不要な協定に限る

国や地域の限定はありません。
文系の人は、自分の協定が「単位認定」か「授業料不要」に当てはまるかを、留学担当の窓口で一度聞いておくと安心です。

c. 成績と語学の基準

成績は3点満点に換算したGPAで2.5以上が必要です。

在籍する大学における成績係数(GPA)が 3 点満点としたとき 2.5 以上であること

出典:2026年度留学支援事業 募集要項【大学事務担当者用】(東京大学の学内掲載) p.2

財団の計算式は(秀・優の単位数×3+良×2+可×1)÷総登録単位数です。
80点以上を3点、70〜79点を2点、60〜69点を1点として数え、不可は計算に入れません。
大学のGPAとは数え方が違うので、大学ごとに読み替えの基準が出ています。2026年度なら、千葉大学は大学GPA 3.33(4点満点)以上、立教大学は3.4以上でした。

語学の基準は留学先で使う言語ごとに決まっています(2026年度)。
・英語:TOEFL PBT/ITP 500、iBT 70、IELTS 5.5、TOEIC 820 のいずれか以上
・中国語:HSK 5級180点以上、または6級150点以上
・ヨーロッパの言語:CEFR B1以上
・韓国語:TOPIK 5級190点以上
・その他の言語:語学資格の証明書と、その言語の専門家による証明書の両方

要項には、これは「応募に必要な最低基準であり、選考基準ではございません」とはっきり書かれています。
東北大学の学内向けの注意事項にも、ITP 500で応募できるとしたうえで「TOEFL ITP 550 点以上の層から多く採用されている傾向」とあります。
正直、基準ぎりぎりなら、出願までにもう1回受けておいたほうが気持ちは楽です。

2027年度の募集からは、語学の証明書の扱いが変わると早稲田大学が案内しています(2026年4月掲載)。
・有効期限のある証明書は、期限内のものだけ受け付ける(期限がないものは取得から2年以内)
・HSKは無料の成績通知書(PDF)では応募できず、有料で申し込む成績報告の原本が必要
2年ほど前に受けたスコアを使うつもりの人は、期限を一度確認してみてください。

d. 所得・併給・応募の経路

所得制限はありません。要項の応募資格に、世帯の収入や所得の条件は書かれていません。
所得制限のないほかの奨学金とどう比べるかは、交換留学で所得制限なしの奨学金は?業務スーパーを第一候補にしたい理由で説明しています。

併給は同じ留学プログラムに対する奨学金とはできません。
名目を問わず、在籍大学を含むほかの団体から同じ留学への奨学金を受けていないことが条件で、補足資料では留学先大学の奨学金や現地の寮費の補助も対象に入っています。
在籍大学の授業料に対する奨学金や、別のプログラムに対する奨学金なら併給できます。

JASSOの協定派遣やトビタテも同じ留学への奨学金なので、両方は受け取れません(トビタテの条件はトビタテの解説記事にまとめています)。
協定派遣の金額や学内での選ばれ方はJASSO協定派遣の解説記事で説明しています。
併願はできますが、東北大学のように「併給できない奨学金は原則併願もできない」とする大学もあります。
併願できない大学で1つに絞るなら、条件に合う学部生には業務スーパー奨学金をすすめます。
確かめ方の手順は、留学の奨学金は併給できる?併願との違い・確認手順を見てみてください。

応募は個人ではできず、在籍大学を通します。
大学の担当者がポータルに登録し、学生は大学経由でアカウントを作って入力します。財団に直接問い合わせることもできません。
応募者が多いと学内で書類選考や面接をする大学もあるので、まずは窓口で学内の募集があるかを聞くところからです。

3. 支給額

お金は留学先の地域で決まる月額と、最初に1回だけ出る留学一時金の2本立てです(2026年度)。
・月額20万円:北米、シンガポール、欧州、中近東
・月額15万円:アジア(シンガポールを除く)、大洋州、中南米、アフリカ
・留学一時金:アジア(シンガポールを含む)は15万円、その他の地域は25万円

欧州でも、次の「除外国」は月15万円です。
アゼルバイジャン、アルバニア、アルメニア、ウクライナ、ウズベキスタン、エストニア、カザフスタン、キルギス、ジョージア、クロアチア、コソボ、スロバキア、スロベニア、セルビア、タジキスタン、チェコ、トルクメニスタン、ハンガリー、ブルガリア、ベラルーシ、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、モルドバ、モンテネグロ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア
中欧・東欧に行く人は、自分の留学先が20万円と15万円のどちらなのか、ここで確かめておいてください。

