生成AIが発達しすぎて、ワンキャリのエントリーシートの質が下がってきた気がする

AI時代のES、何を参考にする? 書類を虫眼鏡で確かめるイラスト

【大学間交換留学の教科書編集部】

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最近、参考になるESを探していて、ワンキャリのエントリーシートの質が下がってきた気がしています。
ここでいう「質」は文章の読みやすさではなく書いた人が何を考え、どう行動したのかを学べるかです。
きれいにまとまっているのに、自分の準備に何を持ち帰ればいいのかわからないという違和感があります。

これは私の所感で、ワンキャリアの掲載ESを年代別に採点した結果ではありません。1つ1つの投稿がAIで作られたかどうかも確かめようがありません。
そのうえで、使い方としては次の3つをおすすめしたいと思っています。
・参考にするESは23卒以前のものも探す
・仕事の実感はOB・OG訪問で聞く
・会話の進み方は面接の音声で学ぶ

1. 参考になるESの条件

読みたいのは、本人が考えた過程です。
参考になるESを読むと、「この人は、なぜそこに気づいたのだろう」「自分だったら、その方法を選べただろうか」と考えるきっかけになります。
活動の規模が小さくても、何に迷い、何を確かめ、どう行動を変えたのかがわかる文章からは学べます。

一方で、「課題を発見し、周囲を巻き込み、成果につなげた」という流れだけでは、読み終えても具体的な場面が浮かびません。
似た構成にすればよさそうだとは思えても、自分の経験のどこを振り返ればいいのかまではわかりにくいです。
生成AIは短いメモからでも文章を整えてくれます。ただ、材料に本人の判断がなければ、文章が滑らかになっても、その判断は読めません。
個人的には、参考にするESを探すとき、この違いに一番気をつけています。

マイナビの2027年卒向け調査では、回答者の84.9%が就職活動でAIを使ったことがあると答えています(2026年4月、大学生・大学院生1,258人への調査)。
AIの利用が広がっていることはわかりますが、この数字でワンキャリアのESの質や、個々の文章の作り方がわかるわけではありません。

読むときは、AIかどうかを当てようとするより、中身を確かめるほうが準備に役立ちます。
たとえば次のように「もう少し知りたいこと」を考えながら読んでみましょう(掲載ESの引用ではなく読み方を説明するための例です)。
・「課題を発見した」→ 何を見聞きして、そこを課題だと考えたのか
・「周囲を巻き込んだ」→ 誰に、何を伝え、どんな反応を受けて動き方を変えたのか
・「留学で価値観が変わった」→ 以前はどう考えていて、どの出来事をきっかけに変わったのか

a. 抽象的な書き方と具体的な書き方

次は違いを説明するための架空の文章で、掲載ESの引用でも筆者の実体験でもありません。

抽象的な書き方:多国籍のチームで周囲を巻き込み、課題を解決した
出来事がわかる書き方:発表準備で、各自が違う統計を使っていることに気づいた。私は出典と調査年を共有文書にまとめ、比較する条件をそろえることを提案した。

抽象的な書き方:異文化理解の大切さを学んだ
出来事がわかる書き方:最初は返信が遅いことを意欲の差だと思ったが、授業や仕事の時間帯が違うとわかった。その後は作業できる時間を先に聞き、締切を相談するようにした。

後者なら、「なぜ気づいたのか」「相手はどう反応したか」と聞かれても、振り返る場面がはっきりしています。
ただし、実際にしていない行動を足しても意味がありません。
自分のメモでここまで書けないところは、AIに埋めさせず、当時の記録を見返すか、覚えている範囲の表現にとどめてください。

2. 23卒以前のESの探し方

個人的には、参考例を探すときに23卒以前のESも一度見てみるのがおすすめです。
最近のものだけを読み続けるより、文章の組み立て方や、経験の切り取り方を比べられるからです。
年代で絞るのは、最初の目安にすぎません。

ただし、ChatGPTの公開は2022年11月30日なので、「2023年以前なら、すべて生成AIが広がる前の文章」とは言えません。
また、卒年・選考を受けた時期・投稿の公開日は別です。23卒でも、いつ提出され、いつ投稿された文章なのかで事情は変わります。

ワンキャリアの「ES・体験談一覧」では、確認時点で「23卒」「22卒」などの卒年と、「ES」「面接/面談」などの種類で絞り込めます。
探す順番は次の4つです。

  1. 志望企業・職種を決め、本選考とインターン選考をそろえる
  2. 体験談の種類を「ES」にし、「23卒」や「22卒」などを選ぶ
  3. 詳細に選考時期が書いてあれば確認し、公開日だけで年代を判断しない
  4. 自分の役割、方法を選んだ理由、行動の具体性が読み取れる文章を残す

古いESにも抽象的な文章はありますし、最近のESでも本人の考えが伝わるものは参考になります。
最後に選ぶ基準は古いかどうかより、その文章から何を学べるかです。

たとえば先輩のESから「自分の役割を先に説明するとわかりやすい」と気づいたら、自分の経験でも担当した部分を書き出してみる。
「別の方法と比べた理由がある」と気づいたら、当時どんな選択肢があったかを思い返してみる。
先輩の経験を自分への問いに変えて読む感覚です。

