【大学間交換留学の教科書編集部】
交換留学を考える大学生のための、大学や留学エージェントから独立した情報サイトです。
全国の旧帝大で交換留学や海外大学院留学を経験したメンバーが、自分たちの経験と公式情報をもとに運営しています。
交換留学の楽しさは、最初は知らなかった人や街が、くり返し会い、歩き、話すうちに自分の日常に変わっていくところにあります。
最後にいちばん恋しくなるのは、旅行やイベントより、何でもない平日なのだと思います。
交換留学・長期留学を記録したnoteを中心に、十数本を読み比べました。
華やかな旅行の話もありましたが、何度も出てきたのは、授業後に友達と帰る、共有キッチンで料理する、初めての食材を買う、昨日より少し言葉がわかる、といった小さな出来事でした。
この記事は筆者の短期留学経験と、公開されている交換留学の体験記をもとにまとめています。
短期滞在で感じたことと先輩たちの経験を照らし合わせて、交換留学のどこが楽しそうだと思うかを、自分の言葉で整理しました。
準備の話ばかり読んでいると、交換留学が長い手続きの先にある試験のように見えてきます。
1. 交換留学で楽しいこと8つ
体験記を読み比べて、楽しいと感じやすいことは次の8つでした。
a. 多国籍の友達との出会い
「いろいろな国の人と交流できる」は留学案内でよく見る言葉です。
体験記を読むと、その意味が具体的に見えてきます。
同じ授業を受け、料理を分け、試験前に励まし合ううちに、その人の出身国にも親しみがわきます。
その国のニュースを見たとき、現地で会った誰かの顔や、話していたことを思い出すようになるんです。
違いは国籍だけでなく、専攻、育った家庭、宗教、好きな音楽、将来住みたい場所にもあります。
同じ国の学生同士でも考え方は違います。
「○○人はこうだ」と覚えるより、目の前の一人に話を聞くほうがずっと面白いはずです。
b. 寮の共有キッチン
寮の共有キッチンは留学でいちばん印象に残る場所になるかもしれません。
誰かが料理をしていて、「今日は何を作るの?」「少し食べる?」と会話が始まる。
授業後に一緒に帰り、夕食を作り、共有スペースで話す。そんな平日の様子がいくつもの体験記に書かれていました。
洗濯機が空かない、冷蔵庫の使い方が違う、夜の音が気になる、といった面倒もつきものです。
それでも、同じ場所で何度も顔を合わせるから、自己紹介だけで終わらない関係ができます。
個人的には、友達を作るための特別なイベントより、偶然会える場所を持つことのほうが大事だと思っています。
c. 日本にない授業
交換留学では現地の大学の学生として授業を受けられます。
所属大学にない専門科目を選んだり、同じテーマを別の地域の視点から考えたりもできるんです。
少人数の授業、現地調査を含む授業、グループ発表、企業や行政とつながる実践型の科目もあれば、理論中心の大講義もあります。
すべてが活発なディスカッション形式ではありませんが、自分の当たり前が通じない教室に入ること自体が面白いです。
科目一覧を見て「こんな授業まであるのか」と思う時間も、私はかなり楽しみにしています。
実践型の授業の例は交換留学先で「交渉術」という授業を見つけたら取ってみてほしい理由に書きました。
d. 生活の道具としての英語
英語が「勉強する科目」から生活の道具に変わります。
英語の試験で返ってくるのは点数ですが、留学先で返ってくるのは相手の反応です。
言い直したら通じた、店員さんの質問が一度でわかった、授業で自分の意見に反応が返ってきた、冗談の意味がわかって同時に笑えた。
小さな成功がその日のうちに見えます。
もちろん、会話が速くて、笑うところさえわからない日もあります。
それでも、昨日は聞き取れなかった言葉が今日は聞こえる。
言葉の変化を毎日の生活で感じられるのは、楽しいことです。
e. 小さな「初めて」の攻略
パン屋で注文する、大学の窓口で質問する、電車が止まったら別の行き方を探す、病院や役所に行く。
面倒に見えますが、1つ終えるたびに、生活できる範囲が少し広がります。
とくに最初の数週間は、できなかったことができるようになるのが速い時期です。
助けてもらった経験も次に来た留学生を助ける知識になるんです。
大げさな「成長」という言葉より、自分でできることが1つ増えた、という実感のほうが私にはしっくりきます。
f. 週末の小旅行
留学先によっては、電車やバスで数時間移動するだけで、言葉も食事も街並みも変わります。
とくにヨーロッパなら、授業のない週末に別の都市や国へ行き、月曜にはいつもの教室に戻る生活もできます。
長い休みを待たずに知らない場所へ行けるのは、大きな魅力です。
ただ、訪れた国の数を競う必要はありません。
近所の市場、路地、カフェ、公園を何度も歩くのも、立派な留学生活です。
旅行は履修、出席、予算、在留の条件を守ったうえでの楽しみなので、遠出する週末と、留学先の街で過ごす週末を分けるくらいがちょうどいいと思います。
ヨーロッパに行く人は、ヨーロッパ鉄道を安く予約する方法と、早割・鉄道パスの使い分けを先に読んでおくと、週末の選択肢が増えます。
g. 外から見る日本
日本の食べ物、大学生活、就活、家族との距離、敬語、電車の静かさ。
現地の友達に「なぜ?」と聞かれて説明しようとしたとき、自分も理由を知らなかったことに気づきます。
便利だと思っていたことの息苦しさに気づくこともあれば、離れて初めてありがたさがわかることもあります。
