就活をガチるメリットを書き出してみた

就活をガチるメリット。最初の経験から将来の選択肢が広がる分岐図

【大学間交換留学の教科書編集部】

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就活は一度は本気で取り組んでみる価値があると思っています。
最初に積む職歴を自分で選べるうえに、自分のこと、仕事のこと、大学の外にいる人たちのことを、かなり深く知る機会になるからです。

ここでいう「ガチる」は納得できる仕事を探し、必要な準備をして、選考に真剣に向き合うことです。応募数を競う必要はありません。
「就活はほどほどにして、残りの大学生活を楽しみたい」という気持ちもわかります。ESを書いて、面接を受けて、企業を調べ続けるのは大変です。

書き出してみると、メリットは14個ありました。大きく分けると次の5つです。
・最初の職歴と、その後の選択肢を自分で選べる
・AI時代にどんな経験を積みたいか考えられる
・自己理解と言語化が深まる
・大学の外の人と仕事を知れる
・選考の中で実践的な力がつく

1. 最初の職歴と将来の選択肢

一番大きいのは、卒業後にどこで、誰と、何の経験を積み始めるかを、自分で考えて選べることです。

a. 学歴より「何をしてきたか」

大学生のうちは、どうしても大学名が気になってしまいますよね。
ただ、働く時間が長くなるほど、自分を説明する材料には、担当した仕事、出した成果、任された役割が加わっていきます。
個人的には、どこを卒業したかに加えて、どんな仕事を任せられる人なのかで評価されるようになりたいと思っています。
就活はその最初の経験をどこで積むかを考える機会です。

マイナビ「中途採用状況調査2025年版」では、中途採用で経歴上の成績・業績の高さを重視するという回答が90.4%でした(2024年12月、中途採用担当者1,500人への調査。調査資料・60ページ)。
一方で、高学歴であることを重視する回答も80.1%あり、学歴が要らなくなるという結果ではありません。
年齢とともに学歴と職歴の影響がどう変わるかまではわかりませんが、これから自分で積み上げられる職歴に目を向ける理由にはなります。

「あの大学に行けなかった」という気持ちがあっても、仕事で新しい強みは増やせます。
大学受験の結果をずっと自分の上限にする必要はありません。

b. 次の仕事につながる経験

たとえば将来、海外の事業に関わりたくなったとします。
最初の会社で海外の顧客との交渉、事業の収支管理、外国語での調整などを経験していれば、次に応募するときに説明できる材料が増えます。
同じ会社でも、担当する仕事が違えば積み上がる経験は違うんです。
だから就活では会社名と一緒に「若手が実際に何を担当しているか」まで見ておきたいところです。

今の第一志望が、10年後もやりたい仕事とは限りません。
興味が変わったとき、ほかの場所でも使える経験があれば、選び直しやすくなります。
給与や生活の余裕も将来の選択に関わります。学び直しや引っ越しのお金を用意できるのは現実的なメリットなので、待遇を見ることに遠慮はいりません。

c. 後から入りにくい仕事への挑戦

就活では「上から下には行きやすいけれど、下から上には行きにくい」と言われることがあります。
私なりに言いかえると、キャリアを移る難しさは行きと帰りで同じではないということです。
たとえば、ある専門職の経験者募集に「関連する実務経験が必要」と書かれていたら、別の仕事だけをしてきた人は、まずその経験をどう得るかから考えなければなりません。
未経験者を育てる前提の新卒採用があるなら、学生のうちがその仕事に入るチャンスです。

ただ、会社の規模を一列に並べて、転職のしやすさまで決めることはできません。
大企業の経験があっても、小さな組織で幅広く仕事を担えるとは限りませんし、小さな会社で専門性を磨いて大企業に移る道もあります。
JILPTの若年転職者の分析でも、学び直しや資格取得で別の専門的な仕事に進む可能性が示されています(JILPT「若者の転職動向」)。
新卒の就職先だけで、その後が決まるわけではありません。

だから、難しそうという理由だけで、気になる仕事を最初から候補から外すのはもったいないです。
実際の応募条件を調べてから、挑戦するかどうかを決めてみてください。

2. AI時代に積みたい経験

a. 判断と責任を担う仕事への準備

AIが資料作りや調べものを手伝ってくれるようになると、「作業を速くこなせる」だけで自分の価値を説明し続けるのは難しくなりそうです。
その先で私が経験を積みたいのは、何に取り組むかを決め、人と合意をつくり、その結果を引き受ける仕事です。
事業の方針を決める、顧客と条件を詰める、限られた予算の使い道を判断する、といった場面です。