月額が出るのは原則12か月以内で、対象は現地の授業開始日から期末試験の終了日までです。
留学を始める月と終える月は、現地にいる日数が15日未満だとその月の分は出ません。

最大は20万円×12か月+25万円の265万円です。
とはいえ、実際の額は学年暦で決まります。たとえばアジア(シンガポール以外)で5か月が対象なら、15万円×5か月+15万円で90万円です。

振込は月1回で、月末までに翌月分が入ります。
一時金は初回の奨学金とまとめて振り込まれ、初回の時期は1回目募集が5月、2回目募集が12月と案内されています。正式決定の手続きが遅れた月の分は、あとからさかのぼって支給されます。
寮費や航空券の支払いのほうが先に来ることはよくあるので、入金月と支払月を交換留学費用シミュレーターに入れて、手元にいくら要るかを見ておくと安心です。

給付型なので返済はいりません。
ただし、虚偽の申請や無断の帰国、報告書を出さないといった場合は、支給停止や返還の対象になります(5のdで触れます)。

4. 採用人数と倍率

2026年度は年間で約800名を支援する予定です。
応募者数と支援者数はJASSOの海外留学情報サイトに財団の実績として載っています。倍率は応募者数÷支援者数で計算しました。
・2025年:応募1,395名、支援800名で約1.74倍(採用率57.3%)
・2024年:応募1,328名、支援740名で約1.79倍(55.7%)
・2023年:応募1,051名、支援586名で約1.79倍(55.8%)
・2022年:応募853名、支援481名で約1.77倍(56.4%)
・2021年:応募778名、支援360名で約2.16倍(46.3%)

枠は2021年の360名から800名まで増えましたが、応募者も同じように増えています。
そのため、倍率は2022年以降1.7〜1.8倍でほぼ横ばいです。
大学別の数字では、早稲田大学で2023年に51名が応募し、30名が受給しています(約1.7倍)。

この倍率を見るときの注意点は2つです。
1つはJASSOの掲載には「実績年」とだけあり、年度なのか暦年なのか、1回目と2回目の合計なのかが書かれていないことです。
もう1つは応募者数が「学内選考を通って財団に出された人数」とみられることです。学内で絞り込みがある大学なら、学内の段階からの競争はこれより厳しくなります。

2026年度の要項には、一次選考(書類)の通過予定が1回目約730名、2回目約120名と書かれています。
合計で約850名なので、最終の約800名に近い数字です。一次を通った人の多くが最終まで残る計算になりますが、あくまで予定の人数なので、二次の合格率とまでは読まないでください。
個人的には、勝負どころは一次の書類だと考えています。7の書類の話を厚めにしているのはそのためです。

5. 選考フローと日程

流れは学内の締切 → 財団への応募(ポータル) → 一次選考(書類) → 二次選考(面接) → 最終結果 → 正式決定、の順です。
募集は年2回あり、どちらに出すかは留学先の授業が始まる時期で決まります。

a. 1回目募集

2026年度の1回目(秋出発)は、2026年5月1日〜11月30日に現地の授業が始まるプログラムが対象でした。
・財団の受付:2026年1月5日(月)9:00〜1月30日(金)12:00
・一次選考の結果:3月中旬にメールで通知
・二次選考(面接):3月下旬、兵庫県内
・最終結果:4月下旬にメールで通知

学内の締切は財団よりかなり早く来ます。
2026年度は、早稲田大学の事前登録が2025年12月15日、ポータル入力の締切が1月13日でした。千葉大学は提出が1月21日です。
秋に出発する人は、前の年の12月には動き始めている計算になります。

b. 2回目募集

2026年度の2回目(春出発)は、2026年12月1日〜2027年4月30日に授業が始まるプログラムが対象でした。
・財団の受付:2026年7月1日(水)9:00〜7月31日(金)12:00
・一次選考の結果:9月中旬
・二次選考(面接):10月の土曜日・日曜日、兵庫県内
・最終結果:11月中旬

