交換留学の「平均費用」はなぜ役に立たない?5都市・寮・期間別の実費を公式データから試算【2026年版】

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【大学間交換留学の教科書編集部】

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交換留学の「半年で100万円」「1年で200万円」といった平均費用は、自分の予算にはそのまま使えません。
同じ半年でも、住む都市と住居で家賃だけ月10万円以上変わり、5か月の滞在でも住居の契約が6か月なら6か月分払うことになるからです。

この記事では、パリ・ロンドン・バンクーバー・シンガポール・メルボルンの大学公式データを同じ単位にそろえて、住居費がどれくらい違うかを試算しました。
同じ5か月でも、学生住宅の住居費だけで約31万円から190万円超まで開くんです。

自分の条件で総額と月々の資金繰りまで出すなら、交換留学費用シミュレーターが便利です。使い方はシミュレーターの使い方・半年と1年の計算例で説明しています。
都市・期間・奨学金を変えて実際に回した結果は、費用シミュレーターを8ケースで検証した記事にまとめています。

1. 留学費用の3分類

数字を比べる前に、どの費用を知りたいのかを決めておきましょう。区別しないまま比べると、家計の判断を誤ってしまいます。
・留学中の総支出:現地で払う住居・生活・旅行費と、渡航前後の費用。必要な資金の全体像を知るときに使う
・日本に残る場合との差額:留学費用から、日本で払わずに済む家賃・食費・通学費などを引いた額。家庭の追加負担を考えるときに使う
・奨学金などを引いた自己負担:費用として使うお金から、採用済みの給付奨学金を引いた額。返金予定の保証金は費用と別に管理する

たとえば実家暮らしの学生と、一人暮らしの部屋を解約して渡航する学生では、日本で減る支出が違います。同じ現地支出でも、「留学で増える家計の負担」は同じになりません。
また、交換留学では派遣先大学の授業料がかからなくても、所属大学の授業料はふつうどおり必要です。この記事では、所属大学の授業料は現地の生活費に入れていません。
正規留学との費用の違いも比べたいなら、正規留学と交換留学を費用対効果から考えた記事も読んでみてください。

2. 平均費用があてにならない4つの理由

a. 国より都市で変わる家賃

同じ国でも、大都市の中心部と地方都市では家賃が大きく違います。「フランスの生活費」「カナダの生活費」という国の平均では、実際に住む都市の住居費はわかりません。
国名より先に、キャンパスのある都市と通える範囲を確認してください。

b. 寮に入れる前提の予算

大学の公式ページに安い学生住宅が載っていても、交換留学生が入れるとは限りません。応募資格、部屋数、抽選、優先順位、申込時期によっては民間住宅になります。
逆に、食事や光熱費込みの大学寮は、表示の家賃だけ見ると、意外と民間のシェアより高かったりします。「寮なら必ず安い」とは言えません。
個人的には、寮の結果が出るまでは、民間住宅でも払えるかを並べて見ておくのがおすすめです。進め方は大学寮の結果待ちと民間住宅を並行する手順で説明しています。

c. 滞在月数と契約月数のずれ

授業が4か月でも、住居の契約が学期単位や26週間単位なら、その期間の家賃を払います。早く帰国しても途中で解約できない契約もあるんです。
一方、航空券やビザは、留学期間が倍になっても倍にはなりません。5か月なら1年の半額、という計算は成り立たないことが多いです。

d. 旅行費の混在

週末旅行、外食、買い物、イベントは、留学生活の大切な一部ですよね。ただ、その金額は本人の選び方で大きく変わります。
大学が示す基礎生活費に旅行費を足した人と、足さなかった人の「実費の平均」を比べても、住居や物価の差は読み取れません。

3. 比較の条件

5都市の公式値を同じ単位にそろえて比べています。
各大学が公表している学生住宅・民間住宅・生活費の目安を使いました。
週額は「週額×52÷12」、学期額はバンクーバーの1学期を4か月として月額に直しています。後者は請求額ではなく都市を比べるための単純な換算です。

円換算は、欧州中央銀行(ECB)が公表した2026年9月4日の参考レートから、1ユーロ181.59円、1ポンド211.40円、1カナダドル113.22円、1シンガポールドル123.33円、1豪ドル112.55円としました。
図や数字は千円または万円単位に丸めています。カードや送金サービスの手数料、為替の上乗せは入っていません。
大学ごとに「家賃に光熱費や食事が含まれるか」「生活費に娯楽が含まれるか」も違うので、ここでの数字は都市の優劣を決めるランキングではありません。自分の募集要項と住居オファーに置き換えるための材料として使ってください。

