【大学間交換留学の教科書編集部】
交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。
交換留学中にヨーロッパを鉄道で回ろうとすると、定期券、早割、鉄道パスと種類が多くて迷いますよね。
私は、ヨーロッパの鉄道を安く使うなら、旅行の種類によって切符の買い方を変えるのがいちばんだと思っています。
使い分けは次の3つです。
・留学先の国内で近くへ出かける → 現地の定期券や地域チケット
・日程が決まっている長距離 → 鉄道会社の公式サイトで早割
・行き先を決めずに複数の国を回る → Interrail・Eurailなどの鉄道パス
26歳以下なら、どの場合も若者向けの運賃を探すとさらに安くなります。
鉄道パスは日本から1〜2週間で周遊する旅行者向けの商品です。数か月現地に住んで週末ごとに出かける交換留学生には、もっと安い方法があります。
1. 旅行の種類の分け方
まず、切符を探す前に、計画している旅行がどの種類かを決めておくとスムーズです。
分ける基準は次の2つだけです。
・留学先の国内の近距離か、国をまたぐ長距離か
・日付と列車を今決められるか
同じ旅行の中で組み合わせてもかまいません。
たとえば、行きの長距離は早割で取り、現地の移動は地域チケットで済ませ、帰りは予定が読めないので変更できる運賃にする、という形です。
旅行全体を1種類の切符で済ませようとしないのがコツです。
2. 近距離:留学先の定期券
近距離なら、まず使い倒したいのが、すでに持っている、または持つ予定の定期券です。
通学用の定期券で乗れる範囲なら、週末旅行の交通費はほとんどかかりません!
観光客向けの情報では見落とされがちですが、個人的には交換留学生にとっていちばん大きな節約だと思っています。
代表例がドイツのDeutschland-Ticketです。
2026年1月から月額63ユーロで、ドイツ全土のバス、トラム、地下鉄(U-Bahn)、近郊列車(S-Bahn)、地域列車に乗れます。
大学によっては、学期ごとに払う学生定期がそのままDeutschland-Ticketとして使えるので、まず留学先の大学の案内を見てください。
注意点は2つあります。
1つ目はICE、IC、ECなどの長距離列車には原則として乗れないことです。
地域列車だけで行けるかは、経路検索で切符の有効範囲まで確かめてください。
地域列車は時間がかかるので、遠い場所だけ長距離列車の早割を別に買うのが現実的です。
2つ目は月ごとの定期契約(サブスクリプション)であることです。
DBで買った場合、その月の末で解約するには、原則として10日までに手続きが必要です。
帰国する月に解約を忘れると、翌月分も請求されてしまいます。
買ったらすぐ、解約の期限をカレンダーに入れておくと安心です。
ドイツ以外の国にも地域ごとの定期券や学生向けの交通パスがあります。
交換留学生が対象になるか、どの列車に使えるかは、留学先の大学と交通会社の公式案内で確認してください。
3. 日程が決まった長距離:早割
日付と列車を早めに決められる旅行なら、公式サイトで区間ごとの早割切符を取るのがいちばん安いです。
授業のない週末、学期休み、友人が訪ねてくる日などがこれにあたります。
早割は早く買うほど安い席が残りやすいのが特徴です。
オーストリア国鉄(ÖBB)は、出発の180日前から15日前が最安の運賃を見つけやすい期間だと説明しています。
ドイツ鉄道(DB)の26歳以下向けの早割(Super Sparpreis Young)は、2026年9月時点で区間によって4.99ユーロからあります。