学内の締切は、早稲田大学の事前登録が6月15日、立命館アジア太平洋大学の学内申請が6月17日でした。
前期の授業や試験の準備と重なる時期なので、5月のうちに書き始めておくくらいでちょうどいいです。

2027年度の日程は2026年10月28日の時点ではまだ発表されていません。
2026年度と同じ流れなら、1回目は学内の案内が11〜12月、財団の受付が1月になる見込みです。

c. 二次選考(面接)の形式

二次選考は原則として兵庫県内で、財団が指定した日時に対面で行われます。
面接会場までの交通費は自己負担です。
指定の日に欠席すると二次選考を辞退したことになり、学生の都合での日程変更も原則できません。

コロナ禍の2022年ごろには面接の代わりに課題文の提出だったという体験記もあるので、その年の形式は財団からの案内で確かめてください。

なお、要項では選考の内容をSNSやブログなどインターネット上に公開することが禁じられていて、発覚すると支給停止や返還の対象になります。

選考の内容を SNS 等インターネット上に公開していることが発覚した場合。

出典:2026年度留学支援事業 募集要項【大学事務担当者用】(東京大学の学内掲載) p.6「12.留意事項」(1)⑩

面接の詳細を「削除依頼に基づき公開を終了しました」とした体験記もあり、このルールは実際に運用されています。
そのため、この記事では面接で聞かれる内容は扱わず、形式と準備の仕方だけを書いています。

d. 内定から採用後まで

最終結果で内定が出ても、まだ正式決定ではありません。正式決定までは次の4段階です。

  1. 内定通知書と支給予定証明書がメールで届く
  2. 大学が「渡航確定」を確認する(ビザが手元に届き、出発日が決まり、受け入れに問題がないこと)
  3. 受入許可証の写し、アカデミックカレンダー、期間確認書、口座情報を財団に出す
  4. 決定通知書が届いて正式決定

受入許可証の写しを留学開始日までに出せないと、内定は取り消されます(2025年度の大学の学内掲載より)。
ビザの発給に時間がかかる国に行く人ほど、ここで慌ててしまいがちです。

採用後にやることは次の3つです。
・認定期間の終了日から4か月以内に、留学報告書と成績証明書をポータルから出す(報告書は財団のサイトで公表されることがある)
・帰国後の報告会や留学生ネットワークに参加する(2025年2月の体験記では、神戸に300名以上が集まった)
・支給停止・返還の条件に当たることをしない(虚偽の申請、無断帰国、留学先での休学・転学、成績不良、報告書の未提出、選考内容のネット公開など)

6. 応募書類と設問

a. 提出書類

2026年度に出した書類は次の7つです(6は該当者のみ、7は任意)。

  1. 語学資格の証明書(留学先で使う言語のもの)
  2. 在籍証明書(日本語)
  3. 学業成績証明書(日本語。編入した人は編入前のものも)
  4. いま履修中の科目がわかる書類(A4で1枚。大学の証明印は不要)
  5. 指導教員推薦書(所定の様式で厳封)
  6. 使用言語の専門家による証明書(その他の言語の場合だけ)
  7. ボランティア参加証明書の写し(自分で作った活動一覧でも可)

このほか、ポータルで申請書と誓約書を入力します。
書類は推薦書を除いて日本語で作り、親族が書いた書類は受け付けられません。
語学の証明書は公印か主催者印のあるものが必要で、スクリーンショットや成績照会の画面は使えないので気をつけてください。

b. 申請書の入力項目

申請書で入力するのは、大きく分けて次の3種類です。
・基本情報:顔写真、学歴・職歴、指導教員の氏名と役職、海外経験(任意)、併願中・決定済みの奨学金
・語学能力:試験名、スコア、CEFR
・留学先:第1希望(必須)と第2希望(任意)。プログラム名、大学、目的、期間、プログラムの種類、学内選考の状況、授業の言語、履修予定の科目と単位数・科目概要(日本語)

第2希望まで書いておくことが勧められています。
申請書にない大学への変更は一切認められず、選考期間中に書類を差し替えることもできません。
大学間交換留学なら、プログラムの種類は「最終的な受け入れ判断は推薦を受けた留学先大学側」を選ぶ、と東北大学の注意事項にあります。

c. 自由記述の6つの設問

書類選考の中心になるのが、自由記述の欄です。2026年度の設問は次の6つでした。
・留学先を選択した理由(1,000文字以内)
・留学先で学びたいことや経験したいこと(1,000文字以内)
・留学先で学んだことを将来どのように活かしたいのか(1,000文字以内)
・将来の夢(1,000文字以内)
・大学卒業後の進路(1,000文字以内。卒業後に海外へ行く予定がある人だけ)
・自己PR(2,000文字以内、またはA4で2枚までの書類をアップロード)