4. 5都市の住居費の比較

パリ、ロンドン、バンクーバー、シンガポール、メルボルンの学生住宅と民間住宅の月額を円換算して比較した図
住居費のみの比較。応募資格、含まれるサービス、契約期間は別に確認が必要です

a. パリ:学生住宅の優先条件

Sciences Poは、パリの平均家賃を月885ユーロ、食費・交通・書籍・余暇を含む全体の予算を最低月1,235ユーロと案内しています。
提携学生住宅は2025-26年度で月393〜837ユーロです。ただし住宅ごとに奨学生や学年などの優先条件があり、保証金も必要です。
最安値をそのまま「自分が払う家賃」にしないでください。

b. ロンドン:大学寮と民間シェア

UCLの2026-27年度の自炊型学部生寮は平均週320ポンドで、39週間で12,480ポンドです。民間のシェア住宅は月650〜1,300ポンドですが、光熱費は別です。食費、教材、携帯、健康関連、交通を合わせた基礎費用の目安は月426ポンドです。
大学寮の平均を月額にすると約1,387ポンドで、基礎費用と合わせて約1,813ポンド、円で月約38.3万円です。民間シェアは基礎費用を足して月約22.7万〜36.5万円に、光熱費が加わります。
寮か民間かという名前だけでは、どちらが安いかは決まりません。

c. バンクーバー:1学期単位の費用

UBCは、交換留学生の生活費を1学期6,900〜11,000カナダドル、学内住宅を4,050〜6,800カナダドル、学外住宅を4,800〜8,000カナダドルと案内しています。食費は約2,000カナダドルで、交通パス、医療保険、教材費なども別に示されています。
4か月で単純に割ると、学内住宅は月約11.5万〜19.2万円です。ただ、実際の支払いは毎月とは限りません。学期額、保険の加入期間、学生費をまとめて見たほうが、いつお金が出ていくかをつかみやすいです。

d. シンガポール:学内住宅の当落

NUSの公式の試算では、学内住宅に住む場合の生活費の合計は月1,200〜2,100シンガポールドル、学外では月1,550〜3,400シンガポールドルです。住居だけなら、学内が月500〜900、学外が月650〜1,800シンガポールドルです。
NUSは、交換留学生も学内住宅に応募できる一方で、部屋は保証されないとはっきり書いています。申請の時点では「学内に入れた予算」と「入れなかった予算」の2本を作っておくと安心です。

e. メルボルン:契約週数と住居タイプ

University of Melbourneの2027年の大学アパート型住宅は週448〜786豪ドルで、家具、電気、水道、インターネットなどを含みます。都市圏の1ベッドの住戸の中央値は週475豪ドルです。ただ、一人用の住戸とシェア、食事付きのカレッジは同じ列では比べられません。
大学住宅の標準の契約は52週か26週で、交換留学生には6か月契約が用意されることもあります。月額が許容範囲でも、授業が終わったあとの家賃まで払う契約なら総額は増えます。

5. 5か月・10か月の住居費

上の大学・学生住宅の公表値を同じ5か月・10か月に単純に換算しました。食費、航空券、保険、ビザ、旅行費は入っておらず、実際の請求額でもありません。
・パリ・提携学生住宅:月額 約7.1万〜15.2万円/5か月 約36万〜76万円/10か月 約71万〜152万円
・ロンドン・UCL自炊型寮の平均:月額 約29.3万円/5か月 約147万円/10か月 約293万円
・バンクーバー・学内住宅:月額 約11.5万〜19.2万円/5か月 約57万〜96万円/10か月 約115万〜192万円
・シンガポール・学内住宅:月額 約6.2万〜11.1万円/5か月 約31万〜55万円/10か月 約62万〜111万円
・メルボルン・大学アパート型:月額 約21.8万〜38.3万円/5か月 約109万〜192万円/10か月 約218万〜383万円

同じ5か月でも、住居だけで100万円を超える差が出ます。
ただし、実際に掛けるのは「滞在月数」ではなく「契約月数」です。UCLの学部生寮は39週間で12,480ポンド、バンクーバーは学期額、メルボルンは26週・52週などの契約が基本です。
個人的には、この換算は候補を絞るところまでにして、最後は住居オファーに書かれた総額に必ず置き換えるのがいいと思っています。

6. 総費用と出発前の必要資金

総費用と、出発前に要る現金は分けて計算します。
保証金は、無事に返ってくれば最終的な費用ではありません。それでも、払ってから返金されるまでは使えないお金です。清掃費などが差し引かれる条件と、返金の時期も確認してください。
住宅によっては、保証金と数か月分の家賃を入居前にまとめて求められます。航空券、保険、ビザ、最初にそろえる日用品も、出発前に重なります。

