交換留学の辞退はできる?合格後のペナルティ・費用と、迷ったときの決め方

【大学間交換留学の教科書編集部】

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学内選考に合格したあとの辞退は、多くの大学で「正当な理由がない限りできない」と決まっています。
ただ、病気や家族の事情、家計の急変のように条件が変わったのなら、早めに留学担当の窓口へ相談すれば、辞退や延期の道は残っています。
一方で、漠然とした不安だけで辞退するのはおすすめしません。

この記事ではまず辞退のルールと、辞退したときに起きることを整理します。
そのあとで、辞退するかどうかの決め方と、窓口への伝え方を例文つきで紹介します。
最後に、これから応募する人に向けて、辞退で悩まないための応募の仕方をまとめました。

1. 合格後の辞退は原則できない

交換留学の学内選考に合格すると、多くの大学では、正当な理由がない限り辞退できません。
このルールは応募のときに出す誓約書や同意書に書いてあることがほとんどです。

公開されている書類には、たとえば次のような書き方があります。
・新潟大学、島根大学:候補者に選ばれたあとは、大学が正当と認める理由以外では辞退できない
・同志社大学(グローバル地域文化学部):大学が正当と認める理由以外による辞退と期間の変更はできない
・慶應義塾大学:候補生に選ばれたあとは、大学が正当と認める場合以外は辞退できない

ここまで厳しいのは、学内選考の合格が「派遣先大学へ候補者として推薦される」ことだからです。
交換留学の枠は大学どうしの協定で決まっていて、合格すると、その枠であなたを先方に推薦する手続きが進みます。
空いた枠は、追加募集でほかの学生に回せることがあります。
たとえば九州大学の第2回募集は、第1回のあとに枠が残っている大学だけを対象にしています。
辞退を伝えるのが遅れるほど、空いた枠をほかの学生に回すのは難しくなります。

もう1つ知っておきたいのは、学内選考の合格は、派遣先大学の受入が決まったという意味ではないことです。
新潟大学や慶應義塾大学、神戸市外国語大学の書類には、受入を最終的に決めるのは派遣先大学で、先方の事情で受け入れられない場合があると書かれています。
つまり、合格から受入許可までは「自分からは降りにくいのに、まだ確定もしていない」期間です。
この期間の手続きの流れは学内選考に通った後の手続きの記事にまとめています。

2. 辞退したときに起きること

辞退したときに起きることは大きく分けて3つです。

a. 次の応募で不利になる

大学によっては、辞退すると、交換留学に応募し直せなくなります。
慶應義塾大学の誓約書では、正当な理由なく辞退した場合、派遣交換留学への再応募は認められません。
立命館アジア太平洋大学(APU)が2017年秋派遣向けに公開していた経費支弁書にも、事前に予測できたと思われる理由で辞退した場合は、その後の交換留学に再応募できないとあります。
東京科学大学(旧東京工業大学)の誓約書では、合格後に辞退すると、今後のプログラムに応募するときの選考で不利になることを承知するよう求めています。
「今年は辞退して、来年また出せばいい」とは考えないほうが安全です。

b. 払ったお金が戻らない

出発の準備が進むほど、払ったまま戻らないお金が増えます。
新潟大学や同志社大学の誓約書には、キャンセルにかかる費用は学生本人の負担になるとあります。
ビザの申請料も審査の結果にかかわらず返金されないのが原則という国があります(在日イタリア大使館の案内など)。
ほかにも、寮の申込金やデポジット、航空券、保険料は、それぞれの規約によっては戻りません。

c. 奨学金の辞退や返還が必要になる

奨学金が決まっている人は、その奨学金の辞退の手続きも必要です。
新潟大学の誓約書には、渡航が中止になったり留学を早く切り上げたりしたときは、奨学金を返還するとあります。
JASSOの協定派遣、大学独自の奨学金、民間財団の奨学金は、それぞれ窓口が違います。
どこへ何を届け出るかは大学の担当者にまとめて確認してください。

再応募の扱いは辞退の理由で決まり、お金と奨学金の手続きは、準備が進むほど戻らない額が増えます。
私は辞退を考え始めた時点で、決める前でも窓口に相談しておくのがいちばんだと考えています。