全部埋めると最大で6,000字、進路の欄も書く人は7,000字になります。
2024年度に応募した人の体験記では、自由記述欄が約6,400字になったそうです。
2026年度はWebのポータルに直接入力する形で、入力した申請書をPDFやCSVでダウンロードすることはできません(東北大学の注意事項)。面接の前に読み返せるよう、下書きはWordなどに自分で残しておいてください。

7. 選考のポイント

評価の基準や配点は公表されておらず、採否の理由も教えてもらえません。
だから、ここで書くのは「要項に書かれていること」と「体験記で共通して言われていること」から組み立てた書き方です。

a. 財団の目的との重ね方

最初にやるのは、財団の目的と自分の留学をつなぐ「軸」を1文で決めることです。
要項の目的と事業の趣旨から拾える手がかりは次の3つです。
・「様々な日本文化を諸外国に広めていく」→ 現地で何を、どうやって伝えるか
・「国際相互理解をさらに深めていく」→ 現地の人と何をやり取りし、何を持ち帰るか
・事業の趣旨(学問の分野で海外での活躍を目指す若者を支える)→ 専攻の学びとして何を深めるか

「日本文化」は、食べ物や伝統芸能に限りません。
2022年の体験記の筆者は日本の音楽を軸にして、食品に絞る必要はなかったと書いています。
専攻で学んでいる日本の制度や技術、地元の文化、サークルで続けてきたことなど、自分が実際に関わってきたものから選ぶと無理がありません。

軸が決まったら、5つの1,000字の設問と自己PRに役割を振り分けます。
たとえば、経営学部の学生がドイツの大学で国際マーケティングを学ぶ場合(架空の例)で考えてみます。
軸:「日本の地域の工芸品が海外でどう受け入れられるかを学び、現地でも紹介する」

・留学先を選択した理由:その大学に国際マーケティングと消費者行動の授業があること、工芸やデザインの市場が大きい地域であること(「学問」と「日本文化」の接点)
・学びたいこと・経験したいこと:履修する授業の名前と中身、授業の発表や現地の日本語クラス・学生団体のイベントで地元の工芸品を紹介する計画(「広める」の具体的な場面)
・将来どう活かすか:帰国後にゼミや地元の事業者と海外向けの発信を考え、報告会や留学生ネットワークでも共有する(「相互理解」を持ち帰る)
・将来の夢:日本の地域の産品を海外に届ける仕事に就くこと(軸の行き先)
・大学卒業後の進路:卒業後に海外へ行く予定がある人だけ。夢に向けた最初の一歩として書く
・自己PR:地元のイベントの手伝いや留学生との交流など、軸に沿ったこれまでの行動(軸が付け焼き刃ではない証拠)

コツは同じ話を6回くり返さないことです。
「なぜそこか」「そこで何をするか」「帰ってどうするか」「その先に何があるか」「ここまで何をしてきたか」と、時間の向きで分けると重なりにくくなります。
2022年の体験記でも、主張と目的意識に一貫性を持たせるのが最も大切だと言われています。

編集部で応募を経験した立場から言うと、いきなり1,000字を書き始めるより、6つの欄に1行ずつ要点を置いてから肉付けしたほうが早く仕上がります。
2024年の体験記でも、自己PRを箇条書きから肉付けしたと書かれていました。

交換留学の学内選考で書いた志望理由書がある人は、それを材料にするのが近道です。
「なぜその大学か」はほぼ使えて、足すのは「財団の目的にどうつながるか」「卒業後にどう活かすか」の部分です。
書き分けの手順は奨学金の志望理由と交換留学の志望理由の書き分け方で説明しています。

b. 履修計画と設問のそろえ方

「学びたいこと」の欄と、申請書の「履修予定の科目・科目概要」の欄は、必ず対応させてください。
要項の条件が「専門の科目を1セメスター12単位以上相当」「対面授業が5割以上」なので、履修の欄はそのまま審査の材料になります。
2020年度の体験記でも、履修予定の科目と学びたいことを一致させるよう勧めています。