ただし、「責任を取る仕事だけが残る」と言い切れるわけではありません。
ILOの2025年の研究では、人の関与が必要な業務が多いため、生成AIで仕事全体が置き換わるより、仕事の中身が変わる可能性が高いと整理されています(ILOの研究)。
個人的には、AIを使いながら、判断の理由を説明して関係者を動かせる経験を増やしておきたいと思っています。
「上流の仕事」を目指すとしても、現場の事情を知らずにいい判断ができるとは思わないので、現場を理解して、任される範囲を少しずつ広げていく過程も含めて考えたいところです。

大手企業はその候補になります。大きな事業、海外拠点、いろいろな専門部署に関われる機会があるからです。
ただ、入社すれば自動的に意思決定に関われるわけではなく、配属や役割で経験は変わります。
私なら、会社の規模と合わせて次の4つを聞きます。

  • 若手が自分で判断しているのは、どんな場面か
  • 顧客や現場に接して、結果まで確かめる機会があるか
  • 提案が採用されたとき、実行にも関われるか
  • 希望する部署に進むまでに、どんな経験が必要か

「AIに強そうな業界」を探すだけで終わらず、入社後に自分が何をするのかまで調べられるのも、就活に時間をかけるメリットです。

3. 自己理解と言語化

a. 価値観の見直し

就活では「なぜそれを頑張ったのですか」「なぜその仕事を選ぶのですか」と何度も聞かれます。
答えようとすると、自分でも気づいていなかった好みや価値観が見えてくるんです。

たとえば(架空の例です)、サークル運営を頑張った理由を「人と話すのが好きだから」だと思っていた学生が、振り返ってみると、一番楽しかったのは連絡方法を整理して混乱が減った瞬間だったとします。
その人は人前で話すことより、仕組みを整えて周りが動きやすくなることに喜びを感じるのかもしれません。そうなると、興味を持つ仕事も変わってきます。
自己分析は立派な長所を探すだけでなく、自分が力を出しやすい場面と、無理を続けやすい場面を知る作業でもあります。
入社後のミスマッチを減らすためにも、ここには時間を使って大丈夫です。

b. 相手に伝わる言葉にする力

頭ではわかっているつもりでも、初対面の人に説明するとうまく伝わらなかったりします。
「成長したい」「海外で働きたい」「社会に貢献したい」はどれも自然な気持ちですが、相手はその言葉だけでは具体的な姿を思い浮かべられません。
何ができるようになりたいのか。どんな相手と、何について働きたいのか。なぜほかの方法ではなくその仕事なのか。
問いに答えながら、あいまいだった考えを少しずつ具体的にしていけます。

この力は就活が終わった後も使えます。
大学の発表、交換留学の志望理由、仕事での提案など、背景を知らない相手に自分の考えを説明する場面は何度もあるからです。
留学経験を話すなら、交換留学のガクチカを事実まで分解する方法で、400字の例文と面接の深掘り質問まで確認できます。

c. 借り物でない志望動機

言葉にし続けると、うまく説明できない理由が、言葉の選び方なのか、そもそも自分で考えていないことなのかも見えてきます。
「周りが受けているから」「有名だから」で気になった会社でもかまいません。調べて人に話すうちに、本当に惹かれている部分と、それほど興味がない部分を分けていけば大丈夫です。
AIに文章を整えてもらえても、「なぜ自分がそう思うのか」までは誰にも決めてもらえません。そこを考え直せるのは、かなり大きな収穫です。
志望動機の材料の深掘り方はAI時代の志望動機とストーリーの記事で、交換留学と就活の例を使って説明しています。

4. 大学の外の人と仕事

a. 社会人から聞く仕事の話

学生のうちは、ふだん話す社会人が家族、先生、アルバイト先の人に偏りがちです。
就活を始めると、社員座談会、OB・OG訪問、説明会、インターンなどで、年齢も職種も違う人から話を聞けます。
会う人数を増やすより、同じ質問を立場の違う人にしてみると面白いです。
同じ会社でも、入社したばかりの人とチームを任されている人では、仕事の見え方が違います。