帰国後に海外の友達と日本を歩けば、見慣れた街がもう一度新しく見えるかもしれません。
h. あとで笑える失敗
言葉を聞き間違えた、違う教室に入った、料理を焦がした、電車を乗り間違えた。
そんな小さな失敗を誰かと一緒に片づけると、その人との距離が縮まります。
うまく振る舞えた日より、助けてもらった日のほうが、あとで何度も話す思い出になることもあります。
ただし、安全や健康に関わることは笑い話にせず、すぐ助けを求めてください。
2. しんどい日との付き合い方
正直、毎日が楽しいわけではありません。
読んだ体験記の中には、「日本にいるほうが楽しい。ただ、交換留学をしてよかった」という率直な振り返りもありました。
個人的には、この言葉も大切だと思っています。
SNSには旅行やパーティーの写真が並びますよね。
でもその間には、誰とも話さず部屋にいる夜、時差で家族に連絡できない時間、会話の速さについていけず疲れる日もあります。
楽しいことと、しんどいことは同時にあります。今日つらかったからといって、留学が失敗なのではありません。
友達の数、旅行した国の数、参加したイベントの数は、留学の成績表ではありません。
休む、誘いを断る、日本の友達に連絡する、留学生担当に相談する。これも生活を続けるための行動です。
体験記でも、友達や授業に慣れるまで数週間から数か月かかった例がありました。
最初の数週間で友達ができなくても、焦らなくて大丈夫です。
3. 楽しい時間を増やす6つの行動
体験記を読み比べると、楽しさは偶然だけで生まれていませんでした。
共通していたのは、目立つ行動より、同じ人とまた会える小さな行動です。
- 週に1回行く場所を作る:部活動、学生団体、言語交換、ボランティアなど、同じ人と会える活動を選ぶ
- 共有スペースに少しだけ残る:料理や食事の15分だけでも、部屋の外で過ごしてみる
- 授業後に一人に声をかける:大人数の輪に入るより、「次の授業も取る?」「一緒に帰る?」から始める
- 国籍より、その人自身を聞く:専攻、好きな食べ物、休日の過ごし方、地元の話を聞く
- 最初の誘いを一度だけ受けてみる:安全・体調・予算を確認したうえで、新しい集まりに一歩だけ出る
- 何も入れない時間も残す:疲れを取り、近所を歩き、その日の出来事を一行だけ書く
社交的な人を演じる必要はありません。
毎晩違うパーティーに行くより、同じ授業の隣の人や、同じキッチンを使う人と少しずつ話すほうが合う人もいます。
内向的か外向的かより、無理なくくり返せる接点を1つ持てるかどうかです。
個人的には、6つの中では「共有スペースに少しだけ残る」がいちばん始めやすいと思います。
4. 留学生活で残しておきたい記録
観光地の写真は意識しなくても増えていくはずです。
だから私はむしろ普通の日を残したいと考えています。
・毎日歩く道、よく座る席、いつものスーパーを撮る
・誰と会い、何の話が面白かったかを一行だけ書く
・わからなかった言葉と、初めて自然に使えた言葉を残す
・自分で初めて終えた手続きや、助けてくれた人を書いておく
・「今日いちばん楽しかったこと」と「しんどかったこと」を両方書く
帰国後に恋しくなるのは、撮影スポットより、当時は写真に残すほどでもないと思った景色かもしれません。
留学先で感じたことを少しずつ書き留めておくと、期待と現実の違いも振り返りやすくなります。
まとめ
- 国の名前が友達の顔と結びつき、寮のキッチンや授業後の時間が居場所になる
- 言葉や生活で、自分でできることが少しずつ増える
- 楽しい日としんどい日の両方が誰かとの記憶になる
私は良い授業を受けることも、週末に旅をすることも楽しみにしています。
でもそれ以上に楽しみなのは、いつもの道ができ、挨拶する人が増え、特別ではない一日を「いい日だった」と思えるようになることです。
今日やることは行きたい留学先の街で「どんな平日を過ごしてみたいか」を3つ書き出すことです。
行きたい理由は、立派な目的が完成する前に、そこから始まってもいいと思います。
行くか迷っているなら、短期留学で海外生活を試す方法もあります。
ただ、同じ人と関係を深める時間までは再現しにくいので、違いは次の記事で確かめてください。
参考にしたサイト: note「ドイツ留学中楽しかったことランキング」 / note「私にとってイギリス留学の1年間はどんな意味があったのか」 / note「【チェコ留学】私の寮生活」 / note「留学生活、忙しいけどすんごい楽しいよって話」 / note「意外と暇??交換留学生の1週間」 / 関西大学国際部note「出会いはつくるもの!?留学先での交友関係を広げる方法4選」 / note「香港留学記 最終回」 / note「イギリス交換留学を終えて。これから留学する人に伝えたいこと」 / 東北大学GCS note「帰国後に待っていた生活と心境」 / note「【メルボルン留学】多文化社会での気づき」
本記事は、公開されている複数の留学体験記から共通するテーマを抽出し、筆者の短期留学経験と交換留学に対する考えを加えて再構成したものです。他の方の個別エピソードを、筆者自身の体験としては記載していません。留学生活の感じ方は、国・大学・住居・期間・本人の状況によって異なります。最終確認:2026年9月6日。
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