□ 「学びたいこと」に出てくるテーマごとに、対応する科目が履修欄にある
□ 語学の授業が中心になっていない
□ 科目概要を、留学先のシラバスをもとに日本語で書いた

科目名を並べるだけでは、何を学ぶのかが伝わりません。
「この授業では〇〇の事例を扱うので、日本の△△と比べたい」くらいまで書くと、軸とのつながりが見えてきます。

c. 自己PRの組み立て

自己PRは2,000字以内の文章か、A4で2枚までのファイルかを選べます。
ファイルなら写真や図を入れられるので、体験記でもこちらを選んだ人が目立ちます(2020年度は写真やグラフ、2024年度はWordで画像入りの2枚)。

中身は「軸に沿って、ここまで何をしてきたか」の証拠にするのがおすすめです。
応募資格にある「国際交流と相互理解への関心」と「帰国後の報告会などへの参画」を、行動の実績で見せられる場所だからです。
留学生のチューター、ボランティア、地域のイベント、専攻での発表など、軸に近いものを2〜3個に絞ってみてください。早稲田ウィークリーの受給者も、高校時代からの関心を示して「付け焼き刃」ではないことを伝えたそうです。

個人的には、「将来の夢」とつながる経験を1つ、最初に大きく置く構成が読みやすいと思っています。
経験を全部並べると、かえって軸がぼやけてしまうんです。

d. 書類の形式と推薦書

中身がよくても、形式のミスで受け付けてもらえないのはもったいないですよね。出す前に次の4つを確認してください。

□ 語学の証明書は、公印か主催者印のある正式なもの(2027年度からは有効期限内のもの)
□ アップロードするファイルはPDFにして、表示が崩れていないか見た
□ 第2希望の留学先まで入力した
□ 指導教員推薦書を、学内の締切から逆算して頼んだ

2024年度の体験記には、PDFにしたら最後の1行の下半分が切れていて、大学の担当者に指摘されたという話があります。

推薦書は教員から厳封で出されるので、学生は中身を見られません。
早稲田大学は、留学計画を伝えないままメールだけで頼んで問題になる例が毎年あると注意しています。
申請書の下書きと履修予定の一覧を持って、1回目なら冬休み前、2回目なら6月中に頼むのが目安です(2020年度の体験記も冬休み前を勧めています)。

e. 面接の準備

一次の結果が出てから面接までは、1回目だと2週間ほどしかありません(3月中旬→3月下旬)。
2024年の体験記も、一次から二次までの間に申請書と自己PRを見返すよう勧めています。
準備は結果を待つ間に次の3つを済ませておけば十分です。

□ 自分の申請書と自己PRを読み返し、留学計画を1分で説明できるようにした
□ 履修予定の科目と、現地で日本文化を伝える計画を、具体的な場面で話せるようにした
□ 兵庫県までの移動と宿の候補を調べ、交通費の予算を見込んだ

提出した書類を材料に、計画を短く話す練習の進め方は交換留学の面接練習の4週間の手順がそのまま使えます。

f. 応募回と日程の組み方

応募する回は留学先の授業が始まる時期で決まります。
秋に始まる留学なら1回目、冬〜春に始まる留学なら2回目です(2回目は一次の通過予定が約120名と少なめ)。

1回目で不採択でも同じ年度の2回目以降に応募できます(補足資料)が、2回目は冬〜春に授業が始まる留学が対象なので、秋出発の人がそのまま出し直せるわけではありません。

1回目に向けた逆算は、たとえばこんな流れです。
・10〜11月:語学スコアをそろえる。軸を決めて、6つの欄に要点を置く
・12月:学内の案内を確認して事前登録。冬休み前に推薦書を頼む
・1月:ポータルに入力し、学内の締切までに出す
・3月:一次の結果を見て、面接の移動を手配する

奨学金全体をいつから準備するかは、留学の奨学金はいつから探すかにまとめています。
交換留学の学内選考と時期が近いので、学内選考の書類を書くときに、奨学金で使う材料も一緒にメモしておくと楽です。

8. 参考になる体験記・資料

実際に読んで、書類づくりの参考になったものを8つ挙げます。
古い年度のものは金額や書類の形式が今と違うので、考え方の部分を参考にしてください。
面接の質問を詳しく書いた記事は、公開禁止のルールがあるので載せていません。