身近に先輩がいなければ、大学のキャリアセンターや卒業生紹介の仕組みを確認してみてください。
ビズリーチ・キャンパスも対象大学や利用条件が合う人には候補になります。使い方と留学前に確認したい条件は別の記事にまとめています。
会ったときに何を聞くかは、交換留学生がOB・OG訪問で聞くべき質問15選が参考になるはずです。

b. 知らなかった業界・職種

知っている会社と、世の中を動かしている会社は一致しません。
ふだん使う商品に名前が出ていなくても、部品、物流、決済、企業向けサービスなどを支えている仕事があります。
「銀行は預金と融資をするところ」という理解から、どんな部署があり、誰が何に困り、どう売上が生まれるかまで見えてくると、ニュースの読み方まで変わるんです。
厚生労働省のjob tagでは職業ごとの仕事内容や必要な知識・スキルを調べられます。会社名ばかり見て疲れたら、職種から探すのも手です。

c. 自分で狭めていた選択肢

「文系だから、この業界だけ」「地方の大学だから、この辺りまで」「海外で働くのは帰国子女の人」。
応募条件を確かめる前に、自分で線を引いてしまいがちです。
実際の経歴や募集要項を見ると、その思い込みが外れることがあります。
必要な専攻や資格、語学力が決まっている仕事もありますが、調べたうえで選ばないのと、知らずに諦めるのとでは違います。

ここで使いやすいのがLinkedInです。
気になる職種の人について、今の所属だけでなく最初の仕事、異動や転職、大学院への進学などをたどってみてください。
「この道もあるのか」と1つ気づくだけで、今から準備することが変わります。
プロフィールは本人が公開した範囲なので、成功する確率のデータとしてではなく進み方の実例として見てください。

d. 刺激を受ける同世代との出会い

就活では考え方や行動力に驚かされる同世代に会えることもあります。
知らない業界を調べている人、面接の振り返りが丁寧な人、人の話をよく聞く人。そうした姿から学べることは多いです。
私はこういう人たちと進路が分かれた後も相談し合える関係を持つことに、長い目で見て大きな価値があると思っています。

人とのつながりは「社会関係資本」、そこから得る知識やものの見方は「文化資本」と考えられます。目先のお金だけでは手に入りにくい価値です。
LinkedIn上の大規模な実験でも、ほどほどに弱いつながりが仕事の移動に役立つことが示されています(研究チームの所属機関・MITによる解説)。ただし、日本の新卒就活で友人を増やせば内定が増える、と確かめた研究ではありません。
「優秀な人と知り合って得をしたい」だけでは関係は続きにくいので、見つけた情報を共有したり、相手の相談に乗ったりできる関係をつくりたいです。

5. 選考で身につく実践力

a. 情報を集めて確かめる力

企業を真剣に選ぼうとすると、就活サイトの短い紹介だけでは足りなくなります。
採用ページ、事業紹介、統合報告書、社員の話を読み比べるようになります。
たとえば「海外で働ける」も、海外売上が大きいのか、海外拠点があるのか、若手が赴任できるのかで意味が違いますよね。

SNSで気になる情報を見つけたら、公式資料で確かめる。資料でわからないことは社員に聞く。答えが1人の経験なのか、制度として決まっているのかを分ける。
実は、この読み方は留学先や大学院を選ぶときにも使えます。

b. 「働く」の具体的なイメージ

面接は質問を聞いてその場で考え、必要な情報を選んで答える場です。
原稿を読むだけでは進まないので、説明の長さや順番を調整する練習になります。
毎回「どこで説明が長くなったか」「何を聞かれていたのか」「具体例が足りなかったのはどこか」を振り返ると、次に直す点が見つかります。

以前、私が採用する側を担当したときも、限られた時間で「この人と一緒に働くと、どうなりそうか」を考えていました。
相手が何を知りたいのかを考える習慣は、仕事でのやりとりにもそのままつながります。

社員との会話や、就業体験のあるインターンを通じて、働く日常も想像しやすくなります。
誰と打ち合わせをし、何に時間を使い、どこで判断に迷うのか。
そこまで知ると、仕事を選ぶ基準が「楽しそう」から一段具体的になります。

c. 小さな成功体験と自信

「初対面の社会人に質問できた」「前は答えられなかった質問に、自分の言葉で答えられた」「選考を1つ通過した」。
就活には準備したことが形になる瞬間があります。
その積み重ねが「調べて、練習して、直せば、できることが増える」という自信につながります。

一方で、不採用が続いてしんどくなってしまうこともあります。
合否には募集枠や相性も関わるので、結果だけで自分全体を採点する必要はありません。
個人的には、選考結果と、自分ができるようになったことは、分けて振り返っていいと思います。

6. 交換留学と就活の視点

交換留学を考えているなら、就活の視点を少し持っておくと役立ちます。
就活のために留学のすべてを決める必要はありません。
ただ、興味のある仕事を少し調べておくと、留学中に見たいものや学びたいことが具体的になります。
海外事業に興味があれば、現地の企業がどんな顧客にどう売っているかを見てみる。組織づくりに興味があれば、授業のグループワークで役割や意見の調整を意識してみる。
授業選びにも、視点が1つ加わります。

