業界研究はAIで十分?有価証券報告書で企業を比べ、OB・OG訪問で「業務」を聞く方法

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【大学間交換留学の教科書編集部】

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業界研究はAIに聞けば十分です。
業界の仕組みやお金の流れ、主な会社の名前はAIに質問すれば30分ほどでひととおりつかめます。
それより時間をかけてほしいのは「業務」、つまりその会社に入ったら毎日何をするのかを知ることです。
業務はネットにはほとんど書いていないので、OB・OG訪問で社員から直接聞きます。

この記事ではまず業界研究・企業研究・業務理解の違いを整理します。
そのあとで、AIで業界研究をする手順、有価証券報告書で企業研究をする方法、求める人物像をビジネスモデルから考える方法、OB・OG訪問で業務を聞く方法を順に説明します。

1. 業界・企業・業務の違い

就活の「研究」は調べる対象で3つに分かれます。
・業界研究:その業界がどうやってお金を稼いでいるか、どんな会社があるか
・企業研究:その会社がほかの会社とどう違うか、どこで稼いでいるか
・業務理解:入社したら、どんな仕事を毎日しているか

面接で差がつくのは、3つ目の業務理解です。
業界と企業のことは、どの学生も同じ情報源から調べるので、話す内容が似てきます。
一方で、業務のことを具体的に話せる学生は多くありません。
たとえば「御社の海外事業に興味があります」と言う学生はたくさんいます。
「入社3年目までは国内の営業で取引先を任され、その後に海外の現地法人に出向する人が多いと社員の方に伺いました」まで言える学生は、面接官の記憶に残ります。

2. 業界研究はAIで30分

業界研究はAIに質問して全体の地図を作るところまでで十分です。
本を何冊も読んだり、業界地図を最初から最後まで眺めたりする必要はありません。

a. AIへの質問の例

AIには次のように質問します。

○○業界について、就活生向けに教えてください。
1. この業界の会社は、誰から、何に対して、お金をもらっていますか。
2. 業界の中で、会社はどんな種類に分かれますか。それぞれの代表的な会社はどこですか。
3. この10年で、業界の稼ぎ方はどう変わりましたか。
4. 新卒で入った人は、最初の数年でどんな仕事をすることが多いですか。
5. この業界を志望する学生がよく誤解している点は何ですか。

1つ目の「誰から、何に対してお金をもらっているか」が、業界研究のいちばん大事な問いです。
ここが分かれば、その業界でどんな人が必要とされるかも見えてきます。

b. AIの答えは確かめる

AIの答えには古い情報や間違いが混ざることがあります。
とくに数字(売上、社員数、シェア)と最近の出来事は、そのまま使わずに確かめてください。
確かめる先は会社のホームページのIR(投資家向け)のページと、次に説明する有価証券報告書です。

3. 企業研究は有価証券報告書で

志望する会社が決まったら、企業研究は有価証券報告書(有報)を読むのがおすすめです。
有報は上場企業が毎年出す決算の報告書で、会社のホームページや金融庁のEDINETで誰でも読めます。
採用ページと違って、会社がどこで稼いでいて、何人がどこで働いているかが数字で書いてあります。

a. 最初に見る3つの場所

有報は100ページを超えることもありますが、最初は次の3つだけ見れば足ります。
・事業の内容:どんな事業を持っているか
・セグメント情報:どの事業で、どれだけ利益を出しているか
・従業員の状況:社員の数、平均年齢、平均年収

たとえば三菱地所の2026年3月期の有報を見ると、海外の事業は営業利益の約16%、資産の約25%を占めています。
「不動産の会社だから国内の仕事が中心」と思っていた人は、ここで見方が変わるはずです。
こうした数字を1つ持っているだけで、面接での話に根拠ができます。

有報の読み方は就活のための会計の基礎の記事で、実際の会社を読んだ例は三菱地所の企業研究の記事で紹介しています。

b. 比べる会社を1社決める

企業研究は1社だけ読むより、同じ業界の会社と比べたほうが違いが分かります。
「A社は海外の利益が半分、B社は国内が中心」のように比べると、自分がなぜA社を受けるのかを説明しやすくなります。

