【大学間交換留学の教科書編集部】
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交換留学を目指すなら、TOEICの点を上げ続けるより、早めにTOEFL・IELTSの準備に移ってください。
TOEICだけで応募できる交換留学もありますが、募集要項がTOEICを受理する試験として明記している場合だけです。
英語圏や、英語で専門科目を取る協定校では、TOEFL iBTかIELTS Academicを求められることが多くなります。
先に押さえておきたいのは次の3つです。
・学内応募でTOEICが使えても、留学先大学への出願でTOEFL・IELTSを求められることがある
・学内応募、学内選考、留学先への出願、ビザ・履修のうち、一番厳しい条件を満たす必要がある
・「TOEIC○点相当」は「そのTOEICスコアを提出できる」という意味とは限らない
1. TOEICが使える場面・使えない場面
TOEICで応募できるかは、行き先と授業次第です。
交換留学ではTOEIC L&Rを語学要件として認める大学・協定校があります。
たとえば富山大学の2026年度の大学間交流協定校一覧では、チェンマイ大学が「TOEFL iBT 61点、IELTS 5.0、TOEIC 600点」、国立政治大学で英語の専門授業を受ける場合が「TOEFL iBT 80点、IELTS 6.0、TOEIC 700点、CEFR B2」です。
当年度の正式な提出書類としてTOEICが認められているなら、こうした候補にはTOEICだけで進める可能性があります。
ところが、同じ一覧の大連理工大学や山東大学の英語開講科目は、TOEFL iBTかIELTSが条件で、TOEICは書かれていません。
つまり、自分の大学がTOEICを扱うかではなくどの協定校・学部・授業へ行くかで答えが変わります。
国だけでも決まりません。アジアや欧州の非英語圏でも、英語で専門科目を取るコースはTOEFL・IELTSを求めることがあり、現地語を学ぶコースなら英語ではなく現地語の資格や教員の語学能力証明が求められる場合もあります。
募集要項の書き方ごとに、TOEICだけで進められるかをまとめると次のとおりです。
・「TOEIC L&R 700以上」を受理試験として明記:可能性がある。スコアの種類、有効期限、提出方法まで確認する
・「TOEFL iBTまたはIELTS Academic」とだけ記載:原則として難しい。TOEICが高得点でも、書かれた試験を受ける
・「TOEIC 785点相当」と参考値だけ記載:断定できない。TOEICを提出できるか、国際担当の部署に確認する
・学内応募はTOEIC可、留学先への出願はTOEFL・IELTS:学内応募だけなら可能。留学先の出願期限までに別の試験が必要
・語学証明不要:可能な場合がある。授業の言語、履修条件、推薦時の追加要件を確認する
語学証明が要らなくても、英語か現地語で授業を理解し、課題を出す力は必要です。「要件なし」と「準備不要」は別なので、授業の言語、シラバス、過去の履修例まで見ておいてください。
立命館大学も英語圏への交換留学では、出願時にほとんどの大学でTOEFLの正規スコアかIELTSが必要になると案内しています。
個人的には、英語圏や英語で専門科目を学ぶ候補を少しでも残したいなら、最初からTOEFL・IELTSを前提に準備するのがおすすめです。
2. 英語試験の種類と位置づけ
日本で「TOEIC」と言うと、ふつうはTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&R)を指します。
ETSはTOEIC L&Rを、職場で使う英語の聞く・読む力を測る試験と説明しています。話す・書く力は、別のTOEIC Speaking & Writing Tests(S&W)を合わせて、やっと4技能がそろうんです。
要項に「TOEIC」としか書かれていないときは、次の3つを確認してください。
・L&Rだけでよいのか、S&Wも必要か
・公開テストと学内のIPテストのどちらを認めるか(TOEFL ITPやHome Editionなどの扱いも同じように確認)
・デジタル公式認定証、紙の認定証、大学からの証明書のどれを出すか
広島大学の交換留学FAQでは、派遣先がIELTSやTOEFLを求めない場合、TOEICはL&Rだけでよく、同大学主催のTOEIC IPオンラインテストも認めると案内しています。
一方、東洋大学が受入交換留学生向けに示す英語証明は、TOEIC L&RとS&Wを組み合わせた基準です。
TOEFL ITPも、学内応募や選考で認める大学はありますが、留学先大学への公式な英語証明にはならないことがあります。TOEFL iBTとは別の試験です。
IELTSも、大学で学ぶ目的ならAcademicの指定が一般的です。General TrainingとはReading・Writingの内容が違います。
試験ごとの位置づけは次のとおりです。
・TOEIC L&R:聞く・読む/職場で使う英語。認める制度・協定校もあるが、英語圏の選択肢は限られやすい
・TOEIC L&R+S&W:4技能/職場を含む実用的な場面。組み合わせを受理する大学もあるが、L&Rだけとは別の条件
・TOEFL iBT:4技能/大学の授業を想定。英語で学ぶ交換留学で広く使われる。試験形式とスコア尺度も確認