帰国後は現地での経験をもとに興味のある仕事を考え直せます。留学前の目標を最後まで変えずに守る必要もありません。
留学と就活の日程は帰国時期、卒業見込み、各社の締切を並べて考えておくと安心です。
学年別の進め方は次の記事で説明しています。

7. 最初にやる3つのこと

少し気になったら、まずは仕事を知るところから始めてください。いきなり大量にエントリーしなくても、就活は進められるので大丈夫です。
1つの情報源だけで決めず、わからなかった点を次の調べ方で確かめていきます。

a. LinkedInの経歴

自分の大学や気になる職種から5人ほど探し、その人が今の仕事に進む前に何をしていたかを見てみましょう。
記録するのは「最初の職種」「途中で増えた経験」「いまの仕事」の3つで十分です。
5人は始めやすくするための目安で、転職のしやすさなどを推し量るための数ではありません。
交換留学と正規の学位取得も区別して、自分にそのまま当てはまる経歴だと決めつけないようにしてください。

b. 同じ職種の求人3件の読み比べ

学生向けだけでなく将来気になる仕事の経験者向け求人も読んでみます。
必須条件と歓迎条件を分けて、何度も出てくる経験をメモしてください。
たとえば次のように書き出します(架空の記入例で、実在する企業の募集条件ではありません)。

・法人顧客への提案経験 → 若手も顧客の課題を聞いて、提案を考えるのか
・事業の収支を分析した経験 → 数字を集めた後、判断や改善にも関われるのか
・英語での社内外の調整 → 英語を使う部署はどこか、配属の仕組みはどうか

こうして書き出すと、「有名な会社だから良さそう」から「この経験を積めるなら候補にしたい」へ、企業の見方が変わります。

c. 社会人への確認

経歴や求人から考えたことを、働いている人に一度確かめます。
聞くことは次の4つです。

  • この職種に進むには、最初にどんな経験が役立ちましたか
  • 若手の仕事について、入社前の想像と違ったことは何ですか
  • 自分が調べたこのキャリアの進み方は、どんな条件が必要ですか
  • 今から学生に戻れるなら、何を調べておきたいですか

質問を1つでも用意しておけば、なんとなく話を聞くより持ち帰れるものが増えます。
調べて疑問が出て、人に聞くと次に調べたいことができる。その往復を少しずつ続けてみてください。

8. 頑張る範囲の決め方

本気でやるほど、頑張る範囲は自分で決めてください。
就活にはメリットがありますが、時間も体力も使います。
授業、研究、アルバイト、留学準備を削り続けると、かえって自分が得たい経験を失ってしまうこともあります。

個人的には、調べる段階では候補を広めに持ち、選考を受ける段階では関心のある仕事に絞るのがいいと思っています。
睡眠や学業を崩さない範囲を先に決めて、面接の振り返りも「次に直すことを1つ」くらいにすると続けやすいです。

学年が早い人なら、仕事を調べて1人に話を聞くだけでも十分な前進です。
すでに選考中なら、応募先を増やすより、志望理由や企業理解を深めたほうがいい時期もあります。
大学1・2年生で仕事の調べ方から知りたい人は、仕事内容を授業・留学の選択につなげる準備の記事を読んでみてください。職業情報から質問を作り、今学期に試すことを決めるまでを記入例つきで説明しています。

まとめ

  • 就活を本気でやると、最初の職歴とその後の選択肢を自分で選べる
  • 自分の考えが深まり、知らなかった人や仕事に出会える
  • 大手でも小さな企業でも、自分で調べて納得して選べたなら、その過程に価値がある

今の自分がまだ知らない選択肢は探してみる価値があります。
今日やることはLinkedInで気になる仕事をしている人を1人探して、「最初の職種」「途中で増えた経験」「いまの仕事」をメモすることです。


参考にしたサイト: マイナビ「中途採用状況調査2025年版」・60ページ(2024年12月調査) / JILPT「若者の転職動向」(2024年公表、2014〜2019年の雇用動向調査を分析) / ILO「Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure」(2025年) / MIT IDE:弱いつながりと転職に関する共同研究の解説(2022年) / 厚生労働省「job tag」

最終確認:2026年9月8日。将来の働き方や就活のメリットに関する評価は筆者の考えです。体験談は筆者個人のもので、同じ結果を保証するものではありません。調査の対象・時期・範囲を本文と出典に記載しています。