3. 認められやすい理由、認められにくい理由

誓約書の多くは「正当な理由」の中身を具体的には書いていません。
認めるかどうかを決めるのは大学です。
そのうえで手がかりになるのが、APUの書類にある「事前に予測できたと思われる理由」という考え方です。
応募した時点で分かっていたことは、辞退の理由として認められにくいと考えておけば、判断を大きく誤りません。

a. 相談に乗ってもらいやすい理由

応募したあとで起きた、本人が選んだわけではない事情です。
・本人の病気やけが、心身の不調
・家族の病気、介護、不幸
・家計の急変(家計を支える人の失業や、収入の大きな減少など)
・派遣先の国や地域の治安の悪化、災害、感染症の拡大

最後の1つは、学生が辞退する前に、大学のほうが派遣を取りやめることもあります。
たとえば新潟大学は、外務省の危険情報がレベル2以上の国や地域への渡航を、原則として禁止しています。
病気が理由なら、診断書のように事情を示す書類があると話が早く進みます。

b. 認められにくい理由

応募の時点で予測できたことや、気持ちの変化です。
・第一希望の大学ではなかった
・就活と時期が重なることに、あとから気づいた
・費用が思ったより高かった(家計の状況は変わっていない)
・恋人や友達と離れたくなくなった
・なんとなく不安になった

これらの理由でも窓口に相談すること自体はできます。
ただ、再応募の制限のような扱いを受けやすい理由だと考えておいてください。

4. 辞退するか迷ったときの決め方

迷ったら、最初に「条件が変わったのか」「気持ちが揺れているのか」を分けてください。
条件が変わったなら、辞退や延期を相談する理由になります。
気持ちが揺れているだけなら、私は辞退しないほうがいいと考えています。

a. 条件が変わったとき

確かめるのは、お金、卒業、健康、家族の4つです。
・奨学金が不採用になったなら、辞退を決める前に、住まいや生活費で費用を下げられないか、ほかの奨学金に出せないかを確かめる
・卒業が延びると分かったなら、それだけで辞退する理由にはならない
・治療や通院が必要になったなら、主治医に留学してよいかを聞き、その答えを大学に伝える
・家族の介護や看病が必要になったなら、辞退だけでなく、延期や期間の変更ができないかも聞く

卒業の延びについては留年と留学の記事で詳しく書いています。
留学で卒業が1年延びることは、それだけで辞退する理由にはなりません。

b. 気持ちが揺れているとき

合格してから出発までのあいだに、不安が大きくなるのは珍しくありません。
「英語の授業についていけるか」「友達ができるか」「就活に間に合うか」と、期待より不安が先に立つ時期があって当然です。
ただ、不安の多くは、中身を分けると出発までに手を打てるものです。
紙に不安を全部書き出して、それぞれの横に「出発前にできること」を1つずつ書いてみてください。

・英語で話せるか不安なら、毎日10〜20分、声に出して話す練習を始める
・授業についていけるか不安なら、シラバスを読んで、取る授業と時間割を先に決めておく
・友達ができるか不安なら、同じ人と毎週会える場所を1つ作ると決めておく
・就活が不安なら、留学中の就活を月1回の確認と本当に受けたい選考だけに絞る
・お金が不安なら、費用を項目ごとに出して、足りない額を数字にする

授業の選び方は交換留学の授業の選び方の記事に、友達づくりは留学で英語が伸びるかの記事に、就活は交換留学と就活の記事に、費用は費用シミュレーターの記事にまとめています。

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書き出しても「行きたくない」が残るなら、それは不安ではなく、留学そのものへの気持ちが変わったのかもしれません。
その場合も、ひとりで決めずに、まず窓口に相談してください。
恋人と離れたくないという理由なら、私はもう一度考えてほしいと思います。
恋人を理由にあきらめると、あとで後悔しやすいからです。

c. 決める日を先に決める

迷う期間が長いほど、払うお金と、ほかの学生への影響が大きくなります。
次に何かを出す日、払う日の前日を、決める期限にしてください。
たとえば、派遣先大学への出願書類の提出、寮の申込み、ビザの申請、航空券の購入です。