ただし、最安の早割は列車が指定され、変更や払い戻しができないか、手数料がかかってしまいます。
迷ったら、変更できる運賃との差額を「保険料」と考えると決めやすいです。
たとえば、変更できない切符が20ユーロ、当日変更できる切符が35ユーロなら、差額の15ユーロが保険料です。
試験の日程がまだ出ていない、課題の締切と重なりそう、というときは、15ユーロ払って変更できる切符にしたほうが結果的に安くつくことがあります。
実は、検索して切符が出てこなくても、満席とは限らないんです。
時刻表の改定前で、まだ販売が始まっていないこともあります。
候補日が決まったら一度検索して、販売開始日を確かめておくと取り逃しません。
4. 複数国の周遊:鉄道パス
Interrail・Eurailなどの鉄道パスは、いちばん安い切符というより、予定を変えられる自由を買う商品です。
学期休みに3〜5か国を回る、天気や友人の都合で行き先を変えたい、途中の街で気軽に降りたい、という旅行に向いています。
27歳以下ならユースパスがあり、大人料金の25%引きです。
交換留学生が特に気をつけたい点は、次の3つです。
a. EurailとInterrailの違い
Eurailはヨーロッパ以外に住む人向け、Interrailはヨーロッパに住む人向けのパスです。
Interrailは居住国を「市民権または法的な居住権があり、時間の大半を過ごす国」としていて、それを示す公的な書類の携帯を求めています。
交換留学生がどちらに当たるかは滞在期間や在留資格で変わるので、判断がつかなければ購入前に公式サポートに問い合わせてください。
もう1つ、Interrailで居住国を登録すると、その国の中で使えるのは原則として「国外へ出る1回」と「戻る1回」だけです。
たとえばドイツを居住国にした場合、ドイツ国内は乗り放題になりません。
留学先の国内の移動は、2の定期券や3の早割と組み合わせる前提で考えておくと安心です。
b. パス代とは別の予約料
高速列車や夜行列車には、パスを持っていても座席の予約が必要で、別に予約料がかかるものがあります。
ユーロスター(ロンドン〜パリなど)、フランスのTGV、スペインのAVEなどが代表例です。
人気の路線では、パス用の座席が早く埋まることもあります。
パスを買う前に、絶対に外せない列車の予約が取れるかを確かめておくと、買ってから困ることがありません。
夜行列車も同じです。
ÖBBのNightjetでは、パスを持っていても座席、簡易寝台(クシェット)、寝台のいずれかを予約する必要があります。
寝台の追加料金を足すと、昼間の早割列車とホステルを組み合わせたほうが安いこともあります。
「夜行列車なら宿代が浮く」とは限らないので、両方の合計で比べるのがおすすめです。
c. 1日あたりの値段の計算
1日あたりの値段は実際に使う日数で割って考えます。
7日分のパスを買っても、体調や課題で6日しか使わなければ、1日あたりの値段はパス代を6で割った額です。
交換留学中は予定が変わりやすいので、予定上の日数ではなく確実に使う日数で計算しておくと安全です。
日付をまたぐ夜行列車は、午前0時以降に乗り換えなければ、原則として出発日の1日分だけで済みます。
0時以降に別の列車に乗り換えると2日分になってしまうので、乗り換えの時刻は確認しておくと安心です。
5. 共通:26歳以下の若者向け運賃
26歳以下なら、若者向けの運賃は必ずチェックしたいところです。
ヨーロッパの鉄道には、日本のような「学生証を見せれば学割」という仕組みはあまりありません。
その代わり、学生かどうかに関係なく、年齢で使える若者向けの運賃や割引カードがたくさんあります!