なお、募集職種、設問、文字数、選考日程、企業の事業方針は変わります。
過去のESは考え方を学ぶために使い、今回の応募条件は企業の最新の採用案内で確認してください。
「内定者のES」という表示も、その文章だけが内定の理由だったことを示すものではありません。

3. OB・OG訪問で聞く仕事の実感

仕事を理解したいなら、個人的には、実際に働く人と話す機会を一番大切にしたいと思っています。
ESに書かれた志望動機を読むだけでは、入社後の仕事や、その人が働く中で考え直したことまではわかりません。
OB・OG訪問なら、気になった話にその場で質問を重ねられます。

たとえば「海外に関わる仕事がしたい」なら、海外勤務があるかだけでなく、ふだん誰と、何を決め、何に時間を使っているのかを聞いてみたいところです。
聞き方の例は次の3つです。

  • 「海外と関わる」とき、具体的にどんな相手と、どのような仕事をしていますか
  • 学生の頃に想像していた仕事と、入社後の実際の仕事で違った点はありますか
  • 大学時代の経験が役立った場面と、働き始めてから学び直したことを教えていただけますか

話を聞いて、「自分は海外に行くこと自体より、考えの違う人と1つの仕事を進めることに興味があるのかもしれない」と気づけば、留学経験をどの仕事につなげたいのかも考えやすくなります。
相手の志望動機を借りるのではなく自分の関心を確かめる時間にしてください。

大学のキャリアセンターや卒業生とのつながりのほか、ビズリーチ・キャンパスなどを使ってOB・OG訪問を探す方法もあります。
留学中でも、オンラインで話せる相手なら時差を合わせれば相談できるはずです。
質問の選び方は交換留学生向けのOB・OG訪問の質問15選にまとめています。

1人の話にはどうしてもその人の配属先や経験が反映されてしまいます。
訪問の後は、聞いた話と自分の解釈を分けてメモし、企業の公式情報や別の社員の話とも照らし合わせると、志望先を考える材料にしやすくなります。

4. VoiceCareerで聞く面接の会話

話を聞きたい人が見つからない、訪問を頼んでも日程が合わない。
そんなときは、VoiceCareer(ボイスキャリア)で過去の面接やOB・OG訪問の音声を聞く方法もあります。
私も面接対策に使って、とても役立ちました。

文章の回答例と違って、会話を聞くと、最初の回答の後に何を聞かれ、どう説明を補っているのかを追えます。
「この答え方を覚えよう」より、「この説明だけだと、役割や理由をもう少し聞きたくなるのか」と考えながら聞くと、自分の回答を振り返るきっかけになります。

練習するなら、気になった質問のところでいったん止めて、自分の経験で答えてみてください。
そのあとで先輩の回答を聞き、説明の順番や具体性を比べます。
最後に自分ひとりの回答を録音して聞くと、頭では整理できていたつもりでも、口にすると長くなる部分に気づくはずです。

ただ、過去の音声には追加の質問ができず、話し手の主観や編集も入っています。
聞いて残った疑問は次の訪問や説明会で聞くことに回してください。
音声の選び方と、自分の回答へのつなげ方は次の記事で紹介しています。

5. 自分のESの書き始め方

参考になるESや音声を探したら、一度それらを閉じて、自分が経験したことを書いてみてください。
交換留学なら、授業や共同課題で困った場面、相手との認識の違い、それを確かめるために自分がしたことなどが材料になります。
書き方の例は交換留学のガクチカの書き方(400字例文・弱い例・深掘り質問)にまとめています。

最初から「多様性」「リーダーシップ」といった言葉でまとめなくても大丈夫です。
何を見て、どんな理由で動いたのかを書き、その経験が自分にとって何を意味するのかを考えるほうが、面接でも説明しやすいと思います。
採用する側が面接で何を見ているかは、私が面接官をした経験をもとに次の記事で書いています。

AIを使うなら、応募先のルールを確認したうえで、自分のメモに説明不足がないかを聞いたり、長すぎる部分を整理したりする使い方がおすすめです。
足りない経験や成果は補わせず、最後に1文ずつ、自分の事実に戻して説明できるかを確かめてください。
経験の掘り下げ方や、志望動機へのつなぎ方は、AI時代の志望動機とストーリーの作り方で説明しています。

まとめ

私がESの「質」で気にしているのは、読んだ後に、書き手がどんな人なのかを想像できるかどうかです。

  • 参考にするESは23卒以前も含めて「本人が考えた過程」が読めるものを選ぶ
  • 仕事の実感はOB・OG訪問で、会話の進み方は面接の音声で学ぶ
  • 自分のESは聞かれても話せる事実から書き、AIに経験を足させない

今日やることはワンキャリアのES一覧で志望企業の23卒・22卒のESを3本選び、それぞれに「もう少し知りたいこと」を1つずつ書き出すことです。
大学での学びや留学から仕事選びまでを続けて考えたい人は、本質就活も読んでみてください。


参考にしたサイト: ワンキャリア「ES・体験談一覧」 / OpenAI「Introducing ChatGPT」 / マイナビ「2027年卒 大学生キャリア意向調査4月・AI利用」 / ボイスキャリア公式「使い方」

公式情報の確認:2026年9月10日。掲載ESへの評価と紹介する学び方は、筆者の所感・提案です。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。