5. 辞退と延期の伝え方

辞退を考えたら、次の順で動きます。
1. 費用を出してくれる家族に事情を話す
2. 所属大学の留学担当の窓口に、メールで相談を申し込む
3. 窓口と面談して、辞退できるか、延期できるか、手続きと費用を確かめる
4. 派遣先大学、奨学金の団体、寮などへの連絡は、窓口の指示に従って進める

派遣先大学への推薦は所属大学が出しているので、取り下げも所属大学を通すのが基本です。
自分から先に派遣先大学へ辞退のメールを送るのはやめておきましょう。

いちばん損をするのは、何も言わずに書類を出さなかったり、説明会を休んだりして、そのままいなくなることです。
同志社大学の誓約書では正当な理由なくオリエンテーションを欠席したり、課された義務を怠ったりすると留学を認めないことがあり、そのときのキャンセル費用は学生本人の負担になるとしています。

a. 相談メールの例文

窓口へのメールは事情と相談したいことを短く書けば十分です。
家族の看病が必要になった場合の例を載せておきます。

件名:交換留学の辞退についてのご相談(○○学部○年 氏名)

国際交流課 ご担当者様

○○学部○年の○○(学籍番号○○○○)です。
○年度の交換留学で、○○大学への派遣候補に選んでいただきました。
○月に家族が入院し、看病のために出発が難しくなる可能性が出てきました。
辞退、または派遣時期の変更ができるかどうか、ご相談のお時間をいただけないでしょうか。
今週と来週は、平日の午後であれば伺えます。
どうぞよろしくお願いいたします。

(署名)

b. 理由の伝え方

理由を伝えるときは、次の4つを意識してください。
・事実を短く書き、言い訳や謝罪を重ねない
・「一身上の都合」だけで済ませず、大学が判断できる程度に、話せる範囲で具体的に書く
・診断書など、事情を示す書類があれば用意する
・辞退だけでなく、延期や期間の変更ができるかも聞く

延期や期間の変更も辞退と同じく自由にはできません。
同志社大学の誓約書のように、正当な理由がなければ期間も変更できないとしている大学があります。
それでも、聞かなければ選択肢があるかどうかも分かりません。

6. これから応募する人へ

辞退で悩まないためにいちばん効くのは、辞退できない前提で応募することです。
応募する前に、次の4つを確かめておいてください。
・費用を出す家族の同意をもらったか
・卒業の見込みと、就活の時期を確かめたか
・奨学金が取れなかった場合でも行けるか
・希望欄に書いた大学は、どれに決まっても行くか

新潟大学や島根大学の誓約書も経済的な支援をする人の了解を得てから申し込むよう求めています。
親に反対されている場合の進め方は親に留学を反対されたときの記事にまとめました。

特に気をつけたいのが、希望欄の書き方です。
第3希望まで書くなら、どこに決まっても行くと言える大学だけを書いてください。
費用が心配なら、応募の段階で行き先を選び直すのがいちばん効きます。
行き先を変えれば、費用は大きく下がります!

まとめ

まとめると、
・学内選考に合格したあとの辞退は、多くの大学で正当な理由がない限りできない
・辞退すると、再応募の制限、戻らない費用、奨学金の返還が起きることがある
・迷ったら、条件が変わったのか、気持ちが揺れているのかを分ける
・辞退を考え始めたら、決める前でも窓口に相談する

今日できる最初の一歩は応募のときに出した誓約書や募集要項を開いて、辞退について書いてある1文を読み直すことです。


参考にしたサイト: 新潟大学「大学間交流協定に基づく交換留学誓約書」(2025年4月改訂) / 島根大学「誓約書」 / 同志社大学グローバル地域文化学部「Study Abroad Agreement 2027」 / 慶應義塾大学国際センター「誓約書(2027年度派遣交換留学)」 / 東京科学大学(旧東京工業大学)「様式5 誓約書」 / 立命館アジア太平洋大学「経費支弁書(派遣)」(2017年秋派遣) / 神戸市外国語大学「海外派遣留学制度 2027年出発 募集要項」 / 九州大学理学部「大学間交換留学プログラム 2027年度派遣 第1回募集要項」 / 在日イタリア大使館「ビザ申請手数料」

最終確認:2026年10月30日。辞退の条件、再応募の扱い、キャンセル費用、奨学金の返還は大学や制度によって異なります。必ず自分の大学の募集要項と誓約書、留学担当の窓口で確認してください。