・IELTS Academic:4技能/高等教育を想定。英語で学ぶ交換留学で広く使われる。Overallと各技能の条件に注意
3. TOEFL・IELTSが必要になる4つの理由
TOEIC L&Rが使えないことがあるのは、試験の目的と、大学が確かめたい力が違うからです。
理由は次の4つです。
a. 大学の授業を想定した試験
英語で専門科目を取ると、講義を聞き、論文や教科書を読み、議論で意見を言い、レポートを書き、発表やグループワークにも参加します。
TOEFL iBTは大学の教室で使う読む・聞く・話す・書くの4技能を測る試験で、IELTS Academicも高等教育で学ぶための英語力の証明に使われます。
受入大学にとっては授業についていけるかを判断しやすい試験です。
b. 話す・書く力の確認
L&Rの点数だけでは話す・書く力がわかりません。
TOEIC L&Rで高得点を取るには、かなりの語彙力、文法力、処理速度が要ります。その力はTOEFLやIELTSの勉強にも生きます。
ただ、英語で質問する、議論に入る、根拠を示して書くといった力は、直接は測れないんです。
大学は授業に必要な4技能に大きな穴がないかを、共通の方法で確かめたいのだと考えるとわかりやすいです。
c. 世界共通の基準
受入大学は世界中の協定校から学生を受け入れます。海外大学の出願で広く使われるTOEFL iBTやIELTS Academicを共通の証明にすれば、国や大学が違う応募者を同じ手続きで確認できます。
そのため、日本の大学はTOEICを学内選考の目安に使い、留学先大学は自校の受入基準としてTOEFL・IELTSを求める、という二段階が起こるわけです。
d. 学部・授業・ビザの追加条件
交換留学生全体の基準を満たしても、英語・法学・大学院科目などが、より高い総合点や「各技能5.5以上」のような下限を求めることがあります。
国や留学の形によっては、大学への出願とは別に、ビザの手続きで指定の試験が必要になることもあります。
慶應義塾大学のFAQも、協定校がTOEFLを認めるなら学内出願はできるとしつつ、英国のビザ取得や留学先への出願でIELTSが必要になる場合があると案内しています。
4. 語学要件の4つの確認段階
学内応募でTOEICが使えても、留学先への出願で別の試験が要ることもあります。
語学要件は次の4か所に分けて確認してみてください。呼び方は大学によって違いますが、考え方は同じです。
・学内応募:所属大学が決める最低条件。TOEICやTOEFL ITPを認める制度もある
・学内選考:語学、GPA、志望理由、学修計画、面接などで派遣候補者を選ぶ。語学を点数にする大学も、最低条件として扱うだけの大学もある
・留学先大学への正式出願:推薦の後、成績証明書や語学証明、学修計画を協定校に出す。ここでTOEFL iBTやIELTS Academicの公式スコアを求められることがある
・ビザ・学部・履修:3のdに書いた追加条件
大阪学院大学の2026–2027年度募集要項は、学内の語学基準としてTOEIC L&Rを載せています。
島根大学の2026年5月募集一覧は、「交換留学申請書の提出時」と「協定校への推薦時」の条件を分けていて、申請時はTOEIC L&Rの相当点、ケント州立大学などへの推薦時はTOEFL iBTかIELTSの条件です。
学内選考の合格は留学先大学の受入許可ではありません。学内応募の時点のスコアだけを見ていると、数か月後の正式出願に間に合わなくなるおそれがあります。
学内選考で何を見られるかは、大学別の公表例と一緒に次の記事で整理しています。
5. TOEICスコアの換算
原則として、自分で換算して「このTOEICの点なら条件を満たす」と判断しないでください。試験ごとに目的や形式、測る技能が違い、どのスコアを受け付けるかを決めるのは大学なんです。
慶應義塾大学の国際センターも、「TOEICで700点ほど取ったがTOEFLへ換算できるか」という質問に、換算はできないので出願に間に合うようTOEFLかIELTSを受けるよう案内しています。
大学が独自にCEFRの換算表や「TOEIC○点相当」を使うこともあります。ただし、次の2つは意味が違います。
・「TOEFL iBT 72/IELTS 5.5/TOEIC 785のいずれか」:要項が3つを受理試験として明記しているなら、TOEICを使える
・「TOEFL iBT 72(TOEIC 785相当)」:TOEICは今の実力の参考値で、提出書類としては使えない可能性がある
「相当」「目安」「望ましい」「必須」「提出可」も、似ているようで全部意味が違います。はっきりしないときは、募集要項のURLと該当箇所を添えて、所属大学の担当部署に聞いてください。
TOEFL iBTは2026年1月21日以降、スコアレポートに1〜6の新しい尺度が入り、移行期間は比較できる0〜120の総合点も併記されます。
要項の更新には時間差があるので、古い数字を自分で換算せず、当年度にどの表記を受け付けるかも確認してください。
6. TOEICスコア別の対策
正直、TOEICの点数だけでは応募できるかは決まりません。
700点や800点でも、要項がその点数以下のTOEICを受理していれば、語学条件を満たせる可能性があります。
900点でも、出願先がTOEFL iBTかIELTS Academicだけを指定していれば、代わりにはなりません。