早稲田ウィークリーの奨学金特集(2024年4月29日)
ビンガムトン校に留学した受給者の話です。目的を「映像と建築の二つの軸」で示し、機材費や交通費など使い道を具体的に書いたそうです。早稲田の2023年の応募・受給者数もここに載っています。

早稲田大学留学センター「2026年度派遣留学奨学生(1回目)」(2025年)
学内の締切の実例と、2026年度からのGPAの換算方法の変更がわかるページです。推薦書の頼み方の注意や、選考内容をSNSやnoteで公開しないよう求める一文もあります。

a 交換留学生’s Life in the UK「業務スーパー奨学金合格のポイントと注意点」(2022年)
シェフィールド大学への交換留学生の記事です。日本の音楽を軸にしたこと、交換留学の申請書と内容をそろえて一貫性を持たせたことが書かれています。試験期間と重なるので、募集前に内容を固めておくよう勧めています。

SORAK「留学で使える給付型奨学金の探し方と『業務スーパー奨学金』」(2024年)
ストニーブルック校に交換留学した人の応募記録です。推薦書を頼んだ日、自由記述が約6,400字になったこと、画像入りの自己PR、PDFの表示崩れの失敗まで具体的で、大学の締切が財団より8日早かった話もあります。

SORAK「『業務スーパー奨学金』面接と兵庫旅行」(2024年)
二次選考の日の移動と神戸での過ごし方の記録です。面接の詳しい部分は「削除依頼に基づき公開を終了しました」となっていて、公開禁止のルールが実際に運用されているとわかります。

Langful Days の合格者の体験記(2021年公開・2026年更新)
2020年度に採用されたあと、コロナでオランダ留学が中止になり辞退した人の体験です。結論を先に書く、将来の夢とつなげる、履修科目と学びたいことを一致させる、と書類の助言がまとまっています。

note 彩乃「業務スーパー奨学金の報告会へ」(2025年)
帰国後の報告会に参加した人の記録です。応募資格にある「帰国後の報告会」がどんな場なのか、具体的にイメージできます。

東北大学の学内向け注意事項(2026年度2回目)
語学スコアの傾向(ITP 550点以上の層から多く採用)のほか、ポータル入力の細かい注意(ダウンロード不可、PDFが望ましい、プログラムの種類の選び方)が載っています。

9. まとめ

  • 条件に合う学部生は第一候補にする。業務スーパー奨学金は協定にもとづく交換留学に使える給付型で、月15万円または20万円+一時金。応募は在籍大学を通す
  • 倍率は約1.7〜1.8倍で横ばい。勝負は一次の書類で、財団の目的(日本文化を広める・国際相互理解)と自分の留学を1本の軸でつなぐ
  • 学内の締切は財団より早い。推薦書は1回目なら冬休み前に頼み、面接の内容はSNSやブログに書かない

今日やることは留学担当の窓口に2027年度1回目の学内締切を聞いて、推薦書を頼む先生を決めることです。


参考にしたサイト: 業務スーパージャパンドリーム財団「留学支援事業」 / 2026年度留学支援事業 募集要項 / 2026年度 募集要項に関する補足事項 / 東京大学掲載の財団募集要項(2026年度) / 千葉大学掲載の募集要項・補足事項・応募書類項目一覧(2026年度) / JASSO海外留学情報サイト(応募者数・支援者数の実績) / 早稲田大学留学センター(2027年度募集からの語学資格証明書の変更) / 早稲田大学留学センター(2026年度1回目) / 東北大学の注意事項(2026年度2回目) / 立教大学の学内募集(2026年度2回目) / 早稲田ウィークリー(2024年) / 岩手大学掲載の2015年度募集要項

確認日:2026年10月28日。募集要項(2026年度・1回目/2回目)をもとにしています。2027年度の要項は確認日の時点で未公開で、2027年度の変更点は大学の案内(語学証明書)によるものです。財団の公式サイトと要項PDFの原本はこの確認では開けず、大学が学内に掲載した同じ要項で内容を確かめています。条件や日程は年度ごとに変わるので、応募前に最新の要項と大学の学内募集を確認してください。編集部の経験にもとづく助言は個人的なもので、同じ結果を保証するものではありません。