4. 求める人物像はビジネスモデルから考える

会社のホームページには「求める人物像」が書いてあります。
ただ、「主体性のある人」「挑戦する人」のように、どの会社も似た言葉になりがちです。
そこで、その会社のビジネスモデル(どうやって稼いでいるか)から、本当に必要な人を自分で考えてみてください。

a. 考え方の例

たとえば、海外の会社に投資して、その経営に関わることで稼いでいる会社なら、必要なのは次のような人です。
・言葉や習慣の違う相手と、長い時間をかけて信頼関係を作れる人
・数字を見て、投資先の問題を見つけられる人
・現地に何年も住んで働くことをいとわない人

一方で、ほかの会社に部品を売っている会社なら、取引先の困りごとを聞き出して、社内の技術者と一緒に解決策を考えられる人が必要になります。
同じ「主体性」でも、会社によって中身がまったく違います。

b. 自分の経験とつなげる

必要な人が見えたら、自分の経験の中から、その人物像に近い場面を探します。
交換留学の経験なら、投資の会社には「現地の学生と時間をかけて信頼関係を作った場面」、部品の会社には「グループの課題を聞き出して解決した場面」を選ぶ、という具合です。
事実は同じまま、どの場面を前に出すかを会社ごとに変えてください。

5. 業務はOB・OG訪問で聞く

業務のことは、OB・OG訪問で社員に直接聞くのがいちばん確実です。
ホームページの「社員紹介」は、会社が見せたい部分を切り取ったものなので、ふだんの仕事はなかなか見えてきません。

a. 聞くこと

OB・OG訪問では次のような質問をします。
・入社1年目は、1日をどう過ごしていましたか
・今の仕事で、いちばん時間を使っている作業は何ですか
・社内で評価されている人には、どんな特徴がありますか
・入社前に思っていた仕事と、違ったところはありますか

反対に、ホームページに書いてあることは聞かないでください。
「御社の主力事業は何ですか」と聞くと、調べていないことが伝わってしまいます。
業界の基本はAIで、会社の数字は有報で確かめてから会うと、社員の方の時間を無駄にせずに済みます。

質問の例はOB・OG訪問で聞くべき質問の記事に15個並べています。

b. 社員の探し方

OB・OG訪問はまず内定をもらった先輩から始めて、受ける業界が決まってから現役の社員に会うのがおすすめです。
周りに知り合いがいないときは、同じ大学の出身者に話を聞けるサービスを使うのが早いです。
個人的には、ビズリーチ・キャンパスが使いやすいと思います。
使い方と注意点はOB・OG訪問の記事にまとめています。

6. 調べたことを面接で使う

業界・企業・業務を調べたら、面接の2つの場面で使います。

a. 志望動機

志望動機は「業界の中でなぜこの会社か」「この会社のどの仕事をしたいか」の2つが言えれば形になります。
1つ目は有報の数字で、2つ目はOB・OG訪問で聞いた業務の話で根拠を作ります。
「海外の利益が多い会社で、入社数年で現地に出向できる仕事をしたい」のように、数字と業務がつながると説得力が出ます。

b. 逆質問

面接の最後の逆質問も調べたことを使う場面です。
調べれば分かることは聞かず、OB・OG訪問で聞いた話をもとに、一段深いことを聞いてください。
たとえば「社員の方から、入社3年目までは国内の営業が中心だと伺いました。その間に、海外の仕事に関わる機会はありますか」のように聞くと、準備してきたことが自然に伝わります。

まとめ

まとめると、
・業界研究はAIに聞けば十分。「誰から、何に対してお金をもらっているか」を最初に押さえる
・AIの数字は、IRのページや有価証券報告書で確かめる
・企業研究は有報の「事業の内容」「セグメント情報」「従業員の状況」から
・求める人物像は、ホームページの言葉よりビジネスモデルから考える
・業務はOB・OG訪問で社員に直接聞く

今日できる最初の一歩は志望する業界について「この業界の会社は、誰から、何に対してお金をもらっていますか」とAIに聞いてみることです。


参考にしたサイト: 金融庁 EDINET

最終確認:2026年10月30日。有価証券報告書の数字は年度ごとに変わります。最新の報告書で確認してください。