・TOEIC 600点前後:一部のTOEIC可のルートは候補になりうるが、行き先を先に確認する。候補校を広く出し、必要なら早めにTOEFL・IELTSへ移る
・TOEIC 700〜800点台:読む・聞く土台は生かせるが、話す・書く対策は別に必要。公式問題でTOEFL・IELTSの4技能を試し、受験日を決める
・TOEIC 900点以上:高得点でも、受理されない試験は出願書類にならない。点数の高さではなく候補校が受け付ける試験を受ける
・TOEIC未受験:交換留学のために、先にTOEICを挟む必要はない。候補校がTOEFL・IELTSを求めるなら、その試験から始める
TOEICで身につけた語彙、文法、速く読む力、まとまった英語を聞く力は、次の試験でも土台になります。
個人的には、志望校がTOEFL・IELTSを求めているなら、TOEICをさらに50点上げるより、英語で意見を話す・書く練習に時間を回すほうがいいと思っています。
話す練習は試験対策とは別に毎日少しでも声に出す時間を作ると続けやすいです。組み立て方は留学3か月前のスピーキング勉強計画で説明しています。
7. 締切までの進め方と試験選び
手元にTOEICしかなくても、「留学は無理」と考える必要はありません。
ただ、TOEFL・IELTSは問題の形式が違い、スピーキングとライティングもあるので、締切直前の乗り換えは苦しくなってしまいます。
締切までの期間ごとに、優先することは次のとおりです。
・6か月以上:候補校を10校ほど並べ、受理試験を確認する。TOEFL・IELTSの公式サンプルを両方試し、最初の本番を予約する
・3〜6か月:第一目標に向けて4技能を勉強する。結果が届く日、再受験、公式スコアの送付まで日程に入れる
・1〜3か月:候補ごとの最低点と各技能の条件を確認し直す。現実的な候補も残し、提出書類を並行して進める
・1か月未満:推測で試験を選ばず、担当部署にすぐ確認する。間に合う試験日と、スコア提出の例外があるかを聞く
個人的には、最初の受験は本番で今の実力を知る日として早めに置くのがおすすめです。
資格試験は体調、会場、問題との相性でぶれるので、最低でも1回は再受験できる余白を残してください。
私はLIBERTY English AcademyでIELTS対策をして、7.5を取りました。そのとき感じた壁はIELTS 6.0から伸びない人へにまとめています。
文法から不安がある人は、中学英文法のやり直し方から始めるのが早いです。
受ける試験は、特に理由がなければIELTS Academicを選びます。TOEFLしか認めない候補を残したいときなど、理由があるときだけTOEFLにします。
両方受け付けるときもIELTSを基本にして、スピーキングの方式、パソコン入力、会場、日程、公式サンプルとの相性を確かめます。詳しくは次の判定フローで整理しています。
候補校がまだ決まっていない人は、先に協定校リストを作ってください。
試験名、総合点、各技能の条件、提出期限を並べると、英語の目標がはっきりします。
受ける試験と目標点が決まったら、単語帳も選んでおくと進めやすいです。
スコアメイクでDistinctionを使ってよかった点と、試験専用の教材との使い分けは次の記事にまとめました。
まとめ
- 交換留学を目指すなら、TOEICの点を上げ続けるより早めにTOEFL・IELTSに移る。TOEICだけで応募できる交換留学もあるが、英語圏や英語開講の専門科目ではTOEFL・IELTSが必要になりやすい
- 学内応募でTOEICが使えても、留学先への正式出願では別の試験が要ることがある
- 「TOEIC○点相当」を提出できるスコアと決めつけず、候補校の一番厳しい条件から、受ける試験と期限を決める
今日やることは所属大学の募集対象校を開いて、候補ごとに「学内応募」と「留学先出願」の2列で受理試験を書き出すことです。
IELTSを選ぶかもしれない人は、点数ごとに候補がどう変わるかも見ておいてください。
参考にしたサイト: ETS「About the TOEIC Listening and Reading Test」 / ETS「TOEFL iBT Test Resources」 / ETS「Understanding Your TOEFL iBT Scores」 / IELTS「IELTS Academic test」 / 立命館大学「海外留学を計画する|語学の学習」 / 慶應義塾大学国際センター「よくある質問」 / 広島大学「交換留学 よくある質問」 / 富山大学「2026年度 主な大学間交流協定校一覧(2次募集)」 / 島根大学「交換留学生を募集する大学及び募集人数一覧(2026年5月募集)」 / 大阪学院大学「交換留学 募集要項2026–2027」 / 東洋大学「交換留学」
語学要件、受理する試験・受験方式、スコアの有効期限、学内選考と留学先出願の期限、ビザ・履修条件は、大学・学部・協定校・募集年度によって変わります。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。応募時は必ず所属大学と留学先大学の最新の公式資料をご確認ください。最終確認:2026年9月6日。
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