奨学金も同じです。採用が決まっていない、または入金が出発後なら、出発前の手元資金には数えられません。
最終的な自己負担がいくらかと、いちばん現金が要る時点でいくら必要かの両方を出しておいてください。

7. 自分用の予算の作り方

予算は15分ほどで作れます。最初はモデルで概算し、次の6つを契約書や見積書に置き換えていきます。

□ 授業日ではなく住居の契約日で数える(入居日から退去日まで。中途解約・延長・早く着いたときの宿泊条件も)
□ 住居を2案で置く(寮・学生住宅に入れた場合と入れなかった場合の家賃、光熱費、保証金、前払い額)
□ 一度だけの費用を分ける(往復航空券、ビザ・滞在許可、保険、住居申請、寝具、初期用品、追加の荷物など)
□ 毎月の基礎生活費を入れる(家賃、食費、交通、通信、現地の健康保険、教材などを、留学先大学の公式の目安から)
□ 旅行・外食・買い物の上限を別枠にする(毎月の上限か、旅行1回あたりで管理)
□ 円換算に余白を足す(今のレートに加えて、円が5〜10%弱くなった場合と決済手数料も)

為替は、計算した基準日をメモしておいてください。実際の支払いではカード会社や送金サービスのレートと手数料が加わるので、ニュースの為替レートと請求額は一致しません。
入れた項目は次の5つに分けておくと計算しやすくなります。
・A 一度だけ:航空券、ビザ、保険、初期用品。確定額か見積額を合計する
・B 毎月:家賃、食費、交通、通信、健康保険。家賃は契約期間、生活費は滞在期間で掛ける
・C 自分で決める:旅行、外食、買い物、交際費。上限月額×滞在月数
・D 一時的な資金:保証金、前払い家賃。保証金は支払月と返金月に置き、前払い家賃は家賃総額に重ねて足さず、払う時期を前に動かす
・E 差し引くもの:採用済みの給付奨学金。実質負担から引き、入金月も確認する。日本で減る支出は別に比べる

個人的には、Cを最初から別枠にしておくのがいちばん楽だと思っています。予算を超えたときに、どこを削ればいいかがすぐわかるからです。

このA〜Eをそのまま計算するなら、自分の交換留学費用と毎月の必要資金を計算すると、総額と先払いが重なる月がわかります。
シミュレーターは初期設定で日本の大学の学費を含み、返金される敷金と予備費は総費用と分けて表示します。この記事の住居費の比較とは集計範囲が違うので、条件をそろえて見てください。日本に残った場合に減る生活費は、計算機の実質負担からは自動で引かれません。
ヨーロッパで週末旅行をするなら、旅行枠は基礎生活費と分けてください。鉄道代を抑える考え方は早割・ユース運賃・鉄道パスの使い分けで紹介しています。

8. 予算が決まった後の準備

行き先・住居・予算の大枠が決まったら、出発準備に進みましょう。
ビザや保険、航空券をいつ確定するかは、交換留学90日前からのやることカレンダーに締切順でまとめています。予算表のAとDはそのまま準備リストに移すと進めやすいです。
海外送金のコストまで詰めたいなら、交換留学でWiseを使った実体験と銀行送金との費用差を見てください。20万円をユーロに送る例で、国内の振込料や為替のコストまで分けて比べています。
家族から生活費を受け取る予定なら、親と学生の名義・送金日を整理する仕送りガイドで受け取り方も決めておくと安心です。

留学費用の支払い方まで決めるなら、海外送金と現地の店頭決済を分けて考えます。学生専用ライフカードの4%キャッシュバックが実際にどこまで有利か、海外手数料とWiseとの役割分担を含めて整理しました。

まとめ

  • 国の平均ではなく都市と大学の最新の公表値を使う
  • 住居は寮に入れた場合・入れなかった場合の2案で、家賃は契約月数で掛ける
  • 最終的な自己負担と、出発前に要る手元資金を両方出す

今日やることは住居を2案に分けて、それぞれの契約月数を書き出すことです。


参考にしたサイト: Sciences Po:パリの提携学生住宅と家賃 / UCL:2026-27年度の学生生活費・大学寮費 / UBC:交換留学生の就学許可と生活費の考え方 / NUS:学内・学外の月間生活費 / University of Melbourne:2027年の大学住宅費 / ECB:2026年9月4日の参考為替レート

最終確認:2026年9月5日。料金・制度・募集条件は変更されるため、申込みや応募の直前に各公式ページで最新情報を確認してください。