国際学生証を用意するより先に、予約画面で年齢を入れて、Youth、Young、Jeune(フランス語)、Giovani(イタリア語)といった表示を探してみてください。
主な例は次のとおりです(2026年秋時点)。
- ドイツ:Super Sparpreis Young(26歳以下)。早割がさらに安くなる。カード代は不要
- オーストリア:Vorteilscard Jugend(26歳未満)。年会費20ユーロ前後で、通常の運賃が半額
- フランス:Carte Avantage Jeune(12〜27歳)。年49ユーロで、対象の運賃が30%引き
- イタリア:Italo Young(14〜29歳)。対象の列車で最大70%引き
- スイス:Friends Day Pass for Youth(25歳未満)。最大4人で1日乗り放題が2等CHF80。4人なら1人CHF20
- イギリス:16–25 Railcard。年35ポンドで、対象の運賃がおおむね3分の1引き
年会費がかかる割引カードは、元が取れるかを先に確かめてみましょう。
目安はカードの値段を割引率で割ることです。
フランスのCarte Avantage Jeuneなら、49ユーロ ÷ 30% ≒ 163ユーロです。対象の運賃を合計163ユーロ以上使えば元が取れます。
イギリスのRailcardなら、35ポンド ÷ 3分の1 ≒ 105ポンドです。
ただし、もともと安い早割には割引が適用されない、対象外の列車がある、といった条件で結果は変わります。
個人的には、実際に乗る予定の3〜4区間をカードあり・なしの両方で検索して、差額を足してみるのがいちばん確実だと思います。
6. 買う前の確認ポイント
どの方法で買うときも、確認することは次の3つです。
a. 費用の比べ方
比べるときは、検索画面に出た切符の値段だけでなく出発地から宿までの移動全体の費用で見ます。
鉄道パスなら、予約料や寝台料金、使わなかった日の分も含めます。
早割なら、予定が変わって買い直す可能性も考えます。
定期券で乗れる区間があれば、その分は差し引きます。
b. 乗り換えがある旅の切符
EUのルールでは、乗り換えを含む1枚の通し切符なら、遅延で乗り継ぎに間に合わず到着が60分以上遅れそうなとき、払い戻しや追加料金なしの経路変更などを求める権利があります。
区間ごとに別々に買った切符には、原則としてこの権利は適用されません。
別々に買うほうが5ユーロ安くても、遅延で次の長距離の切符を買い直すことになれば、すぐに損をしてしまいます。
個人的には、乗り換えがある長距離の旅なら通しの切符がおすすめです。
別々に買うなら、乗り換え時間を長めに取り、その日の最終列車は避けてください。
c. 比較サイトと公式サイトの使い分け
検索は比較サイト、購入は公式サイトが基本です。
TrainlineやOmioなどの比較サイトは、知らない鉄道会社や経路を見つけるのに便利です。
ただ、鉄道会社独自の若者向け運賃が出てこない、変更の窓口が比較サイトになる、別々の切符が1つの旅のように表示される、といったことがあります。
候補を見つけたら、実際の運行会社の公式サイトやアプリで同じ列車を検索して、値段と条件を確かめてから買ってください。
値段の差が小さければ、公式で買うほうがトラブルのときに対応してもらいやすいです。
まとめ
- 留学先の国内で近くへ行くなら、定期券や地域チケット
- 日程が決まった長距離なら、公式サイトの早割
- 行き先を決めずに複数の国を回るなら、鉄道パス
26歳以下なら、どの場合も若者向けの運賃を探すのがおすすめです。
比べるときは、切符の値段ではなく移動全体の費用で見ます。
今日やることは次の旅行が3つのどれに当たるかを決めて、公式サイトで年齢を入れて検索してみることです。
出発前の準備全体は交換留学90日前からのやることカレンダー、現地に着いたばかりの人には交換留学「最初の72時間」でやることも参考になると思います。
週末旅行の宿の予約は次の記事で比べています。
参考にしたサイト: Deutsche Bahn:Deutschland-Ticket / ÖBB:Vorteilscard Jugend / SBB:Friends Day Pass for Youth / Interrail:居住国内の往路・復路利用ルール / Eurail:指定席予約の案内 / ÖBB Nightjet:夜行列車の公式案内 / EU:鉄道旅客の遅延・乗継・払戻しに関する権利
最終確認:2026年9月5日(Deutschland-TicketとスイスのFriends Day Pass for Youthの料金は2026年10月24日に再確認)。料金や制度は変更されるため、購入の直前に各公式サイトで最新の情報を確認してください。
「お気に入り」追加済みの記事


